IMFによると、中国の国内総生産(GDP)は2014年に、実態に近い購買力平価(PPP)で米国を追い抜き、世界一位になった。多くの国にとって貿易相手国のトップを占める。軍事予算も急拡大、周辺諸国には相当な威圧感を与えることになる。写真は北京・天安門。

写真拡大

国際通貨基金(IMF)によると、中国の国内総生産(GDP)は2014年に、実態に近い購買力平価(PPP)で米国を追い抜き、世界一位になった。15年以降も2位米国との差を拡げている。消費市場としても実質世界一であり、多くの国にとって貿易相手国のトップを占める。

世界銀行と中国国家発展改革委員会の共同研究報告書『中国2030―近代的で調和のある生き生きした高所得社会の構築』は、「最も重要な地球的メガトレンドは中国の台頭であり、今後の20年間、中国以外の他のいかなる国も世界経済に大きな影響力を与える準備はできていない。世界最大の経済力を誇る国として米国を追い抜くだろう」と記した。

中国・習近平政権の有力ブレーンである胡鞍鋼・清華大学教授・国情研究センター長は、2035年には中国は世界最大の経済国家となり、名目GDPは世界の30%に達するとの見通しを明らかにした 。中国は10月の共産党大会を経て、新たな時代と目標達成に向けて踏み出した。新ガイドライン(イノベーション、調和、グリーン、開放、安全など)に基づいて、構造改革と経済成長を両立させ、(1)絶対的貧困の撲滅、(2)環境汚染の解消、(3)技術革新―などを推進することになった。

同教授によると、中国は2035年までに1人当たりのGDPも急拡大、「中所得国の罠」(中進国が経済発展の限界に直面すること)をクリアする。研究開発投資額も米国を凌駕し、格差も著しく縮小。平均寿命も80歳程度に伸びる。CO2排出量は大幅に低減し、環境問題が解決する。経済社会の改革・革新が進展し、新興企業が急増して高い経済成長を維持する。

◆高速鉄道、高速道路も世界一

中国はやがて人口減少に転じ、高齢者人口(現在約2億2000万人)が2040年には約4億人に達する。しかし中国の労働就業率は56%以上と総人口の半分以上の水準を維持するため、懸念することはない。労働生産率も高水準を保つので、労働人口が減っても経済成長を維持できる。2020年〜2035年に5.7倍程度になる。米国の労働生産率の1.3倍程度と比較しても、高い水準維持し、優位を保つことが可能になる。

交通網の整備も経済成長に寄与している。高速鉄道の総延長はすでに2万2000キロ超。既に世界の他国のすべての高速鉄道を合計した距離を上回っている。11年の脱線事故で300キロに減速していた最高時速も昨秋350キロに戻した。高速鉄道のどの駅も空港のように巨大で驚かされる。地下鉄も全国主要都市で拡張。上海、北京の総延長はロンドン、ニューヨークを越え、世界一の水準だ。中国の高速道路の総延長は、現在約13万キロと日本(約9000キロ)の十五倍の規模に。近年は年平均で約六千キロ以上の高速道路が建設され、計画では米国も上回る勢いだ。

◆米国に代わって貿易秩序の主導者に?

国際政治経済に詳しい渡邊頼純・慶大教授は、トランプ大統領の通商政策は環太平洋連携協定(TPP)からの離脱、世界貿易機関(WTO)の軽視など「多国間協定より二国間取り決め」であると指摘。このままでは中国が米国に代わって貿易秩序の主導者になる可能性がある」と予想。日本企業が東アジアで構築してきた生産ネットワークの維持強化のためには、中国、インド、東南アジア諸国などを含む東アジア包括経済連携(RCEP)の推進が重要と提言している。

ところが日本の書籍、週刊誌や月刊誌、夕刊紙などは、この20年来、「中国崩壊の序章」「中国経済、破たんへ」…。中国経済の先行きについて「破たん」「崩壊」といった一方的な見通しを強調し、否定的な面だけをクローズアップしたりする傾向が鮮明である。

作家の石川好氏は「日本は中国に対し、1931年以来宣戦布告もせず、事変扱いにして中国国内で戦闘行為を行ってきた。中国を他者として認めてこなかったわけで、一段見下していた」と指摘。「日本でこの傾向は今でも続いており、中国が大きくなったことを認めたくない心情が働いている。日本で『中国崩壊本』や『嫌中本』ばかりが溢れるのは、現実を全く直視していない証拠である」と断じている。