ステーキガストのうに&イチボの熟成赤身ステーキ

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 外食各社が「インスタ映え」するメニューを続々と開発している。

 すかいらーくが展開するステーキ・ハンバーグ店「ステーキガスト」は、12月21日から期間限定・数量限定でソーシャルネットワーキング(SNS)を意識して、「うに&ステーキ」フェアを開始した。「うに&イチボの熟成赤身ステーキ」など4種類を用意する。ウニは通常の30グラムと、2倍の60グラムの2つから選べ、追加で注文することもできる。

 シャリの上にウニを載せたすしのように、ステーキの上にウニをたっぷり載せ、SNS映えする肉料理「フォトジェ肉」として売り込む考えだ。フォトジェ肉とは、写真写りが良い様を意味する「フォトジェニック」と「肉」を組み合わせた造語だ。ここ数年続いている肉ブームと、勢いを増すSNSを組み合わせたフォトジェ肉は、消費者の心を揺さぶる強力なマーケティング上の概念といえるだろう。

 インスタグラムを代表とするSNSの流行とともに、「インスタ映え」「SNS映え」を意識したメニューを開発する飲食店が増えている。2017年は、例年以上に飲食店内で客が料理をスマートフォンなどで撮る光景を多く見かけたのではないだろうか。17年のユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に「インスタ映え」が選ばれたのもうなずける。外食産業各社は、SNS映えする奇抜な見た目のメニューを開発することに躍起になっている。

 ダイヤモンドダイニングが展開する居酒屋「九州黒太鼓 池袋」(東京・池袋)は、豚肩ロースを29センチメートルの高さまで積み上げた鍋料理を、10月からフォトジェ肉として売り出している。そのひとつの鍋料理「肉肉肉×29(にく)盛り辛鍋〜赤マグマ仕立て〜」は、積み上げた豚肉を「山」とし、頂点から赤味噌を垂らすことで、それを「マグマ」に見立てている。SNS映えにはもってこいのメニューだろう。

 もんじゃ焼き店「大木屋」もフォトジェ肉メニューを提供する。約800グラムのリブロースステーキ「肉のエアーズロック」がそうだ。一般的なステーキの重さの、実に4倍にもなり、その姿は世界最大級の一枚岩であるエアーズロックを彷彿とさせる。

●SNSで盛り上がるタリーズ、盛り上がらないくら寿司

 ここまで肉料理を中心に紹介してきたが、もちろん肉料理以外でもSNS映えするメニューが相次いで登場している。

 たとえば、タリーズコーヒーが16年1月から冬季限定で全国展開を始めたコーヒー飲料「タリーズスノーマンラテ」がSNS映えするということで話題となった。タリーズスノーマンラテはカフェラテの上に雪に見立てたホイップクリームが載っていて、さらにその上に雪だるまをイメージした2つのマシュマロが添えてある。雪だるまの表情(目や口など)はタリーズの店員がその都度チョコレートで描くため、ひとつひとつの見栄えが異なるのも特徴的だ。

 インスタグラムで「#スノーマンラテ」「#タリーズスノーマンラテ」と入力してその投稿数を確認してみたところ、本稿執筆時点で合計2万5002件にも上った。この数字は、前述のワードと写真を同時にアップした場合での話なので、ワードを入力していないものも含めると投稿数はもっと多いはずだ。いずれにしても、相当数がシェアされている。

 くら寿司は、11月からインスタ映えを意識したすし商品シリーズ「竹姫寿司」の販売を開始した。竹をモチーフにした器にネタとシャリを入れたすし商品で、「いくら」や「ねぎまぐろ」など5種類を提供している。かぐや姫が月から舞い降りたように、回転ずしに新たなすしが舞い降りたというイメージを込めているという。

 くら寿司が竹姫寿司をインスタ映え用の商品として提供を始めたことに対し、インターネット上を中心に賛否が渦巻いた。「見た目も可愛いし、おいしかった」「インスタ映えしそう」といった肯定的な意見もあれば、「インスタ映えしそうもない」「見栄えが良くない」といった否定的な意見もあった。

 そこで、どれくらいインスタグラム上で話題になっているかを確認するために、前述のタリーズスノーマンラテと同様に「#竹姫物語」での投稿数を確認してみたが、投稿数はわずか702件だった。販売期間などが異なるため単純比較はできないが、タリーズスノーマンラテの2万5002件と比べると大きく見劣りする。くら寿司は竹姫物語がインスタ映えすることを謳って販売したが、現状、満足できる結果が得られていないのではないか。客観的に見て、マーケティング的に成功しているとはいいがたい。

●チャーシュー10枚載せたド派手ラーメン

 焼肉チェーン店「牛角」などを展開するアスポラートは11月に、SNS映えを意識したラーメンを提供するラーメン店「辛味噌麺 かのと」を東京・千代田にオープンした。真っ赤な辛味噌スープに300グラム超のもやしを盛りつけ、厚さ1センチメートル以上の厚切りチャーシューを添えたラーメンを提供する。オリーブオイルを各席に常備し、ラーメンに加えることで好みの味に仕上げることができるのはもちろん、よりSNS映えするように利用することもできる。光沢感が増し、より映えるというわけだ。

 ラーメンでもっともSNS映えしそうなのが、「辛味噌麺かのと」の、チャーシュー10枚を贅沢にのせた「SP かのと肉道(にくどう)〜2910〜」だ。毎月29日限定・数量限定で販売している。山盛りのもやしと器からはみ出すほどのチャーシューがSNS映えしそうだ。

 このように、SNS映えを意識した市場は拡大している。それを表す一例として、SNSのインフルエンサーマーケティングサービスを提供するTHECOOが行ったインスタグラムにおけるスポンサード投稿数に関する調査がある。スポンサード投稿とは、依頼された企業の商品やサービスに関して、フォロワーを多く抱えて影響力のある人がSNS上で行う投稿のことをいう。

 その調査によるとスポンサード投稿数は、15年度はわずか16件だったのに対し、16年度は1000件超に急増したという。17年度は16年度をさらに大きく上回ることが予想されている。当面、外食企業を中心にSNS映えする商品の開発が相次ぎそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)