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もくじ

ーシトロエンBX GTI 16Vの基礎知識
ー考えるより走れ! 「VTECのようなシトロエン」
ーAUTOCAR記者の今の評価は?
ー「買い!」と思ったアナタに…… 最後のアドバイス

シトロエンBX GTI 16Vの基礎知識

・製造:1987年〜1993年
・最高出力:160ps
・現在価格:1000ポンド〜7000ポンド(15万〜106万円)

シトロエンBX GTI 16Vをご存知だろうか? クルマに詳しいと自負している人に質問しても、ぽかんとした顔をするかもしれない。

実際のところBX GTI 16Vの知名度は低く、ほとんど底値で海外に流失している状態だ。クルマに同情してしまう。

非常に安価で入手できたため、エンジンを載せ替えたいプジョー205のオーナーに購入され、残ったボディは廃棄されることが多い。残存数は急激に減少している。快適性重視のサスペンションのクルマを見つけて、コーナリング性能を高めれば、同じような魅力を味わえないだろうか?
 

考えるより走れ! 「VTECのようなシトロエン」

今の感覚で乗り込んでインテリアだけを見ると、やはり過少評価してしまう。眼前には冴えないプラスチックの海が広がり、ドアハンドルの感触は安っぽい。ドライビングポジションは着座位置が高すぎるし、酷く傾いた大径ステアリングホイールは、膝のすぐ上まで伸びている。

しかし、そのハンドリングは秀逸だ。フロントタイヤをダイレクトに操舵している感覚があり、ノーズを巧みにコントロールできる。サスペンションは、コンフォートな味付けながら、シトロエンの他のハイドロモデルよりは、ずっと硬めの設定。元気なエンジンサウンドにやる気が湧いてくる。

ここで、BXの廃車を多く産むきっかけとなったエンジンについて触れておこう。プジョー405MI16と共通のもので、6500rpmで160psを発生。レッドゾーンは7000rpmからだ。4500rpm付近でカムが乗ってくるから、まるでホンダのVTECとよく似た感覚が味わえる。

エンジンサウンドはレッドゾーンまで引っ張ってもさほど変化はなく、攻め立てると少し苦しそうにも聞こえる。サウンドとスピードに関しては、物足りなさがある。
 

AUTOCAR記者の今の評価は?

しかし、シトロエンのフワフワとした独特なサスペンションに、スポーティなエンジンを搭載したモデルは他にはない。想像している以上に、走りの楽しさがある。BX GTI 16Vのソフトな足まわりが、他のホットハッチとは異なるユニークな乗り味を実現したのだ。

コーナーでは大きくロールするし、水平を保つ特性を持っているにも関わらず、ハードブレーキング時にはテールが持ち上がる。しかし、コーナリング中でも路面の凹凸を吸収してくれるので、高い安定性を確保する。


クイックで正確なステアリングと、操作しやすいマニュアルミッションのおかげで、コーナーからコーナーへと自在に泳いでいく。強力なブレーキは、いつだって必要な分だけ減速させられるから使い心地が良い。コーナーの立ち上がりで内輪をスリップさせる力強い高回転型エンジン。軽量ボディを狙い通りに、そして俊敏に振り回すことができる代物だ。

これほどのダイナミクス性能を持っているのだから、もっと高い評価を得ても良い。幸いなことに、BX GTI 16Vの市場価格は上昇傾向にある。ただし、タマ数が少ないので探すのは容易ではない。それに他のフランス車と同様に、それなりの修理代も必要となる。しかし、BXはどんなシトロエンよりもコンディションを保ちやすいことも覚えておこう。

修理に多少お金が掛かったとしても、価格が低い “今” のうちなら、80年代のホットハッチだけが持つ世界観は代えがたい魅力。しかも、BX GTI 16Vなら個性的だし、エキサイティングな走りを味わえる。
 

「買い!」と思ったアナタに…… 最後のアドバイス

購入時の注意点

サブフレームのマウント、Cピラー周り、フロントスカートの内側、車内前方のスカットル、フロントドア周り、フロントウインドウ周辺やトランクのフロアなど、錆びやすいポイントが多数ある。

油圧ポンプとエアスプリングを組み合わせたサスペンションは、一般的に言われるほど複雑ではないが、オイル漏れは要確認。クルマが傾いている場合、車高調整システムの修理が必要となる。

車内のパーツ類はもろいうえ、入手も難しい。折れていたり、欠けていたり、紛失している部品に関しては全てを把握し、購入前に確認しておこう。

この年代の電気系統は信頼性が低いので、警告灯の点灯は前提としておくこと。多くは軽微な内容だが、中には重大な故障の場合もあり、念のためにひとつひとつ確認して修理することをお勧めしたい。

加えて一言 読者の皆さまに

BX GTi 16Vには心を惹きつけられる。優れたパフォーマンス、装備の充実、快適性が、このクルマの価値を裏付けている。ひとつやふたつの不具合はあっても、運転を楽しめるから、所帯持ちのドライバーにとっても魅力にあふれる存在だ。あるジャーナリストは「 “もう少し” の部分があっても、それこそBXのあるべき姿」と評している。