闇をくぐり抜けた「今」のLUNA SEAが描く新ビジョン

写真拡大 (全6枚)

2017年12月23日(土)、さいたまスーパーアリーナで開催された「LUNA SEA The Holy Night 2017」。2018年1月27日(土)から全国ツアーをスタートさせる彼らのステージの模様をレポート。

2017年12月23日、天皇誕生日の祝日。天気も良く、ここ一両日に比べ少しだけ暖かったせいもあってか、クリスマスムード一色の街には人が溢れかえっていた。みんなカラフルなコートやマフラーを身につけている。でも、「LUNA SEA The Holy Night 2017」が開催されるさいたまスーパーアリーナに到着すると景色が一変する。SLAVEと呼ばれるLUNA SEAファンの服装は黒ずくめだからだ。ふと、今年流行語大賞をとった「インスタ映え」という言葉を思い出す。会場に集まっている黒服のSALVEたちは、ありていに言えば”ノン・インスタ映え”で、だから僕は安心するし、好きだ。表層的なインスタ映えなんかを気にしないSLAVEを見ていると、個として強く、安易な明るさに寄りかからず、暗闇の先の本質を探しているのだろうと共感を抱いてしまう。そして、LUNA SEAというバンドは実にそういう精神性のバンドだ。

LUNA SEAは結成以来、表層的な明るさを拒否し、自分たちにしか鳴らせない深淵な音楽を追求し、前人未踏の世界を短期間に開拓してきた。その世界を切り開くために費やしてきたエネルギーはすさまじく、結成から11年のタイミングでメンバーは擦り切れ、終幕というカタチで事実上活動を止めることになった。実際5人のメンバーのうち2人は、猛烈な活動、あるいはその後にきた終幕を迎えて、精神的に疲弊したことを筆者に別メディアで告白してくれている。そんな闇をくぐり抜けてきたLUNA SEAにしか出せない希望の音、歌があるから、SALVEはLUNA SEAを求め続けてきたと思っている

そんなことを考えてながら開演を待っていた。定刻から20分押し、会場が暗転し、ピアノの美しいSEに乗り、メンバーが登場。1曲目の「STORM」、2曲目の「Déjàvu」、そして3曲目の「TRUE BLUE」とライブではおなじみのアップテンポな曲が続き、会場はいきなりヒートアップ。バンドの演奏もタイトで素晴らしい。思えば、今年は各メンバーのソロ20周年だったわけで、この20年、それぞれがソロアーティストとしてもスキルとカリスマ性・スター性を高めてきた。いわば全員が4番バッターのようなバンドなわけだが、それだけに各メンバーが多忙で、バンドとして動ける時間はかなり限られているだけに、バンドとしてパフォーマンスが気にはなっていたが、完全に杞憂に終わった。


SUGIZO(Photo = LUNA SEA Inc.)

4曲目は「Sweetest Coma Again」。この曲のSUGIZOのギターがすさまじかった。轟音で知的で攻撃的なギターを弾かせたら、今SUGIZOの右に出る者はいない。そしてここでRYUICHIがMCをはさみ、今月リリースされたばかりのニューアルバム『LUV』からの曲を演奏することを告げる。また、同アルバムに対してRYUICHIはこんなことを言っていた。「世界は愛憎劇、紛争、戦争が溢れています。そんな現実を直視して作ったアルバムです」と。

そして『LUV』からINORANが作曲を担当した「Hold You Down」が演奏された。実は、今回のライヴはこの曲が核になっていたと思っている。実際、ライヴ終盤でSUGIZOが「今回のアルバムは賛否両論が巻き起こっています。でもそれがとてもうれしい。LUNA SEAはいつも新しいことを追求してきたので、いつも賛否両論が起きていたので」と語っていたように、確かに今回のアルバムは、深淵な闇を彷徨ってきた感のあるLUNA SEAとは一転し、キャッチーで多幸感溢れるサウンドがアルバム全体を包んでいる。これは従来のファンからしたら意外だったはずだ。だがSUGIZOはこうも言っていた。「このアルバムが40代後半の僕らの真実です」と。


INORAN(Photo = LUNA SEA Inc.)

この言葉を信じるならば、LUNA SEAのメンバーは今、闇の先にある明るみに手が届いているということだ。実際に「Hold You Down」の演奏時は、メンバーの後ろに鮮やかな幾何学模様が映し出されていた。その明るさは、LUNA SEAにしか辿り着けないユートピアのような気がした。もちろん、今までもLUNA SEAの音楽はファンにとってはユートピアではあった。ただしそれは闇の中にあるユートピア。でも今回は、闇の先にある光り輝くユートピアだ。

「Hold You Down」の後に演奏されたニューアルバムからの2曲「Brand New Days」「誓い文」も同じく多幸感に溢れ、LUNA SEAが新しく扉を開けたユートピアを表す曲に感じた。そしてこの3曲が、この日集まったオーディエンスへのいちばんホットなクリスマスプレゼントだったのかもしれない。中盤は、SUGIZOがバイオリンを弾き、RYUICHIとINORANがアコースティック・ギターを弾いた「Ill Stay With You」など、バラード曲が核をなした。ちなみにLUNA SEAのバラード曲をライブで聴くとINORANの弾く唯一無二のアルペジオがこのバンドの大きな核になっていることを再認識できる。さらに、激しくそして聴くものを幸せにする真矢のドラムソロ、Triggerとして存在しつづけるJの挑発的なベースソロをはさみライヴは後半へ。


J(Photo = LUNA SEA Inc.)


真矢(Photo = LUNA SEA Inc.)

セットリストを見ていただければわかるとおり、後半は代表曲が並び、オーディエンスは興奮と幸せの頂点に達し「WISH」で本編の幕は閉じた。

アンコールが始まるまでの間、真っ暗な客席で1人、また1人とスマホのライトを灯していく。さらに「きよしこの夜」が誰からとなく歌い始められた。その歌声はいつしか大きな一つのものとなり、会場にこだましている。メンバーがステージに戻ってきて、その景色を眺めている。会場に広がった無数の明かりと歌声こそ、LUNA SEAとSLAVEがともに闇をくぐり抜けて手にしたユートピアなのだと思った。その景色をスマホで写真に収めたが、写真にはうまく写らなかったが、確かにそこに存在するユートピアを感じたし、その景色はデビューから25年の歳月がLUNA SEAにとってもSLAVEにとっても素晴らしかったことを証明するには十分だった。

アンコールは3曲。クリスマスにちなみ「HOLY KNIGHT」。そして「ROSIER」「TONIGHT」と続き幕を閉じた。全20曲、バンドはずっとグルーヴし続けていたし、RYUCHIの歌は最後まで圧倒的だった。


RYUICHI(Photo = LUNA SEA Inc.)

ちなみに、今回のライヴは、水素エネルギーによるものだったそうで、ここでもLUNA SEAは新しい試みを忘れていなかった。RYUICHIが「12月23日はLUNATIC CHRISTMAS!」と宣言し、SUGIZOが「また来年も会いましょう」と呼びかけた。来年の12月23日・LUNATIC CHRISTMASはどんな新しい世界を見せてくれるのだろうか?常に新しい世界を探しているLUNA SEAだけに期待は高まる。

その前にLUNA SEAはニューアルバムをひっさげ、年明け1月27日から全国ツアーを行う。

「LUNA SEA The Holy Night 2017」
2017年12月23日 さいたまスーパーアリーナ

1 STORM
2 Déjàvu
3 TRUE BLUE
4 Sweetest Coma Again
5 Hold You Down
6 Brand New Days
7 誓い文
8 Limit
9 Ill Stay With You
10 absorb
11 Drum solo & Bass solo
12 BELIEVE
13 I for You
14 JESUS
15 SHINE
16 TIME IS DEAD
17 WISH

アンコール
18 HOLY KNIGHT
19 ROSIER
20 TONIGHT

http://www.lunasea.jp/