高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題で中国の機嫌を損ねた韓国にとって今年1年は苦難の年になった。中国人観光客の姿が消え、かつて中国語が飛び交っていた観光地は静まり返った。そして、中韓友好のために命名した済州島のストリートの名前が排除されようとしている。中国メディア・海外網が28日に報じた。

写真拡大

 高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題で中国の機嫌を損ねた韓国にとって今年1年は苦難の年になった。中国人観光客の姿が消え、かつて中国語が飛び交っていた観光地は静まり返った。そして、中韓友好のために命名した済州島のストリートの名前が排除されようとしている。中国メディア・海外網が28日に報じた。

 記事は、2018年1月1日より済州市にあるストリート称が「宝健路」から別の名称に変わると紹介。「宝健路」という名前は2011年9月に中国企業の宝健集団が1万1000人の従業員を引き連れて済州島での社員旅行を実施したことを記念し、韓国観光公社が中韓友好のシンボルとして命名したものだったという。

 命名後、この通りにある商店や飲食店には中国のテイストがふんだんに盛り込まれ、済州島を訪れる中国人観光客が必ず寄る場所として親しまれるようになった。しかし、THAAD配備問題の発生で風向きは急に変わり、中国人観光客がぱったりと姿を消す事態に。すると「通りの名前に外国企業の名称を用いるのはけしからん」、「中国人観光客のせいで売り上げが激減し、閉店に追い込まれる店も出た」、「国内観光客や中国人以外の観光客も来なくなる」などといった声が現地で高まり、6年間用いられた「宝健路」を改名する運びとなったとのことだ。

 記事は、改名の情報が流れるやいなや韓国世論で議論が巻き起こったと紹介。済州島のメディアは「安易に通りの名前を変更するなんて、本当に現実を直視しているのか」と批判を展開したほか、ネットユーザーからも「改名で標識を変えなきゃいけないし、各種の記録も変更しなきゃいけない。どうしてこんなムダ遣いをするのか」、「済州方言を用いた新名称では外国人はおろか、韓国人だって意味が分からない」、「今後中国人観光客が戻ってきたら、また中国語の名称に戻すつもりなのか」といった疑問の声が噴出したと記事は伝えている。

 先日の文在寅大統領の訪中も、中国が韓国に対して冷ややかな姿勢を崩していないことがかえって浮き彫りになった感がある。「中国ショック」は韓国国内に数え切れないほどの混乱と迷走をもたらしているようだ。(編集担当:今関忠馬)