静岡市と佐川急便の包括協定を締結の様子。田辺信宏静岡市長(左)と、内田浩幸佐川急便取締役。(写真: 佐川急便の発表資料より)

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 このところ、宅配便などの物流会社と地方自治体との間で、相次いで提携する動きが活発化している。宅配便会社と自治体とでは、何の関係もなさそうだが、ここに来て両者がなぜ提携に踏み切るのか、そのなぜ?や、提携の背景などを探ってみた。

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 佐川急便は26日、静岡市との間で、両者の連携に関する協定を締結した。その理由として、多種多様な物流ニーズに応えるとともに、地域経済の活性化に貢献することをあげている。しかし、それだけではない。最大の狙いは、最近急増しているインバウンド(訪日外国人客)の利便性向上である。インバウンドはここ数年、ビジネス、観光、留学などで増加しているが、特に目立つのは、東京、大阪などの大都市だけでなく、地方都市への観光客である。外国人の場合、日本人のようにスーツケースを持ちながらではなく、手ぶら観光が一般的だ。その場合、大きな荷物を宅配便で送るケースが増えている。ビジネスでも同様だ。

 一方、静岡市は、緊急の課題として、人口減少に歯止めをかけたいとの要請がある。そのため、観光はもちろんのこと、労働力確保、移住者の誘致などに力をいれている。そうした人口移動に欠かせないのが、家具などの家財道具、身の回り品の配送などだ。インバウンドでも、留学やホームステイ、インターンなどでの荷物の配送需要がふえている。

 大阪府は先ごろ、ヤマト運輸、佐川急便と、包括連携協定を結んだ。大阪府が運輸・物流企業と包括連携協定を結ぶのは、初めてである。大阪、京都へのインバウンドの増加で訪日外国人向けの配送サービス需要が急増しているためだ。ヤマト運輸とは、インバウンド需要だけでなく、大阪府のマスコット「もずやん」のプリントされたご当地送り状や、宅配用ダンボール箱を作成し、府内から全国に配送する荷物で大阪をPRすることも考えている。大阪の特産物の海外出荷でも協力する。

 人口減少に悩む地方都市が、運輸・物流企業の協力を得て、インバウンドや他府県からの人口移動に対する利便性を向上させたいとの思惑が一致したようだ。