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もくじ

ー メルセデス-AMG GT R
ー アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ
ー ケーターハム420R
ー アストンマーティンDB11 V8

メルセデス-AMG GT R

メルセデス-AMG GT Rの印象は、過去の記憶が甦るもの。公式リリースの際に試したドライ・コンディションでのサーキットでは、非常に速く、スムーズだったが、カッスル・クーム・サーキットでは神経質なモンスターだった。

当初、AMG GT Rが履いていたタイヤは、ミシュラン・スーパースポーツで、強烈な走りを見せていたのだが、何か違和感を感じたわれわれ。

そこで、新しいミシュランのカップ2に履き替えてみたのだが、大きく改善したとはいえ、完全にその違和感は払拭できなかった。

「レースカーのような走り。理想的なものとはいえないが、充分満足できる。一般道ではゆっくり運転すれば良いが、少し時代遅れな感じもある」とプライヤーはまとめている。ソーンダースは、GT Rを「今回の試乗で一番残念だった」と言い残した。

続いてカッスル・クーム・サーキットに響き渡ったのは、E63 S エステートに搭載されたパワフルな4.0ℓ V8エンジンのサウンド。交代でドライバーが乗り込み、出発していく。

プライヤーもE63に対しては「濡れた状態でも、驚くほど速い。ボディが適度にロールし、荷重がかかるため、極めて速いのに加えて、スタビリティも高く、安全性も確保されている。また、巨大なノイズも一緒に楽しめる」と評価した。仮に路面がドライなら、車重の重さやエアスプリングの柔らかさが、足を引きずる結果となるだろう。

中にはドリフト状態に持ち込む難しさを指摘するドライバーもいたが、全体的にかっこよさも含めて、高い評価だった。一方で、E63 S エステートの車重は重すぎ、GT Rの窓は小さすぎ、どちらも11月のカッスル・クーム・サーキットを夢中に走れるクルマとは、かけ離れた印象でもある。

これらのクルマとは対照的なのが、アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオだ。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオはわずかな欠点も無いわけではないが、一般道でもサーキットでも、ウェットでもドライでも、プライヤー以外の3人が非常に気に入ったクルマ。プライヤーは、愛していると表現した方が正しいだろう。

「このクルマは、最もわたしの嗜好に合うロードカーの1台。でもウェットコンディションのサーキットでは、ほぼ500psの最高出力で後輪駆動にピレリ・コルサのタイヤの組合せには、無理がある」とプライヤー。

プロッサーは、一般道で感銘を受けた「柔軟性と落ち着きの高さ」がサーキットでも変わらなかったことを指摘。わたしとしては、BMW M4とGT Rの走行で、路面の水が大分乾いていたことを考えると懐疑的。アルファ・ロメオが完璧だったことは、これまで無かったから、というのもある。

ソーンダースは、非常にクイックなステアリング・レスポンスやアダプティブ・ダンパーに関して、特に触れていないようだが、共通の意見として、バイワイヤ方式のブレーキの感覚には最後まで慣れなかった。

試乗する以前に、アルファがケーターハムと並ぶ4位のポイントを獲得するとは、プライヤー以外、誰も予想していなかったことだろう。むしろプライヤーは、トップ3に入らなかったことに疑問を持っているかもしれないけれど。

そして、トリッキーなケーターハム。

ケーターハム420R

驚かれるかもしれないが、この天気と、ケーターハム420Rが履いているエイボン社製のZZRタイヤでも、運転自体はそれほど難しさはなかった。

ただ、他のクルマと同様に扱うのは難しい。また、一般道での落ち着きの無さに対して不平をいうのは、サラブレッドをのどかな乗馬クラブに持ち込むようなもの。

カッスル・クーム・サーキットでは、われわれを魅了してくれた。お尻が痛くなるのは仕方ない。ピットインに迫られたのは、グリップしなかったからではなく、ウィンドウがないために視界が確保できなかったから。

ほとんどすべてのコーナーでテールスライドしたが、挙動は予想が効くし、サーキットという限定された空間なら許されるだろう。ほとんどのクルマの場合、コースアウトを恐れて修正に迫られるはずだが、ケーターハムなら、ステアリングを出口の直線に向けてアクセルを踏み込めばいい。

プロッサーは、「悪天候の中でも、最も運転しやすいクルマの1台」と評していたが、間違いないだろう。ソーンダースも「3速で回るコーナーでも、カウンターステアを1/4回転ほど当てれば簡単に脱出できる。スピンするようには思えなかった」と話す。

否定的な見方をするプライヤーは「非常に限定的なコンディションで楽しむクルマで、今日はドライブする日ではなかった」と簡潔にまとめている。

残る、アストンマーティンDB11 V8は、無敵のマクラーレン720Sとポルシェ911 GT3に総合評価で戦いを挑む。

アストンマーティンDB11 V8

個人としては、アストンマーティンDB11 V8の車重を考えると、マクラーレン720Sとポルシェ911 GT3の2台との直接対決は難しいと思うし、グランドツアラーという性格と、巨大なホイールを履いていることを考えると、スポーツカー/スーパーカーと同じ土俵に立っただけで、むしろ評価されるべきだと思う。

しかし、今回はそうもいかない。素材はあくまでも素材。それをどのように料理し、味わうかで、評価は変わってくる。

かつてロータス社でシャシー部門のチーフだったマット・ベッカーは、さながら、有名レストランのシェフといったところ。

それぞれ上位3位に入たスピードとグリップは確かなものだが、この天気と路面状況が、評価を左右する要因ともなった。サーキットと、その周辺の一般道を走り慣れていなければ、ポルシェのトランクに収まった500psのエンジンは、驚きというより、厄介な存在となる。

そして、突出した性能を持っているマクラーレンとはいえ、720psものパワーを、厳しい条件で解き放つと、どのような振る舞いをクルマがするか、想像できるだろうか? AMG GT RやM4ですら、手を焼いたというのに。

結果的に、大きな差を作って、BBDCでの最優秀車が決定した。その順位の発表は、ソーンダースにお願いするとしよう。

ドライバーズカー選手権2017(4)へつづく。