誰でもネットカリスマになればお金を生む時代到来。2018年のインフルエンサー事情は?

写真拡大

 インフルエンサーとは「人々に大きな影響力を持つ人物」という意味で、具体的には著名人やカリスマブロガーなど、SNSで数万〜数百万人単位のフォロワーを持つ個人を表す。

 近年、その発信力を広告やマーケティングに活用する企業が増えており、その世界的市場規模は5億円で、今後5年で100億円規模に達するとも言われる。

 日本でも2017年、SNS上ですでに多くのフォロワーを持つ学生を優遇する「インフルエンサー採用」を導入する企業が現れ、また「インスタ映え」が流行語大賞を受賞するなど、この趨勢が一層加速していくことは明らかだ。

 SNSマーケティングに詳しい、ITジャーナリストの坂本翔氏は次のように話す。

「企業がインフルエンサーを使うメリットは、広告代理店よりも少ない費用で効率良くターゲットにアプローチできる点に尽きます」

 インフルエンサーが、広告ターゲット層のフォロワーにSNS上で商品紹介をしたり、企業広告に登場することで、最大限の広告効果を望めるのだ。そんななか、2018年特に予測される動きとは?

「インフルエンサーの数自体が増えるのはもちろん、ジャンルの多様化と適用範囲の細分化が起きてくるでしょう。たとえばファッション一つをとっても、趣味趣向ごとに人気を得る人が出てくる。また、企業側にはフォロワーが数千〜1万人程度のナノインフルエンサー、数十万人以上のマイクロインフルエンサーの使い分けも求められます。人口10万人程度の地方都市にある企業や店がトップインフルエンサーを活用して数十万人〜数百万人に拡散するのは費用対効果が悪い。そこで、その都市に住むマイクロ、またはナノインフルエンサーを使うことで、費用対効果の高い集客ができるのです」

 同じ広告キャンペーン内で、大小のインフルエンサーを使い分ける手法もあるようだ。

 またインフルエンサー起用にあたって、もう一つ重要な要素がある。

「10万人のフォロワー数があっても、『いいね!』やコメントが数百程度しかつかないアカウントは広告効果が薄い。運用の仕方にもよりますが、エンゲージメント率は一つの大きな基準になります」

 フォロワー数だけが重要ではないことは「THECOO株式会社」の調査からも窺える。これによるとインスタグラムでスポンサード投稿を行っている個人の平均フォロワー数が約8万人だった年7〜9月に対し、同年10〜12月期においては、約6.5万人へと減少。一方で、スポンサード投稿を行うインフルエンサー数が急速に増えていることから、企業にとってエンゲージメント率がより重視されていることの証左といえる。

◆周辺ビジネスも活性化、法整備が急務

 こうしたなか、懸念されるのがステマとの差別化である。基本的にPR投稿の場合、インフルエンサーはそれを示すハッシュタグをつけることが暗黙のルールとなっているが、現時点ではPR投稿であることを明示する法的義務はない。それ以外にも、想定される問題がある。

「たとえば健康食品の場合、薬事法や医師法上の表現規制がありますが、それが遵守されてない投稿をきっかけに購入し、体に悪影響が出た場合は訴訟に発展するケースもありうる。しかし現状では『個人の投稿を通じて買ったならうちは関係ない』と責任回避する企業もあるといいます」

 トラブルを避けるにはSNS側がPR投稿へのガイドラインを設け、企業とインフルエンサーが契約時にしっかりと確認するほか、ユーザ側の知識も求められる。このような状況のなかで坂本氏は、法整備が大きな課題であると指摘する。

「インフルエンサーマーケティングはまだ法律が追いついていない広告活動。今後数年かけて皆が実践を通じて学んでいく必要があると感じます」

 一方で、インフルエンサーを養成したり、マネジメントするなどの周辺ビジネスも活性化する兆しだという。今年はインフルエンサーとのコラボレーションが、経済に大きな転換をもたらすに違いない。

【坂本翔氏】
ITジャーナリスト。SNS集客支援を行う株式会社ROC代表取締役CEO。著書に『Facebookを「最強の営業ツール」に変える本』

<取材・文/安英玉>