【衝撃のゾゾスーツ】アパレル業界に革命、自動採寸スーツが登場

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 ECサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイが昨年11月末に「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を発表し、ファッション業界に衝撃が走った。着用してスマートフォンと接続すると自動的に採寸され、ゾゾタウンでそれに合った商品を購入できるというものだ。

 転換が起きつつある今年のアパレル業界の動向について、社団法人「服のコンサルタント協会」代表理事の森井良行氏は解説する。

「年のアパレル業界は、『定番アイテム』と『機能性素材(テック素材)』がキーワード。また、年頃から始まったノームコアの流れが今年も続きそうです。シンプルな定番アイテムや定番コーディネートが主流となる時代。かつてファッションは若い世代が個性を表現する手段でしたが、現在ではより実用性が重視される流れなのです」

「ノームコア」とは「究極の普通」を意味し、一シンプルなスタイルを指す。ユニクロの広告で見かけるような、奇をてらわないオーソドックスなスタイルのことだ。

「年代〜年代半ば頃までは、“これさえ着ていればオシャレ”という時代がありました。たとえば年代はコム・デ・ギャルソンをはじめとするモノトーンファッションやケミカルウォシュジーンズ、90年代はスタジャンやナイキのエアーマックスなどが注目されましたが、それ以降は流行が多様化した。さらに年代以降はもはや流行という概念自体が希薄になった。昨年の服が今年も同じ値段で売られていることもあり、『今これが流行っている』と言えない時代になりました」

 ユニクロがファストファッションからの脱却をはかり、リーズナブルでも長年着られる「ライフウェア」を提唱しているのは、その表れと言える。

 だが、そうしたなかでも保温性や速乾性、軽量性などの機能を持つ化学繊維「機能性素材」を使ったアイテムは極めて好調だという。流行をしいて言うなら、これだと言えそうだ。

 ユニクロのヒートテックやエアリズムが代表例だが、近年は東レや帝人といった繊維メーカーが次々と開発を進めている。

「東レのクールアベニュー、帝人のアクティビスト、小松精錬のクールドッツなどが好調です。いずれも夏向けの軽くて涼しいポリエステル系素材ですが、この2〜3年で質感が大きく改善されました。高級感があって着心地もよく、価格も手頃であるため、ジャケットなどによく使われています」

 東日本大震災以降、クールビズが社会全体まで浸透したことも後押しした。節電意識が高まり、機能性素材を着用することの意味が大きくなったのだ。

「百貨店の売り上げは苦戦が続いており、今後はネット販売の流れが拡大していくでしょう。ゾゾタウンの返品可能な制度は日本人の国民性には抵抗が大きいですが、ここをクリアすれば、新たな時代に突入するかもしれません」

◆コーディネートからシェアまで、個人向け需要拡大?!

 一方、個人向けスタイリストの需要が高まりつつある。

「定番の時代には、個性の薄いアイテムをどう組み合わせるかというコーディネートの需要が増える」

 モデルや芸能人、経営者といった特別な人だけでなく、感度の高い人であれば気軽にスタイリストを利用する流れになりつつある。

 たとえば女性向けのファッションレンタルサービス「エアクローゼット」は、毎月定額9800円で、専任スタイリストが選定した服を何回でもレンタルできる。同様の男性向けサービス「リープ」も、今後の成長が期待されている。服をレンタルで済ませる考え方は、ミニマリスト、断捨離、シェアリングエコノミーといった世界的な潮流とも符合する。

 これに伴い、ファッション誌の意義と役割にも変化が生じている。

「現在は、スタイリスト個人が書いた書籍やブログのほうが支持されやすい。スポンサーであるアパレル業界の、流行を仕掛けたいという意向が反映されやすいファッション誌は定番の時代にはうまくマッチしないのです」

 流行なくとも、新たなビジネスは着実に芽吹いているようだ。

【森井良行氏】
株式会社エレガントカジュアル代表、社団法人「服のコンサルタント協会」代表理事。「いずれはファッションを日本の義務教育化する」を目標に活動する

<取材・文/西谷 格>