バンドじゃないもん!「歌うMUSIC」に詰まった歴史 日本青年館公演を終え次なるステージへ

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 2017年12月25日、バンドじゃないもん!が『バンドじゃないもん!パーフェクトピースコンサート2017〜日本青年館にSEY YES!を〜』を日本青年館ホールで開催した。

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 2017年にメジャーデビュー5周年を迎えたバンドじゃないもん!は、「バンドじゃないもん!PERFECT YEAR2017」と題した活動を展開してきた。1月11日のシングル2枚同時リリース(『YAKIMOCHI』『YATTA!』)からスタートし、用意された企画は実に第14弾にまで及ぶ。個人的には、10月11日に5,555枚限定シングル『Q.人生それでいいのかい?』がリリースされた際、555枚限定生産の豪華盤(55,555円・税抜き)を購入し、品川プリンスホテルでのメモリアルレセプションパーティに参加したことが思い出深い。

 そんな「バンドじゃないもん!PERFECT YEAR2017」の最後に用意されたのが初のホールワンマンツアーであり、日本青年館ホールはそのツアーファイナルであった。バンドじゃないもん!にとっては2017年最後のライブである。

 会場が暗転すると、オープニングSEの「OVERTURE」が鳴り響き、半透明のスクリーン越しにバンドの演奏がスタートした。そう、今回のツアーはバンドじゃないもん!がバンド「ピスピスバンド」を帯同させたツアーだったのだ。スクリーンにはCGが投影され、バンドじゃないもん!のメンバーが紹介されていく。

 スクリーンが上がると、愛☆まどんなが描いたバックドロップが飾られたステージが登場した。バンドは、キーボードが山下健吾、ギターが高慶”CO-K”卓史、ベースが蛇石徹、そしてドラムが楠瀬タクヤという布陣。12月だけでも諸星和己、飯田里穂などのライブで活躍する楠瀬タクヤのドラムの存在感は大きい。

 「君の笑顔で世界がやばい」でライブはスタートしたが、バンドがいても鈴姫みさこはドラム、望月みゆはベース、甘夏ゆずはギターとキーボードを演奏していくことになる。しかし、その3人もずっと楽器を演奏しているわけではなく、歌ったり踊ったりもする。特に鈴姫みさこは、ドラムセットとステージ前方を行き来するのでせわしないほどだ。

 今回は2階からステージを見ていたのだが、バンドじゃないもん!のステージは情報量の掛け算そのものだと感じた。鈴姫みさこ、恋汐りんご、七星ぐみ、望月みゆ、甘夏ゆず、大桃子サンライズという6人のメンバーの強い個性が、そのまま掛け算となってステージ上の情報量を膨らませていく。踊ったり楽器を弾いたりしながら展開されるフォーメーションは、バンドを従えたステージだからこそ、より特異さが際立った。

 「君の笑顔で世界がやばい」には<“ロックはしんだ”とシモンズ言ってた直接聞いてはないけれど>という歌詞がある。では、今このステージ上で展開されているものはなんだろう? フォーマット的にはアイドル、音楽的にはロック。こうした混沌こそを「アイドル界のミクストメディア」を名乗るバンドじゃないもん!は目指してきたわけだ。

 この日は、途中からトランペットの吉澤達彦、サックスとフルートの石井裕太もバンドに参加。バンドじゃないもん!の最初期からの楽曲である「ショコラ・ラブ」もブラス入りで生演奏された。「しゅっとこどっこい」で、大桃子サンライズのラップパートが生演奏されたのもユニーク。メロウな「ドリームタウン」でフルートが吹かれたのも新鮮で、鈴姫みさこのドラムセットの背後ではミラーボールが輝いた。

 さて、この日、演奏されることを私が待ちわびていた楽曲があった。「歌うMUSIC」である。私がこの楽曲を初めて聴いたのは、2011年5月7日に原宿アストロホールで開催されたバンドじゃないもん!とでんぱ組.incのツーマンライブでのことだった。「歌うMUSIC」という楽曲の持つ圧倒的な昂揚感と力強さは、私がバンドじゃないもん!の現場に足を運ぶ原動力のひとつとなった。バンドじゃないもん!が、まだみさこ(鈴姫みさこ)とかっちゃん(金子沙織・2013年脱退)によるツインドラム編成だった時代の話だ。

 バンドじゃないもん!が現在の6人体制になった後の全国ツアーで、私は遠征した友人たちからある話を聞くことになる。東北でのライブで、「歌うMUSIC」は東日本大震災を踏まえた楽曲だとメンバーが語っていた、という話だ。

 バンドじゃないもん!の始動が2011年の初頭であることを考えると、たしかに時期的には合致する。その後、「歌うMUSIC」を作詞作曲編曲したミナミトモヤに会った際に聞いたところ、事実だという。

 「歌うMUSIC」には<流した涙振り払うため ぼくら笑えば世界が笑う>という歌詞が出てくる。私はなぜその歌詞の真の意味に何年も気づかなかったのだろう? 己の鈍さを呪ったものだ。

 あるいは<いま歌う歌聴かせたいんだ ふざけ合い 肩を寄せ合って/すぐに行くから 聴かせたいんだ 笑顔で歌おうよ 届け>という歌詞。主人公が「届け」と願う相手は、もしかするとすでにこの世にはいないのではないだろうか……とも考えた。

 そんな思いを抱え続けていたところ、バンドじゃないもん!は12月13日にリリースしたミニアルバム『ミニバン!』に「歌うMUSIC(生まれかわりver.)」を収録したのだ。聴いて驚いた。冒頭に挿入されているのは、2人時代のみさことかっちゃんの歌声なのだ。「歌うMUSIC(生まれかわりver.)」には7人の歌声があり、バンドじゃないもん!の約7年の歴史が詰まっている。

 開演前、2011年からともに現場にいる友人から一本のサイリウムを渡された。紫色のサイリウム、つまりかっちゃんのメンバーカラーだ。「歌うMUSIC」が始まったとき、私はそのサイリウムを静かに折った。

 この日の「歌うMUSIC」も、みさことかっちゃんの歌声の音源から始まった。生のブラスが入り、理想を実現してくれたかのような素晴らしい演奏だ。2人時代は全編ドラムを叩きながら歌っていたのだが、現在は振り付けもある。そして、鈴姫みさこと楠瀬タクヤによるツインドラムがこれほど心強く響いた楽曲はない。「歌うMUSIC」にはツインドラムが必要なのだ。

 「歌うMUSIC」が終わると、その余韻を味わう間もなくスクリーンが降りてきて、『ミニバン!』に収録されたメンバーのソロ曲のMVがワンフレーズずつ流された。そして、再びスクリーンが上がると、オケによるソロ曲メドレーが始まった。

 再びスクリーンが降りてバンド演奏が始まると、スクリーンのCGでバンドメンバーが紹介された。そして、スクリーンが上がったときに驚愕したのは、ステージにいきなりセットが登場したからだった。

 「ピンヒール」では、鈴姫みさこが最初のドラムを叩く瞬間、確実にエクスタシーが存在する。楽器を持たない恋汐りんご、七星ぐみ、大桃子サンライズの動きは、アカシックの理姫が書いた歌詞のドラマを描きだしていく。そして、最後の望月みゆのシャウトは長く、そのまま彼女はその場に座りこんだ。

 銀テープが一気に噴出したのが「キメマスター」。照明も凝っており、日本青年館ホールでのライブへの並々ならぬ気合いを感じさせた。

 不安になるほど2階席が揺れた「タカトコタン-Forever-」に続いて、本編ラストはクリスマスということで「雪降る夜にキスして」。再びミラーボールが会場を照らしだした。

 アンコールで最初に演奏されたファンクナンバー「YAKIMOCHI」で、粘っこいリズムやブラスが再現されていたのも生のバンド演奏ならでは。鈴姫みさこと楠瀬タクヤによる突然のドラムセッションは、予想外の見せ場だった。

 ダブルアンコールの「青春カラダダダッシュ!」でこの日のライブは終了。集合写真の撮影時には「歌うMUSIC」が流れていた。そして、バンドじゃないもん!のメンバーとバンドメンバーが一列に並び、つないだ手を上げて終わり……というときに、バンドじゃないもん!は会場のファン同士にも手をつなぐことをうながし、会場全体でつないだ手を上げた。バンドじゃないもん!の「良いお年を!」という声とともに、スクリーンは降りていった。

 2017年は、バンドじゃないもん!にとってひとつの転機だった。その最たるものは「オリコン戦争」からの離脱を宣言したことだろう(参考:https://natalie.mu/music/pp/bandjanaimon05)。『Q.人生それでいいのかい?』が5,555枚限定で、しかも発売当日までタイトルすら発表しなかったのは、そうした姿勢を体現したものだった。オリコンチャートという指標を彼女たちは捨てたのだ。一方では、2018年4月15日の中野サンプラザを皮切りにホールツアーを行うことや、それに先駆けてライブハウスツアーを行うことも発表された。

 2018年、バンドじゃないもん!がどんな指標を提示し、それを実現するためにどんな活動をしていくのかを楽しみにしたい。中野サンプラザのキャパシティは2,222人。バンドじゃないもん!は必ずソールドアウトしようとするだろうし、それはきっと実現するはずなのだ。(宗像明将)