コモンズ投信会長の渋澤氏は、渋沢栄一の子孫にあたる人物。オンラインサロン「マネサロ」が主催したイベントにて撮影

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 新たな少額投資非課税制度である「つみたてNISA」が2018年からはじまる。

 利益・分配金にかかる税金がゼロとなる点は従来のNISAと同様だが、年間40万円を上限に最長20年間運用できるのが、つみたてNISAの大きな特徴となる。つまり、長期投資による資産形成を念頭においた設計がなされているのが同制度である。

 長期投資の世界では、保有コストが安いインデックスファンドをホールドし続けることが、多くのアクティブファンドを上回るパフォーマンスが得られる資産形成の王道として知られている。

 しかし、こと日本株式市場においては、このセオリーが必ずしも当てはまらないという見方を示すのが、コモンズ投信取締役会長の渋澤健氏である。

 お金について学べるオンラインサロン、「マネサロ」が主催したイベントにて、渋澤氏が語った内容とは。

 渋澤氏は、大正時代の実業家・渋沢栄一の玄孫にあたり、「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一のDNAを引き継ぐ人物。20代、30代の頃はヘッジファンドのファンドマネージャーとして活躍しており、言ってみれば超肉食系投資家だった。しかし、9・11事件を経て「持続性」の大切さに気付き、子供の誕生をきっかけに長期投資に目覚めたという。

◆投資とは可愛い現金を手元に置くための手段

「世界一貯金好きな民族」と言われることもある日本人。日本人の投資嫌いについて「投げる資金」、つまり投機的に捉える投資観があるからだと渋澤氏は指摘する。

 英語で投資を意味するINVESTの語源は、INは入れること、VESTはチョッキに由来する。本来はベストの胸ポケットに閉まっておくほど身近な存在なのである。投げるつもりで投資するのではなく、大切なお金を手元で増やす感覚で長期投資に取り組んでほしいと、渋澤氏は提案している。歴史を紐解けば、江戸時代の日本人は堂島で米相場を張るほど、元々投資と馴染みが深い民族である。その資質は今も眠っているはずだ。

◆インデックスファンドは長期投資に最適か?

 渋澤氏によるとインデックス派の主張の多くが、アメリカ株式市場の過去データを根拠にしているという。そのため、米国市場と日本市場における前提条件の違いに注意が必要となる。

 たとえば、我々が耳にする機会の多い「日経平均」。その日経平均株価指数の構成銘柄に注目すると、「ユニクロ」で知られるファーストリテイリングが、株価指数に対して大きなインパクトを与えており、この他にもソフトバンクなど寄与度の高い株の動向に株価指数が左右されていることがわかる。こうした上位10社による寄与度は、30%にもなるという。

 次に、日米それぞれの代表的な株価指数である、TOPIXとS&P500を比較してみると、寄与度の偏りは見られなくなるものの、両者の企業群の顔ぶれには違いが見られる。

 企業の新陳代謝が活発なアメリカ市場では、アップル、アマゾン、グーグル、フェイスブックといった、この10年で急成長した企業群が、S&P500においても存在感を示している。アメリカ経済というより世界経済を代表する企業が、誕生している米国市場であればインデックス投資で成長の恩恵にあずかれる可能性が高いと、渋澤氏は語る。

 対する日本市場の顔ぶれは、10年前と比較して大きな変化はない。それをもって日本の企業がダメだと結論付けるのは早急であるが、日本市場と米国市場どちらに成長性を感じるかと聞かれたら、米国株式市場と答える人が多いのでははないだろうか。

 このような背景を認識したうえで、日本株式市場において成長企業への長期投資を検討するのであれば、必ずしもインデックスファンドが最適解とはならない。アクティブファンドも選択肢の一つとなり得るというのが渋澤氏の考えだ。

 つみたてNISAでは、要件を満たした投資信託に投資対象を限定しており、5000以上ある公募投信から124本にまで選別されている。日本株アクティブファンドに限ればわずか4本となる。いずれのアクティブファンドも個人投資家からの評価が高く、安定的な資金流入が続くファンドばかりで、投資初心者にとっても選びやすいといえる。

◆人生100年時代。高まる資産運用の重要性

 現在のところ、2037年末にはつみたてNISAの制度が終了する予定である。そのため税制優遇の恩恵を最大限受けるには、早く始めれたほうが有利となる。

 人生100年時代と言われる現代、老後に備えて資産形成を考えるなら、時間を味方につける積立投資の重要性はますます高まる一方だ。

 コモンズ投信会長という立場にある渋澤氏からの提言は、ポジショントークとして割り引く部分はあるかもしれないが頭の片隅にとどめて、つみたてNISAの投信選びやアセットアロケーション(資産配分)の参考にするのも一つだろう。

<文・栗林 篤>