中高生はYouTubeでどんな動画を見ているのでしょうか

中学生の「将来なりたい職業」にYouTuber(ユーチューバー)がランクインするほど、中高生にとってYouTubeは身近な存在です。大人もついつい見続けてしまうYouTubeですが、中高生はYouTubeをどんなふうに楽しんでいるのでしょうか。

「YouTubeがないと生きていけない」


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「2017ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に「インスタ映え」が選ばれるなど、2017年は写真共有アプリ「Instagram」の人気が際立つ1年でした。とはいえ、使用頻度の多いアプリとして中高生に根強い人気を保っているのが「YouTube」です。

デジタルアーツが3月に発表した「未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」によると、小学4年生以上から高校生の男女の「使用頻度の高いアプリ」に、YouTubeは2015年からLINEに次ぐ2位をキープしています。SNSに夢中になっているイメージの女子高生に限定しても、LINE(96.1%)、Twitter(83.5%)に次ぐ3位にYouTube(79.6%)がランクインしています。

では、女子高生はYouTubeで何を視聴しているのでしょうか。「YouTubeがないと生きていけない」という女子高生は、1日中YouTubeを見ているそう。特に見るのは、メイクの手順を紹介している動画だそうです。


メイク動画

YouTubeに配信されているメイク動画は、流行のメイク方法を動画で紹介しています。メイクの手順を教えているのは、プロのメイクアップアーティストだけではありません。一般の人が、近所で手に入る安価なコスメを使ってメイクを行うので、参考にしやすいのです。使っているコスメのメーカーや型番も紹介しており、化粧品レビューの視点で紹介している動画もあります。アイメイクやチークの入れ方だけでなく、市販のカラーリング剤を使って髪を染める動画やヘアアイロンを使ってセットする方法など、検索すれば大量のハウツー動画を見ることができます。

「日本人のメイク動画も参考になるけど、海外の人のメイク動画もめっちゃ参考になる。再生回数もケタ違いなんですよ」と興奮ぎみに教えてくれた女子高生は、今、「ハーフメイク」にはまっているそう。ハーフメイクとは、日本人と外国人のハーフに見えるような、顔の彫りを強調した濃いめのメイクのこと。色味も全体的に暗めで、大人っぽい顔になります。

一方、白肌に赤リップでかわいらしさを強調する「オルチャンメイク」にはまっている人もいるそうです。オルチャンとは、韓国語の「オルグル(顔)」と「チャン(最高)」を組み合わせた造語で、オルチャンメイクは数年前から根強い人気があります。

「メイク以外は何を見るの?」と尋ねたら、「昔のドラマとか見る」との回答。YouTubeにはテレビ番組を録画した動画がたくさんアップされています。著作権違反でYouTubeにより削除されますが、いたちごっこの状態です。

「ジャニーズの人が出てる数年前の連続ドラマとかね。韓国のドラマも見るよ。ドロドロしててすごく面白い。恋愛モノが多いけど、時代劇も見ちゃう」

ドラマが好きなら今テレビで放映されているドラマは見ないのかと尋ねると、「Twitterで実況とかしている人がいるから、ネタバレというか、そのツイート読んでるとテレビ見てる雰囲気になる。面白そうだなって思ったら、ヒマなときにYouTubeで見る」と答えてくれました。音楽番組も好きなアーティストだけをYouTubeやTwitterで見ているそうです。

ダンスや「ゲーム実況」も人気

ところで、YouTubeは12月に「2017年YouTubeで最も注目を集めた国内のトップトレンド動画」を発表しました。YouTubeで最も視聴されている音楽部門の1位はDAOKO×米津玄師の「打上花火」でした。

言うまでもありませんが、音楽を聴く場としてもYouTubeは活用されています。好きなアーティストのミュージックビデオだけでなく、関連動画から同じジャンルの音楽を聴いたり、昔の音楽をさかのぼったり。中高生世代がカラオケで1980年代の歌謡曲を歌うことも珍しくなく、特に「今」の音楽に限定されずに視聴しているのは、YouTubeのおかげかもしれません。


登美丘高校ダンス部の「バブリーダンスPV」

音楽動画をのぞくすべての動画部門では、登美丘高校ダンス部による「バブリーダンスPV」が1位に選ばれています。2017年9月にアップされた動画がわずか3カ月で2618万回(執筆時点)再生される快挙です。

今の中高生にとってダンスは特別なことではありません。2012年にダンスが公立中学で必修化されているため、授業でダンスを経験しているのです。小学生から習い事としてヒップホップダンスを習っていた人も多く、ダンス部は女子を中心に人気の部活です。

YouTubeでダンスばかり見ているという女子中学生は、同じ年頃の人が踊っているダンスやダンス部が校舎で撮影した動画が好きなのだそうです。YouTubeだけでなく、ショートムービー投稿SNS「Tik Tok」や「MixChannel」も人気で、両サイトに投稿する配信者もいます。


「どうぶつタワーバトル」

ある男子中学生は、「ゲーム実況」を見ているとのこと。ゲーム実況とは、スマホのゲームアプリやゲーム専用機でゲームをしている画面を映す動画のことです。リアルタイムで放送するライブ動画や、レベルを上げるための攻略法を紹介する動画は、ゲームのジャンルを問わず多数投稿されています。

人気のゲームを尋ねると「スプラトゥーン」や「Fate/Grand Order」などの名前が挙がりましたが、今、仲間内でいちばん盛り上がっているのは「どうぶつタワーバトル」というスマホのゲームアプリだそうです。上から落ちてくる動物を積み上げていく対戦パズルゲームで、ゆるい見た目と裏腹に戦術が必要なため、専門用語や攻略サイトも登場し、「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツの略。スポーツとして対戦ゲームを行う)」だと言い張るユーザーもいるそうです。

人気YouTuberはあこがれの存在

昨年、将来の夢に「YouTuber」がランクインしたニュースが報道され、反響を呼びました。今年も引き続き、YouTuberはあこがれの職業です。4月にソニー生命保険が発表した「中高生が思い描く将来についての意識調査2017」では、男子中学生の3位、女子中学生の10位に「YouTuberなどの動画投稿者」が入っています。テレビや雑誌に出ている芸能人と同様に、いつも見ているYouTubeで人気の人物にあこがれるのは、至極、当然の流れでしょう。

取材した中高生に好きなYouTuberを挙げてもらったところ、「Fischer's-フィッシャーズ」「木下ゆうか」「スカイピース」などの名前が出ました。プリキャンティーンズラボが12月に発表した「10代女子の2017年ベスト◯◯」では、「2017年に一番視聴したYouTuber」の1位がFischer's-フィッシャーズでダントツの人気でした。


Fischer's-フィッシャーズは、ダンサーや歌い手、クリエーターなどからなる7人組で、掛け合いが人気だそうです。木下ゆうかさんは大食いを披露するYouTuberで、スカイピースは8月にエピックレコードジャパンよりシンガーとしてメジャーデビューを果たしています。

取材した中高生の誰もが、「YouTubeは関連する動画が次々と流れるのでやめられない」と言います。好きな音楽だけでなく、ドラマ、おもしろ動画、メイク、料理、スマホの使い方、二次方程式の解き方まで、YouTubeにはさまざまなコンテンツが存在しています。映像を楽しむ以外に、文字や画像だけでは理解しにくい内容を動画で確認するなど、YouTubeの役割も少しずつ変わってきているように感じます。ネットサービス全体が動画へとシフトしてきた2017年ですが、元祖動画サイトであるYouTubeの今後も楽しみですね。