東大の近藤秀一

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 研究の傍ら、トラックで自分を追い込む。三度目の正直でやっと箱根路のスタートラインにたどり着いた近藤は「東大生だからこんなもんだろと思われているのを覆すのが、人の心を動かすことにつながる」。過去2度は補欠だった関東学連の一員として、東大陸上部では05年以来13年ぶりとなる箱根行きを達成した。

 普段は工学部化学生命工学科の学生として研究に打ち込む。夜まで実験に追われることもある。「他大学は暖かいところで合宿したりできるが、僕は週3日で実験。認めないようにはしているが、現実的には引けを取っているところがある」と言い、短時間で効率的なトレーニングが必要だった。

 その差を補おうと、陸上部部長の八田秀雄教授らとともに乳酸を意識した「高強度。月間走行距離にこだわらない。週1で完全休養」という東大メソッドを実践。標高3000メートル級の酸素濃度でのバイクトレーニングなど“箱根合格”のために取り組んできた。八田教授も「強豪校は月間800キロ走るが、近藤は400キロくらい。メリハリがついている、これが成功の要因の一つ」と目を細める。

 今秋は4連覇を狙う青学大との合同合宿も経験した。エースの下田裕太(4年)とは同郷の仲。「彼の前で情けない走りはできない。優勝を狙うチームと練習ができたことで、彼らとやっているんだから大丈夫だろうという安心感はあった。それは凄く自分の中で大きかった」と常勝軍団の中でつかんだものを口にした。

 今年の漢字一字は「順調に力をつけてきているから」と“順”とした。29日に区間エントリーが発表され、東大生として実に34年ぶりに1区を走る。1桁順位を出せば東大最高記録を更新となるが、もちろん狙う“順”位は東大の選手らしく、トップだ。

 ◆近藤 秀一(こんどう・しゅういち)1995年(平7)7月27日生まれ、静岡県函南町出身の22歳。韮山高から1浪して東大に入学。浪人中も競技に打ち込み、5000メートルで自己ベストを更新した努力家。自己ベストは1万メートルが29分13秒71。1メートル76、53キロ。