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もくじ

ー 年を追って進化を重ねた初代ボクスター
ー 実は沢山ある、986型の要注意ポイント
ー ボクスター986型の中古車 購入時の注意点
ー 専門家の意見を聞いてみる
ー 知っておくべきこと
ー いくら払うべき?
ー 掘り出し物を発見

年を追って進化を重ねた初代ボクスター

1953年に登場した550スパイダーは別として、ポルシェ・ボクスターのストーリーは1996年に登場した986シリーズから始まった。このモデルは、同時期の996シリーズの911と多くのコンポーネンツを共有している。ミドにマウントされた2.5ℓのフラット6は203psを発生させ、5速マニュアルか5速ティプトロニックを介して、後輪を駆動させる。

それから3世代目となる718シリーズでは、2.0ℓのフラット4ターボから296psを発生。718GTSでは、さらにそれを上回る365psとされている。でも、986シリーズのボクスターのオーナーになるために必要な3000ポンド(45万円)を遥かに超える費用が、718シリーズには必要となる。

初代ボクスターは、1999年に2.5ℓエンジンに代わって、220psを発生する2.7ℓエンジンへとスイッチ。同時に、より高性能なボクスターSがラインナップに加わった。3.2ℓのフラット6は252psを発生し、0-100km/h加速は5.9秒と十分。6速マニュアルか、従来通りの5速ティプトロニックを組み合わされていた。今なら英国では、このSは、4750ポンド(72万円)ほどから手に入る。

このSに装備されていたダブルスキン・ルーフは、翌年には標準モデルにも装備されるようになる。さらに両モデル共に、側面衝突時に乗員を守る、ポルシェ・サイドインパクト・プロテクション・システム(POSIP)も導入された。

加えて、モトロニック・エンジン・マネージメントとバリオカム(バリアブル・カムシャフト:可変バルブ機構)が2003年に導入され、ベースモデルのボクスター2.7で228ps、Sでは259psにまで、最高出力が高められた。更にはリアウィンドウがガラス製に変更されている。

この2003年モデルが比較する中ではベストといえる。987シリーズへのモデルチェンジが迫っていた2004年には、Sをベースに最高出力を264psへと向上させた限定車「アニバーサリー」が発表された。

実は沢山ある、986型の要注意ポイント

この現役の8年間で、3種類のエンジンと6種類の最高出力を持つモデルが存在する。どれを選ぶべきか迷うところだが、中古の986ボクスターを購入する際、実は気にするべき略語や、注意すべき箇所があるので、触れておきたい。

まずはじめに、RMS(リア・メイン・オイルシール)と、IMS(インターミディエイト・シャフト)ベアリングについて。購入時の注意点でも触れているが、どの986シリーズのボクスターでも起き得るのが、RMSのトラブル。部品自体は安いが、ミッションを下ろす必要があるので、交換費用は安くはない。

またIMSベアリングは、シングル・ベアリング式の2000年以降のクルマは、初期型のデュアル・ベアリング式のクルマと比較して、故障しやすいといえる。

RMSとIMSベアリングが交換済みのボクスター3.2Sで、状態の良い2002年式、走行距離13.5万km、整備簿が全て揃った状態のクルマが今回、目に留まった。2011年に上記の交換などの整備がされていて、プレミアムも乗っていると思われるが、売価は8000ポンド(121万円)となっていた。

加えて、シリンダーライナーのヒビ、エンジンブロックに開く小さな穴……。実はまだ沢山あるのだが、整備記録が揃っていないクルマや、手の掛けられていない走行距離が極端に浅いクルマは避けるということが、最善だ。

フラット6を積んだ、程度の良い初代ボクスターのマニュアルなら7000ポンド(106万円)ほど。718シリーズのGTSが横に並んでも、羨ましがらないで済むだろう。

ポルシェ・ボクスター(986シリーズ)の中古車 購入時の注意点

エンジン

2001年以前のモデルは、シリンダーライナーのヒビが原因で、エンジンオイルが白く濁る乳化状態となっている可能性がある。その場合は、専門家によるシリンダー内の点検が必要。

2002年以前のモデルは、バリオカムのタイミングチェーン・テンショナー部分のガイドの劣化/摩耗に注意する。破片がエンジンオイルに混入し、気付かずにオイル交換せずにいると、エンジン内の摩耗も進んでしまう。

2000年以降のエンジン後部からのベアリングノイズは、IMS(インターミディエイト・シャフト)ベアリングの不具合のサイン。年式を問わず、エンジン下部のオイル漏れは、RMS(リア・メイン・オイルシール)が劣化している証拠と言える。

ミスファイアや回転にムラがある場合は、イグニッションコイルが破断していることがある。加速がスムーズでない場合は、MAF(マス・エアフロー)センサーが原因。

クーラントの拡張タンクが割れていないかも要チェック。オイルセパレーターの詰まりが原因で、排気ガスが白くなる場合がある。ラジエーターが汚れで詰まっていないかも確認が必要だ。

トランスミッション

1速から2速への変速時の固さ、2速から不意に抜けないかを確認する。クラッチは、正常なら十分に軽く、重い場合は不具合の証拠。

サスペンション、ホイール、ブレーキ

ブレーキパッドとディスクの品質に関しては、整備記録の明細などで確認をする。ロワアームブッシュは6万4000kmほどで駄目になるので、ボディと接合する側の、トレーリングアーム上のローズジョイント(ピロボール)からの接触音を確認する。ハブベアリングの劣化も、異音でわかる。タイアはポルシェ認定のN規格品が良い。

ボディ

屋根からのドレインが詰まっていると、座席背面下に水が溜まることがある。ボンネット、エンジンリッドの開閉がスムーズかを確認する。ボディ周りの錆は、修復が完璧でない場合以外は、ほとんど発生しない。

専門家の意見を聞いてみる

ラス・スタンレー
レボリューション社

「7000ポンド(106万円)くらいで手に入れられるスポーツカーで、ボクスターほど楽しめるクルマは、ほかに無いと思います。でも、1000ポンド〜2000ポンド(15〜30万円)は常に修理費用として手元に置いておくと良いでしょう」

「一度運転すれば、夢中になるに違いありません。最大の懸念は、やはりIMSベアリングです。もし異音が出いるなら、やめたほうが良いでしょう。注目すべきは、やはり修理済みのポルシェ。販売価格と修理費用は別です」

「内容の悪くないクルマを見つけると、我々は買い取りに行きます。先週にも、2001年式の2.7ℓモデル、走行距離9万kmのクルマを仕入れてきました。過去3年間について調べてみましたが、整備記録はしっかりしています。1年間の保証付きで、7500ポンド(113万円)でご提供しますよ」

知っておくべきこと

IMS(インターミディエイト・シャフト)ベアリングは、986シリーズのオーナーなら誰もが知っている不具合。実際に発生する割合はそれほど多くはないが、不具合が起きて放置しておくと、エンジン自体を駄目にしてしまう。予防策のひとつとしては、クラッチ交換をする機会にあわせて、より頑丈なセラミック製のベアリングに交換してしまうことだ。

いくら払うべき?

3000ポンド〜4995ポンド(45万円〜75万円)

整備記録が不完全な、2003年までの、標準の2.7ℓか、3.2ℓのS。ディーラーの中古車で、2001年式の2.7ℓモデルで14.9万km、サービススタンプ(整備証明のハンコ)が13個押してあるクルマを、4995ポンド(75万円)で見つけた。

5000ポンド〜7495ポンド(76万円〜113万円)

整備記録が揃う、2000年以降の2.7ℓのSか、3.2ℓのS。2003年式で17万kmの2.7ℓモデルが、ポルシェでの整備記録が揃っていて、6000ポンド(91万円)で発見した。

7500ポンド〜9495ポンド(114万円〜144万円)

信頼できる状態の、走行距離が浅めの2002年以降の2.7ℓのSか、3.2ℓのS。個人売買の2002年式の3.2ℓのSで、13.4万km、ポルシェでの整備記録が揃っていて、IMSとRMSが交換済みのクルマを、8000ポンド(121万円)で見つけた。

9500ポンド以上(145万円以上)

後期型で走行距離が浅い、3.2ℓのSで、IMSとRMSが交換済みのクルマ。

掘り出し物を発見

ポルシェ・ボクスター 登録2002年 走行14万km 価格5000ポンド(76万円)

レボリューション社の紹介にある、2001年式で9万kmのボクスターよりも2500ポンド(39万円)も安い、個人売買のクルマ。浮いたお金を整備費用に回せる。4オーナーで、整備記録も揃っている。ティプトロニックなので、オーバーレブさせた機会は少ないはずだ。