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もくじ

ー ミュンヘンよりも心惹かれるモデナ
ー ルックスも良く、性格も悪くない
ー マセラティ・クアトロポルテの中古車 購入時の注意点
ー 専門家の意見を聞いてみる
ー 知っておくべきこと
ー いくら払うべき?
ー 掘り出し物を発見

ミュンヘンよりも心惹かれるモデナ

中古車ガイドで、ドイツ製のスポーティなモデル以外を勧める場合、大抵はイタリア車となるが、それらは明らかにドイツ車と比べてお金が掛かることが多い。

明らかに遥かに優れている同年代のBMW M5ではなく、お金の掛かりそうな2006年製のマセラティ・クアトロポルテ・スポーツGT4.2を、苦労してでも手に入れる理由とは何だろう?

それは、クルマが持つ独特のキャラクターだと言える。

しかしこの場合、路肩で積載車が来るのを長く待たされるような、意地悪いキャラクターではない。

初期型のクアトロポルテには、エンジン上部からのオイル漏れという些細な気まぐれはあったものの、全般的には丈夫で信頼性も高い。ボデイは錆びにくく、トランク・リッドのソフトクローズ機構もちゃんと機能する。手の込んだスカイフック・アダプティブ・サスペンションも、複雑な電子制御が支えているが、トラブルフリーだと言える。

このテスト車両は、2004年に発表された、5代目のクアトロポルテ。新車当時は7万ポンド(1062万円)もしたモデルだ。4.2ℓV8エンジンに「デュオセレクト」と呼ばれる、パドルシフト付きの6速セミATが組み合わされている。そのATは、後輪側に搭載されるトランスアクスル方式で、マニュアルモードでは素晴らしいシフトチェンジを披露したが、オートマチックモードではぎくしゃくとスローな印象だった。

今回、標準モデルよりも低く、剛性に優れたボディと強力なブレーキを持つ、スポーツGTと本気で向き合ったが、デュオセレクトに足を引っ張られることはなかった。一方で、希少でラグジュアリーなコレッツィオーネ・セント・エディションが装備される車内には、2面の10.4インチ・タッチスクリーンが、フロントシートの背面に埋め込まれている。

ルックスも良く、性格も悪くない

スポーティな性格は、ほぼ完璧な重量バランスと、後輪駆動によるもの。ドライな素晴らしいサウンドを響かせる4.2ℓのV8エンジンは、354psを7000rpmで発生させる。0-100km/h加速は5.2秒。エレガントで、マッスルカー的なスタイリングのボディは、BMW M5よりも頭ひとつ分、長い。

2005年に、エグゼクティブGTとスポーツGTの、ふたつのモデルが発表される。エグゼクティブ仕様では、ウッドパネルとレザーの内装に、スポーティな20インチのアルミホイール、変速スピードを高速化させたミッションと、快音を響かせるエグゾーストが備わっていた。

2007年、マセラティは、クアトロポルテにZF社製のATを搭載する。トランスアクスルの位置自体も見直され、ミッションはエンジン側に近づけられるとともに、V8エンジンも従来のドライサンプから、ウェットサンプへと変更された。サスペンションを含む全体的な改良が加えられており、初期型と比較して、相場価格も高値で扱われることが多い。

次期モデルの設計を中座したのかとも思えたが、2008年、マセラティはクアトロポルテに再度マイナーチェンジを加える。新しいグリルとヘッドライト、ウイング状のドアミラーになったほか、インテリアではセンターコンソールのデザインが変更された。さらに、GT Sバージョンも追加。4.7ℓに拡大されたV8エンジンは439psを発生させ、0-100km/h加速は5秒以下という俊足を誇る。

この5世代目となるクアトロポルテは、2013年までマセラティのショールームを飾った。4.2ℓの標準モデルなら、1万2000ポンド(182万円)から探せるので、価格も悪くない。キャラクターも良いし、スタイリングも魅力にあふれたモデルだと言える。

マセラティ・クアトロポルテの中古車 購入時の注意点

エンジン

点検/整備が10000km毎に実施されているか、確認する。カムカバー・ガスケットとフロント・クランクシャフト・オイルシールからのオイル漏れがないかを調べる。エンジンの下回りも同様。エンジンの回転にムラがある場合は、エアフローセンサーの不具合を疑う。

トランスミッション

デュオセレクトの場合、変速時の回転数の上昇や低下、ギアの選択がスムーズに行われないなどの不具合が発生する可能性がある。特に2006年以前のモデルの場合、クラッチは2万km毎に交換が必要で、交換費用は1500ポンド(23万円)。また油圧式の変速システムの状態確認も忘れずに。

ステアリングとサスペンション

スカイフック・サスペンションの電子制御関係は心配不要。ただ、機会的な不具合として、スタビライザーのドロップリンク、スプリングの破損やダンパーの劣化などは起こり得る。

特に2005年以前のモデルでは、高価なステアリング・ラックからのオイル漏れや、直進付近の遊びが大きすぎないか、確認をしておきたい。また、弱点でもある、パワーステアリング・ポンプの状態も併せて確認する。

タイヤの偏摩耗にも気をつけたい。試乗できる場合、直進性やハンドリングの正確性を確かめ、狂いやすいホイールアライメントの状態にも気を配ると良いだろう。

ボディ

基本的に錆びにくいが、飛び石キズには目を配る。稀に壊れるボンネットキャッチの状態や、サイドミラーが電動で格納できるかどうか確認する。ゴージャスなアルミホイールは、ガリ傷の状態もチェック。

2006年にリコールされた、ドアが勝手に開いてしまう不具合が対応済みの場合、エクステリア側のドアハンドルが交換されている。トランクリッドのソフトクローズ機構が機能するかも確認しておきたい。

インテリア

レザーは擦り切れやすい。グローブボックスはちゃんと閉まるか確かめる。パワーウインドウやヘッドライトが正常かどうかも要確認。

専門家の意見を聞いてみる

マシュー・セージ
ギアロ社

「私個人でも、2005年式の4.2ℓでデュオセレクトを搭載した、走行距離12.8万kmのエグゼクティブGTに載っていますが、とても気に入っています。車体自体は5000ポンド(76万円)でしたが、整備費用に7000ポンド(106万円)くらいは掛かっています」

「金食い虫にも思えます。でも、新車価格が7万(1062万円)なことを考えると、部品代や作業工賃などを考えても、納得できる範囲です」

「悩みどころは、ブレーキやサスペンションなど、全ての部品が高額なこと。良いところはクルマの持つ性格でしょうか。クアトロポルテには魂を感じるんです。このようなクルマは他には少ないと思います」

知っておくべきこと

250mm四方ほどの鉄製のカバー1組が、クアトロポルテの車体下面、フロント側の左右のジャッキアップ・ポイント付近に付いている。それはブレーキフルードのパイプ接合部を覆うカバーで、非常に錆びやすいのだが、安価に交換が可能だ。

いくら払うべき?

1万2000ポンド(180万円)以下

基本的に前期モデル。乗ることを考えると、6000ポンド(90万円)以上のクルマにするべきだろう。

1万2000ポンド〜1万3995ポンド(180万円〜212万円)

比較的綺麗な2006年式までの、前期モデルのエグゼクティブGTとスポーツGTが見つかる。走行距離は16万km近いクルマもあるようだ。

1万4000ポンド〜1万6995ポンド(123万円〜258万円)

2007年式までのモデルで走行距離は11万kmくらい。中には乗り出しまでに3万5000ポンド(万円)ほど必要な場合もある。

1万7000ポンド〜1万8495ポンド(259万円〜280万円)

走行距離が短く、状態の良い2007年までのモデル。

1万8500ポンド〜2万1995ポンド(281万円〜333万円)

2007年から2009年式までの、走行距離8万km、綺麗でフル装備のクルマが見つかる。

2万2000ポンド以上(334万円以上)

上記以上に状態の良いクルマ。2008年式の4.7 GT Sなら2万6000ポンド(394万円)で見つけた。最終型で手入れの行き届いたクルマが、3万5000ポンド(531万円)ほど。

掘り出し物を発見

マセラティ・クアトロポルテ 登録2006年 走行8.8万km 価格1万2950ポンド(196万円)

6.9万kmまでのマセラティ・ディーラーでの整備記録と、その後2回のディーラー以外での整備記録が揃う。念のため、クラッチの交換履歴は確認しておきたい。

コンフォートパックを装備しているので、マッサージ機能が前後の座席に備わる。もしV8の雄叫びだけでは不十分なら、ボーズ社のサウンドシステムも付いている。