外を走るにしてもジムで走るにしても理屈は同じです(写真:sasaki106 / PIXTA)

この季節になると駅伝やマラソンの報道が連日、テレビや新聞などをにぎわす。ランニングシューズを扱ったTBS日曜劇場『陸王』(2017年10〜12月放送)も好評だった。
一方、颯爽と走るスタイリッシュなランナーを見かけて「走ってみたい」と思ったものの、なかなか始められないという人も多い。そんな悩みに答えるべく、伊達公子選手や福原愛選手、そして箱根駅伝を連覇した青学大駅伝チームのフィジカルトレーナーを務めた著者が『世界一やせる走り方』に紹介した、ランニングの初心者が走ってやせるために必要なことを一部公開する。

走ることを「イベント」ではなく「習慣」に変える

「確実にやせるためには、週に何回走ればいいですか?」

という質問をよく受けます。では、どのぐらいの頻度で走ればやせるでしょうか。

答えは「その人が習慣にできる回数」です。とはいえ、残念ながら月1回では習慣にしてもやせられないので「週何回」という質問はある意味正解です。ただし「誰もが週●回走ればやせられます」とも言えません。

大学教授などは「理論的には最低、週2〜3日」という回答をするでしょう。でも長年、現場でさまざまな人の体を見ていると、やせるペースは十人十色で「何回」などと断言できなくなります。

重要なのは決まった回数ではなく、習慣化できるかどうか。たとえ1回に90分間走れても、月に1〜2回しかできなかったり続けられなかったりしたら、当然、やせるのは不可能です。でも運動習慣のなかった人が15分間でも毎日走れるようになったら、確実にやせられます。

私のクライアントもダイエットに成功している人のほとんどが、毎朝20分、月水金、帰宅後毎日15分、週末20〜30kmなど「運動のパターン化」に成功しています。もちろん最初は、距離なり時間、頻度を少なめからスタートしてもいいし、いくつかパターンを用意して、週ごとに変えてもいい。そうやってベストな時間帯、タイミングをつかんでいくのです。

走ることを「イベント」ではなく「習慣」にする。それが成功した瞬間、体にやせスイッチが入るのです。

ダイエットが趣味の人の中には、カロリー計算が大好きな人がいます。レコーディング・ダイエットがブームになったときは、つねに食品のカロリー一覧表を持ち歩き、お弁当やパン、お菓子を購入するときも必ずカロリーをチェックして書きとめ、体重コントロールの指針にした人が大勢いました。

しかし、それができたからといって思いどおりにやせられるわけではありません。やせるペースや脂肪の落ちやすい部位、筋肉のつき方は一人ひとり顔が違うように千差万別。同じカロリーのものを食べて、消費しても、数字どおりにきっちりやせるわけではないからです。

でも明確な数値で消費カロリーを知ると、ダイエットプランの目安になるし、もちろん、やる気にもつながります。自分がどれだけ消費できたかを知ると「走って消費した分を無駄にせず、食事の量や内容をコントロールしよう」という気持ちにもなれるはずです。

逆に「食べることをガマンするのは無理」という人にも、励みになります。
たとえば、私もその一人。私は子どものころからハンバーガー、ピザ、コーラなど、いわゆるジャンクフードが大好きです。おいしいと評判のハンバーガー屋の情報が入れば、真っ先に食べに行きたくなります。

太らないようにバランスはとらなければいけない。でも食べることはガマンできない。そこで「カロリーオーバーになるから運動しよう!」と、いつもより長い距離を走ったりする行動につながります。そうすれば「これだけ走ったから、罪悪感なく食べるぞ!」というポジティブな気分のまま、運動も食事もできるのです。

1km走ったときに消費するカロリーを把握しよう

「でもカロリー計算は難しそう……」と思う人もいるでしょう。

実はとても単純な計算式で算出できます。「消費カロリー=自分の体重(kg)×走った距離(km)」。80kgの人が3km走れば240kcalを消費。60kgの人が5km走れば、300kcalを消費できます。

1kgの体脂肪を落とすには7200kcalのエネルギーを消費しなければいけません(1gにつき7.2kcal)。半年で7kg落としたい場合、1カ月で約1.2kgの体脂肪を落とす必要があり、これを1週間に換算すると300gです。300gの脂肪燃焼に必要なエネルギー量は300×7.2=2160kcal。

体重80kgの人が走って消費するとなると、2160÷80=27。1週間に27km走ると、半年で7kg減量のプランが立ちます。

【1月4日14時50分追記】記事初出時、「半年で5kg落としたい場合」「半年で5kg減量のプランが立ちます」とありましたが、それぞれ7kgの誤りでしたので上記のように修正しました。

このままだと、週3日なら1回9km、週2日なら1回13.5kmも走らなくてはいけません。これは、さすがに初心者には厳しい条件です。ならば走る回数を増やす、あるいは目標達成までの期間を延ばせばいい。週5日走れるならば1回5.4km。これでもなかなか難しい。であれば目標期間を1年に延ばす。すると週13.5kmを週3〜5日かけて走ればいい、となります。

もちろん「早くやせたいんです!」という気持ちはわかりますし、私のクライアントも、ほとんどの方がそう口にします。でも早くやせようとすれば、それだけハードな運動や食事制限が必要になる。超えるハードルが高くなるほど続かなくなり、挫折する確率も高まる。目標に到達できないなら、最初から無理をしないほうが賢明です。

千里の道も一歩から。いつの間にか太ってしまった体も、コツコツ走ればいつの間にか引き締まります。プランを立てるときの最優先事項は「いかに早くやせられるか」ではなく、「いかに自分が続けられるか」です。

最初はゆっくり、息が切れないペースで数分走り、数分早歩きする程度で十分です。そのほうが走ることに体が慣れていくので、痛みやケガのリスクを低減できます。

習慣化に失敗する人の多くは、ハイペースで走って疲労困憊したりひざが痛くなったりして、継続する気持ちが失せてしまいがちです。

まず「やせたい理由を深く心に刻む」ことが必要

「なぜ走ろうと思ったのか」

この最初の動機を明確にすることが重要です。

なぜやせたいと考えているのでしょうか?

どんな自分になりたいのでしょうか?

体脂肪または体重をどのぐらい落としたいのでしょうか?

それを、いつまでに成功させたいのでしょうか?


コンプレックスを解消したい、メタボ体型から脱出したい、モテたい。5kg、いや10kg体重を落としたい。結婚式まで、夏までにやせたい。体重よりも見た目を引き締めたい、やせなくてもいい、これ以上太りたくない……。

これらの動機を明確にして文字化しておくといいでしょう。手帳や日記に書きとめたり、壁に張ったりするのもおすすめです。

ダイエットは一朝一夕では成功しません。まずなすべきは走ることを習慣にし、途切れ途切れでも続けること。最初の動機が、ぼんやりして忘れたりすると「やめたいなぁ」と弱気になった瞬間、あっという間にサボりグセや怠けグセに打ち負かされるのです。

「やめたいなぁ」と思ったら、必ず最初の動機に立ち返りましょう。やせたい理由を強く心に刻むことがスタートラインです。