昔ながらの「腹筋運動」は推奨されていない(depositphotos.com)

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 学生時代に運動部に入っていた人なら、「腹筋運動100回!」と一度は言われたことがあるかもしれない。

 多くの人が思い浮かべる<腹筋運動>は、仰向けになり膝を立て、胸の前もしくは首の後ろで腕を組みながら上体を起こすあの運動ではないだろうか。「上体起こし」とも呼ばれている。

 しかし、この運動は「腰を痛めるかもしれない」と今は推奨されていないのをご存じだろうか?

なぜ<腹筋運動>が危険なのか

 最近では日本バスケットボール協会が、この「上体起こし」を「腰を痛める可能性があるので推奨しない」と啓蒙活動を行なっている。

 なぜ、この運動が腰を痛めることになるのか。「上体起こし」は、仰向けから腰を丸めて起き上がることで、身体の前にある腹筋を収縮させる。これで<腹筋を鍛える>という運動だ。ところが、「腰を丸めて起き上がる」動作によって、腰の骨と骨の間にある「椎間板」を痛める可能性がある。

 腰痛研究の権威であるスチュアート・マックギル教授は、<上体起こしで脊椎が圧迫される>という研究を報告。そこでかかる力は、アメリカの労働安全衛生研究所が定めた危険値に達しているという。

 上体起こしによって、腰の椎間板が強く圧迫され、椎間板が破れてしまう可能性が生じる。これは「椎間板ヘルニア」の原因にもなる。上体起こしの動作は、腰に不要な負担をかけ、椎間板の中にある「髄核」が飛び出しやすくなり、神経を圧迫して腰痛や足のしびれにつながる。

どのような腹筋運動が良いのか?

 それでは、腹筋を鍛えるにはどうしたら良いのか?

 腰を痛めないような腹筋運動のひとつとして、「等尺性収縮」を利用する方法がある。等尺性収縮とは、筋肉の長さを変えないまま、つまり関節運動を起こさないまま、筋肉を収縮させる方式のこと。

 利点として、関節運動を起こさないため、関節を痛める危険性が少ない。この方式の腹筋運動であれば、腰にかかる負担がとても少なく、安全に腹筋を鍛えることが可能だ。

 では、等尺性収縮を利用した「プランク」 と呼ばれている運動を紹介しよう。

この方法で背筋と腹筋を同時に鍛える

 うつ伏せの状態から、つま先と肘を立てて身体を浮かす 

 すると腹筋が等尺性収縮を起こし、腹筋の力が弱ければ、これだけで<お腹がプルプルしてくる>はずだ。

 この運動の良いところは、背筋や他の体幹筋も同時に鍛えることが可能なことだ。腹筋と背筋のアンバランスは腰痛の原因になるため、このように背筋と腹筋を同時に収縮させるエクササイズは、腰痛対策でも有効である。

<足上げ運動>も効果的

 等尺性収縮を用いないが、オススメしたいのは「足を動かして腹筋を鍛える」エクササイズだ。

 仰向けに寝て、両足を45度くらいまでゆっくりと上げ、そこで5秒キープ。そしてゆっくりと下ろす 

 これだけでも、腹筋に負荷がかかるのを実感できる。先ほどの「プランク」よりも、ハードな負荷を感じるはず。しかし、腰を丸めたりしないので腰への負担は少ない。

 注意事項として腹筋が弱い人が行うと、足を下ろす時に腰がそってしまうことがあるので、そうなると腰を痛める可能性が出てきてしまう。その場合は、足の上げる角度を少なくし、簡単な負荷から行うことをおすすめする。
(文=三木貴弘)


三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

三木貴弘(みき・たかひろ)
理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。