往路優勝を決めガッツポーズでゴールを決める東洋大・5区の田中

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 ◇第94回箱根駅伝往路(2018年1月2日 東京・大手町〜箱根・芦ノ湖、往路5区間107・5キロ)

 1年生トリオの活躍もあり、東洋大が5時間28分29秒の大会新記録で4年ぶり6度目の往路優勝を決めた。1区(21・3キロ)で西山和哉(1年)が87回大会の大迫傑(早大)以来となる1年生での区間賞に輝くと、3区(21・4キロ)では山本修二(3年)が青学大の田村和希(4年)とのエース対決を制した。3日の復路も「その1秒をけずりだせ」の精神の下、総合優勝に向けてひた走る。

 ルーキーたちが箱根路でプラチナの輝きを放った。その先陣を切ったのは1区の西山。「飛び出してからは追いつかれるかと思った」というが、他の追随を許さなかった。昨年4月にボストン・マラソンで3位に入り、日本男子としては瀬古利彦以来、30年ぶりに表彰台に立った尊敬する大迫に並び、1年生での区間賞。テレビでゲスト解説をしていた大迫から「走り方もきれいでした」と褒められると相好を崩した。

 初の箱根駅伝。これまで経験したことがないほどのプレッシャーがのしかかってきた。ただ、苦しい場面で心を支えてくれたのは裏方に回った4年生の思い。12キロすぎに「苦しくなった」というが、4年生が書いてくれた左腕の「その1秒をけずりだせ」、右腕の「怯(ひる)まず前へ」の文字を見て、自らを奮い立たせた。

 15年の全日本大学駅伝で、青学大に真っ向勝負して初優勝を飾った鉄紺のたすきに憧れ東洋大の門を叩いた。「攻めの走りが格好良かった。(青学大は)大作戦とかバラエティー風味にしているけど、やっぱり長距離の本質はあのレースのように泥くさくやること」と東洋大のスタイルを追求してきた。

 伸びたのは西山だけではない。4区の吉川洋次(1年)は区間賞の神奈川大・大塚にわずか1秒差の区間2位と好走。5区の田中龍誠(1年)も区間9位ながら、酒井俊幸監督が目を見張るほどの安定感を見せ、1区から首位を譲らなかった。

 下馬評では青学大、東海大、神奈川大の3強といわれた。だが、指揮官は箱根に向けた布石を打ち続けた。10月の出雲全日本大学選抜駅伝では6区間中1、2年が5人。11月の全日本大学駅伝では8区間中、6人と若手中心で戦った。酒井監督は「同じ力なら下級生を使う。全て箱根のシミュレーションだった。思い切ったオーダーだったが、期待に応えてくれた」と、まいた種が大舞台で花開いたことを喜んだ。

 36秒のリードで3日の復路に挑む。2位青学大は補欠に回っているエース下田ら強力なカードを手元に残す。指揮官は「皆さん聞いたことのない選手も多いと思うが、必ずこの中からヒーローが出る」と、復路でもヒーロー誕生を予言した。