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80年代スタイルへの全面刷新

1981年、シボレーは第3世代のカマロを発表する。エッジの利いたデザイン、奥まって設置された角型4灯ヘッドライト、空力性能の高さを感じさせるシルエット。すべてが過去の型枠から解き放たれた、新時代の到来を感じさせるデザインだった。

当時のGMは、カーマニアたちと環境保護庁を同時に満足させるエンジンを模索しているまっ最中。81年登場のカマロには、アイアン・デュークと呼ばれるたった91psの2.5ℓ直4まで設定されたが、これに満足する者などそうはいない。その上には2.8ℓV6があったが、これも114psに過ぎなかった。トップグレードにはZ/28の名が与えられ、キャブレター仕様の5.0ℓV8が搭載されたものの、147psというのは初代カマロのベースグレードとほぼ同じ最高出力だった。

いまひとたびの晴れ舞台

新型カマロを売り込む起爆剤とするべく、シボレーは1982年のインディ500ペースカーにこれを送り込む。しかし、懸念された重大な問題点があった。ペースカーの重責を果たすには、速さが足りないのだ。それは5.0ℓV8仕様でさえ、要求されるレベルに遠く及ばなかった。そこでペースカーには、253psを発生する5.7ℓV8のインジェクション仕様が搭載された。となれば、定番のレプリカモデルにも期待が寄せられたが、こちらは市販版V8に留まった。

シボレー・カマロIROC-Z(1985年)

1980年代中盤に入ると、失われていたパフォーマンスに復活の兆しが見え始める。インターナショナル・レース・オブ・チャンピオンズに提供されたことから、IROC-Zと銘打った新規グレードは、Z/28パッケージをベースにアップグレード版サスペンションや218psのインジェクション版V8を装備し、外観も専用仕立てが施された。これにより、このカテゴリーに再登板していたフォードとのパワーウォーズには終止符が打たれた。

シボレー・カマロ・コンバーティブル(1987年)

1987年、18年間の沈黙を破り、コンバーティブルのカマロが返ってきた。このとき、228psの5.7ℓV8も導入され、ようやく車格にふさわしいパワーを、一応は取り戻した。その陰で、アイアン・デューク直4はラインナップからひっそりと姿を消したが、それを嘆く者は誰もいなかった。

3度目のフルモデルチェンジ(1993年)

4代目となるカマロの登場は1993年1月。デザインティームは白紙からスタイリングを見直し、最先端のトレンドに則りながらも、ひと目でカマロだとわかるルックスを模索した。ボディパネルには複合材も用いられ、1500kgを切るウェイトを実現。エンジンは、デビュー時から279psのV8が設定された。4度目のインディ500ペースカーも務めたが、前回と違って、もはやエンジン換装のような大幅な強化を施す必要はなかった。

35thアニバーサリー・エディション(2002年)

1999年には、モデルライフ中盤に恒例のマイナーチェンジを実施。前後のルックスを改修し、標準仕様で309ps、最上級グレードのSSでは324psを発生するオールアルミの5.7ℓV8を搭載した。その走りはまさしくマッスルカーのそれで、いわゆる直線番長。ワインディングでの扱いには手を焼いた。

SSをベースに、2002年に設定された限定モデルが、35周年記念車だ。Tトップ・クーペとコンバーティブルが設定され、ブライトレッドのボディには1対のレーシングストライプが走り、ブラックとグレーのレザーシートが装備された。およそ3400台が、このパッケージで販売された。

ついに迎えたモデル消滅

世の中がミレニアムに沸くころ、カマロのセールスは急落し、マッスルカーは存続の危機に瀕していた。シボレーは2002年8月、ついにカマロの生産を打ち切り、兄弟車のファイアーバードも合わせて消滅。次期モデルは用意されず、35年の歴史はこのまま幕を閉じる、と誰もが悲嘆した。

シボレー・カマロ・コンセプト(2006年)

シボレーが2006年のデトロイト・ショーに出展したカマロ・コンセプトの姿に、世界中のファンは熱狂した。400ps級のクーペは、1969年モデルをモチーフとしたレトロ・リバイバルなルックスだったが、前年に登場し、初代を意識したデザインが圧倒的な指示を集めたマスタングに刺激されたことは想像に難くない。翌年のデトロイトでは、カマロ・コンバーティブル・コンセプトも登場するが、これはより量産型に近づいたことを予感させるデザインとなっていた。

シボレー・カマロ(5代目・2010年)

わたしたちが完全な脳死に陥っていないことを示す証拠として、GMはシボレー・カマロを造るつもりです」とは、2006年当時のリック・ワゴナーCEOのコメントだ。しかしながら、GMは財政が逼迫しており、5代目カマロの登場は2010年まで待たされることとなる。

コンセプトカーにインスパイアされたスタイリングと、前後フェンダーの張り出したコークボトル・ライン、エンジンは325psのV6と432psのV8。Tトップは設定されなかったが、翌年には正真正銘のコンバーティブルが追加された。5代目カマロの人気は高く、それは国内需要を満たすのに精一杯で、輸出仕様の用意が遅れたほどだ。

過熱する筋力増強

シボレーは5代目カマロのパワーアップに伴い、かつてのハイパフォーマンス・バージョンの歴史的要素も盛り込んだ。2012年にはZL1の名が蘇り、588psの6.2ℓV8スーパーチャージャーを搭載。2014年に設定されたサーキット志向のスパルタンなZ/28には、コルベットZ06から拝借した512psの7.0ℓV8が積まれた。

そして現在は……

6代目となる現行モデルは2015年5月デビューで、キャデラックがATSやCTSで用いる先進的な後輪駆動プラットフォームをもとにしており、ウェイトを大幅に削減。久方ぶりの設定となる4気筒モデルでも、この軽量化と、279psの最高出力により、かつてのアイアン・デュークのような悲惨なことにはなっていない。もちろん、6気筒と8気筒も用意される。

この6代目も、比較的価格の手頃なパフォーマンスカー、という点は伝統通り。これまでと大きく違うのは、ついにみごとなハンドリングを手に入れた点だ。

シボレー・カマロZL1 1LE

カマロ史上最も過激なロードゴーイングカーが、2018年モデルに設定されたZL1 1LEだ。659psのV8スーパーチャージャーを積み、6段MTを介して後輪を駆動する。1LEという記号が示すのは、カーボンを用いたボディキットや調整式サスペンションなどを含むパッケージオプションだ。

現代版ZL1はスペックだけでなく、価格もずば抜けている。1LEパッケージを装着しなくても、そのプライスは初代ZL1と同様にベースグレードの2倍ほどになるのだ。