自身も「春高バレー」出場経験のある北京五輪代表・山本隆弘氏【写真:編集部】

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「日本の宝を発掘する大会」…4日開幕の春高バレー、元日本代表エースの楽しみ方

 全日本バレーボール高校選手権「春高バレー」が4日に開幕する。日本一を争う高校バレーの祭典は、何に注目すれば、楽しめるのか。自身も出場経験のある北京五輪代表・山本隆弘氏に話を聞いた。

「春高バレーは(11年に)1月に開催が移り、高校生活最後の大会になった。ほかの大会とは違ってバレーのみの大会であり、4面を使って試合が行われ、各校の応援合戦も注目。学校、町を挙げて応援するし、野球でいうなら甲子園のような雰囲気。特に関東勢は全校応援、楽器を使った応援など、独特の盛り上がりがある。会場に来れば、何かしら楽しむことができます」

 このように、春高バレーの魅力を語った山本氏。バレー界の次代を担う原石の発掘という面でも価値がある大会だ。

「僕たち目線でいえば、日本の宝となるような選手がどのような成長を遂げているかに注目し、あるいは新たな宝を発掘する場が春高バレーといえます」

 全国的な注目を浴び、独特の緊張感でプレーするからこそ、スター候補にとっては能力を測る格好の舞台となる。

「トーナメント戦でどう勝っていくか。国際試合を多くやる会場でどれだけできるのか。宝とされる選手には自分のプレーをアピールする最高の場所だし、インターハイ、国体では出てこなかった選手が最後に急成長している可能性もある。全員に平等にアピールするチャンスがある。各協会の関係者も多くいる中、自分をどれだけアピールできるのか。注目したいです」

 今大会の注目選手は「いっぱいいる」としながら、山本氏がとりわけ楽しみにする2人の逸材がいるという。

山本氏が「高校生離れしている」と絶賛した逸材とは?

 インターハイを制した鎮西(熊本)の1年生エース・水町泰杜、習志野(千葉)の上條レイモンド(3年)だ。

「水町選手はチームが苦しい場面でトスが集まるけど、しっかりと打ち抜くことができる。上條選手は変則的に高い打点で打ってくる。高さは高校生離れしていると思います。彼は3年生で、今年が最後という点でも楽しみです」

 こう話した上で「チャンスは全員にあると思う」とも付け加えた。

「身長が高いということで注目されることが多いけど、私は身長は関係ないと思っている。確かに高い方が有利ではあるけど、スパイクさえ打てれば世界と戦える。全員がここでアピールするという強い思いを持ってやってほしい」と独自の考えをもとに力説した。

 山本氏自身も鳥取商2年時に春高バレーに出場。バレー人生において、得たものは大きかった。

「私は春高バレーで初めて全国のレベルを肌で感じて、目標にすべきことが明確になった。幸いにも春高後に全日本ユースにも選出してもらい、トップの選手とプレーしてライバルができたという部分が代表のところまでつながっていったと思います」

 のちに日本人男子初のプロ選手となり、03年のワールドカップで日本人初の得点王&MVPを獲得、08年北京五輪に出場するなど、輝かしいキャリアの分岐点となった大会。そんな当時の経験を高校生に披露した機会があった。

20年に控える東京五輪「必ず、メンバーに入って来る選手がいる」

 12月21日。大塚製薬が企画し、テニス、サッカー、バスケットボール、バレーボール、柔道、バドミントンを通じて、全国170校の部活生を応援する「ポカリスエット エールキャラバン」の一環として兵庫・報徳学園高を訪問し、講演を行った。

 中学1年秋、部員1人で廃部寸前となり、同級生に誘われて入ったバレーボール部。未経験ながら、3年間で34センチ伸びた身長192センチの大器を買われ、県内屈指の強豪・鳥取商から声がかかった。「全くの素人」だったというが、指揮官に将来を見込まれ、いきなりレギュラーに抜擢された。

「初めて出た試合はものすごく緊張した。左利きだから『サーブを打たれた瞬間にライトに走れ』と指示が出た。ボールも見ないで無我夢中で走ったら、ボールが頭に当たった。でも、監督が笑い飛ばしてくれて使ってくれたから、やっていけました」

 こうして着実に成長し、2年生で春高バレーに出場。しかし、自らの代となった3年時は「優勝候補」と言われながら、県大会準決勝で敗退。出場権を逃した。この時、負けたことを初めて「悔しい」と思ったという。

「自分がチームを全国に導けずに不甲斐なさ。練習中から、負けたシーンを常に自分の頭に置きながら『あの時、どうすれば決められたのか』と思い続けることで、成長することができたと思っています」

 その経験が、五輪まで続くバレー人生の飛躍につながったという。それほど、春高バレーには一人のバレー人生を変える魔力がある。最後に、今大会に向け、選手とファンへのメッセージをもらった。

「選手たちは一発勝負で、高校3年間でやってきた集大成。悔いのないように力を出し切って、勝敗を決してほしい。ファンの方々は2020年の東京五輪がある。必ず、メンバーに入ってくる選手がいる。自分が選ぶ日本代表という感覚で見てほしいと思います」(THE ANSWER編集部)