「別冊カドカワ」で対談が実現した又吉直樹と西野亮廣

写真拡大

同期で同い年、共に芸人の活動範囲を押し広げ活躍しながら、なぜかすれ違ってきた又吉直樹と西野亮廣。「別冊カドカワ 総力特集 又吉直樹」誌上で実現した二人の対談の模様をお伝えする本企画の第三回は、創作する上でのお客さんとの距離感について。

【写真を見る】レビューは気にしないと語る又吉直樹と西野亮廣

■ 実験と自立の場としてのライブの重要性

又吉 ライブは、僕、もともとそれしかできひんいうのと、そこでやったことが割とその他のことに広がっていくんですよね。

西野 そうだよね。「これウケるんだ」とか、「これちょっと長いんだ」とか、ライブしながら、編集してて、マーケティングしてる、っていう。だから、ライブをやればやるほど、たぶん文章の精度も上がるだろうし。

又吉 賞レースでやるネタって、みんな一年ぐらいかけて、いろいろ試して作り上げるじゃないですか。それってやっぱ、ライブでお客さんの反応を見れるからすごく有効で。これは伝わる、伝わらへん、っていうことが常にできてるから。三つ話して、これいっちゃん受けたな、みたいな。「あのワード、この組み立て方の中やったらハマる」とか、文章書く時も生かせると思うんです。

テレビに出る時も「急になんかやれ」って言われて、その場で考えてやってもいいんですけど、ライブで普通にやったギャグとか、やっぱりライブで一回やったことあってウケてるやつがあれば、そっちを出すことのほうが多いですかね。

西野 ライブって楽しいっすよ、単純にね。本の感想をいただく気持ちよさと、ライブでウケた時の気持ちよさは全然違う。

又吉 お客さんがやっぱりお金払ってるからね。もちろん本もそうだけど。

西野 でもアマゾンのレビューとかは、俺、あんまり気になんないっすね。

又吉 僕は、たぶん殺したなるから読まない(笑)。それも書いてるけど(単行本『火花』九十六頁二行目〜)、僕、メシは美味しく食べたいんですよ。メシをまずく食おうとしてる人にはあまり興味がないというか。人が作ったもんの、「いかにまずい食い方をしました合戦」みたいになってるところには、僕が作ったものでも人が作ったものでも、まずなるから関わらない。僕はできるだけ人の作品の美味い食い方を探して提案していきたいなっていう考え方ですね。批評はもちろんあっていいと思うけどね。

西野 確かに。

又吉 自立できるっていうのが、すごい大事やと思うんですよね。クビになったとして、その後にちゃんとライブで食っていけるっていう状況を、どうやったら作れんやろっていう。僕は綾部がアメリカに行ったんで、一人でやるライブもやりたいし、集団でやるライブもやりたい、両方やろうと思ってるけど。ミュージシャンとか、もしかしたら絵描きもそうかもしれんけど、自分一人の力で、最悪、街で歌ってやっていけるみたいな。それすごいなって。

西野 カッコいいよね、あのたくましさ。

又吉 それ、どうやったらできんやろうってのは、何年も考えてますね。

西野 ミュージシャンって、ギター持って前にカンカン置いて、これで生活しようと思ったらできるんだもんね、すごい人は。

又吉 なんか潔さと美しさを感じますよね。あと、僕は才能ないから無理やけど、絵が描けたらいいな、と思いますね。

西野 言語関係ないんだもんね。圧倒的な絵が描けたら。

■ お客さんとの距離感が仕事自体を変える

西野 最近は、お客さんとライブするどころか、バーベキュー大会しちゃいます。僕はお客さんと何かを作るっていうのが好きだから。一昔前だと完全にアウト、今でもアウトかもしんないけど。客とそんなことするのはヨゴレだ、みたいなのあったじゃない? でも、もはやそういう時代ではないと思っていて。作り手とお客さんを完全に分けるという時代じゃなくなった感じがしていて。ここにいるお客さんと、次は一緒に映画作ろうぜとか。

僕、オンラインでファンクラブ作ってて、そこで、「こんな仕事のオファー来ました。どうする?」っていうのをお客さんに決めてもらってる。この間、秋元康さんに言われたんだけど、「もう通帳公開しちゃえば」って。通帳を公開して、吉本から入ってきた給料とか本の印税の使い方とかをみんなで考えたら、西野君の活動がみんなそれぞれの自分事になるから、「西野頑張れ!」ってなるから、そういうほうがいいんじゃない? みたいな。本当におっしゃる通りで、来年どっかで通帳を公開して、「今月は吉本からこれくらい入りました」ってやろうかなって。

又吉 税金の使われ方なんかは、細かいところまで開示されへんっていう議論になるけど、西野くんはクリアしてます(笑)。信用を得られるよ。

西野 信用を得られる。超、信用を得られる。

又吉 でも全部バレるで。

西野 女の子と飲みに行ったりとかも全部バレる。でも、そんなことできる奴はいないじゃん。秋元さんからは、「もう、それをタレントで西野くんくらいしかやんないから、やっちゃいなよ」って言われて。確かにおもしろいなと思って。僕、お客さんと何か作るっていうのがすごく好きですね。だから、本でも情報解禁なんかやんないですよ。いついつ解禁します、みたいなのは。ぬるっと「こんなん考えてます」みたいなところから晒しちゃう。

又吉 事務所は情報解禁にうるさいところもあって。

西野 僕は大前提として所属してないっていうのがあるから、吉本に。社長には以前から言ってるんだけど、「僕たちは所属してないですよね」って。縛る権利がそっちにはないし、縛るんだったら辞めますっていうふうにしてます。だから、僕の意思で情報を流すし、著作権も僕にあるしって。

又吉 言ってること、ほんま正しいですよ。ただ僕は若いころ部屋を借りる時に、「吉本の社員です」って嘘ついちゃったことがあるから。

西野 言っちゃってんだ。

又吉 会社の名前書け、って言われて、吉本興業って書いてもうて。社員といえば社員です、みたいな(笑)。

(次回は12月9日更新です)(ザテレビジョン)