WANIMAによる直筆コメント

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■まず、「WANIMAって誰?」と思っているあなたへ
今年の『NHK紅白歌合戦』。今のところ話題は安室奈美恵の出場決定だが、蓋を開けてみれば「あれは何?」「あのバンドは一体?」と大騒ぎになっていることが容易に想像できる。WANIMA。インディーズレーベル「PIZZA OF DEATH」からデビューし、2年7か月でさいたまスーパーアリーナの初ワンマンを成功させ、メジャー進出を発表してほんの9か月で『紅白』まで辿り着いた、まさにバケモノ級の大型新人だ。

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KENTA(Vo,Ba)、KO-SHIN(Gt)、FUJI(Dr)の三人からなるWANIMA。全員が熊本県出身。特別マニアックな逸話はない。Hi-STANDARDの勢いや明るさ、MONGOL800の無垢なメッセージ、10-FEETの豪快なミクスチャー感覚をまとめて消化した音楽性といってしまって差し支えないだろう。

FUJI加入前、メンバーの名字の頭文字がそれぞれ「わ」「に」「ま」だったという命名理由も、小賢しさのまったくないバンドの性格を物語る。アンダーグラウンドの反骨がどう、時代の革新性がどうというよりも、「陽性なバンドサウンドでもっともっと世の中を笑顔にしたい」。そんな精神が原点のようだ。

■なぜWANIMAは、お茶の間からの人気を、瞬く間にかっさらうことができたのか?
だから、彼らにはアンチメジャーの感覚がない。影響を受けた先輩バンドたちのやり方、もっと言うとライブハウスシーンの不文律をぶっ壊すように、三人は両手にピースサインを作りながら地上波の音楽番組やワイドショーに出演し、CMやドラマのタイアップを貪欲に利用してきた(2017年だけでも、au、タウンワーク、マクドナルド、8×4、キッコーマン、ウイダー in ゼリーなどのCMソング、ドラマ『刑事ゆがみ』主題歌を担当)。無名の新人にそうそうタイアップ話が続くわけはない……という常識さえ覆されたのは、爽やかで明るい楽曲のよさももちろんだが、彼らの笑顔があまりにもバカーンと晴れやかだったからではないかと思っている。いや、冗談ではなく。

思い出してみて欲しい、近年の『紅白』で「初登場です!」と紹介されてきたバンド像を。昨年のRADWIMPS、2015年のBUMP OF CHICKENや2013年のサカナクションなど、初出演が話題となるのはおしなべてナイーブな文系バンドだった(唯一の例外はゴールデンボンバー。そう、「ネタ」レベルじゃない限り、いちバンドがお茶の間をドカンと沸かすことなどなかったのだ)。

うるさくてアッパーな曲を鳴らし、いつでも元気に飛び跳ねているWANIMAの姿は、だからテレビの世界で圧倒的に新鮮だった。逆に考えればこれは、フェスやライブハウスカルチャーとお茶の間がどれほど乖離していたかという話でもある。偶然ではなく、きわめて意識的に、WANIMAはそこを掻き回した。常識に囚われない勇気と、いつでも超笑顔&超元気なキャラを突き通した精神力。これが本当に見事だった。

■でも、歌が愛され続ける理由は「超笑顔&超元気」の奥にある
あえて「キャラ」と書いているが、実際の三人が「いつでもどこでも元気」な人間だとは思わない。ライブで観るKO-SHINは無口でいかにも不器用そうなギタリストだし、彼をイジり倒すKENTAにしても同じこと。ただ元気なだけの兄ちゃんには書けない歌詞が、これまでいくつ生まれてきただろうか。

たとえば代表曲のひとつであり、『紅白』でも披露する“ともに”。<出逢えてよかった ありがとう><進め君らしく>と手垢のついたフレーズ満載だが、その前後には<涙こらえ笑って生きてる><崩れそうになりながら毎日びびってる><疲れ果てるまで繰り返す>と、今にも消えてしまいそうな日々の実感が膨大な語彙で描かれている。

多くの曲が同じ構造だ。「がんばれ」の一言を伝えるために、それが空虚な応援歌にならないために、<不安で胸一杯で 狂うくらい悩んで 涙拭いて耐えて>(“雨あがり”)、<諦めないでどうか耐えて>(“また逢える日まで”)とシリアスな言葉を重ねていくKENTA。その筆致には、味わってきた絶望が滲み出ているように思えるのだ。もちろん、そんなものをいちいち振り返りたくないからこそ、馬鹿みたいに明るいKENTAの「キャラ」は確立されたのだろうけれど。

■『紅白』出演直前に、KENTAよりメッセージが到着

インディーズ時代からWANIMAのことを追ってきたCINRA.NETは、『紅白』出演が決まったWANIMAに、3つの質問をぶつけてみた。出演直前、12月25日にメンバーから届いたコメントがこちら。

-『紅白』出場決定の知らせを聞いたのは、いつ&どこで?

<紅白の会見の前日もライブで…
ライブ終了後に「明日…事務所に朝5時集合で…!!」
と言われて… NHKに行って紅白で
WANIMAが開催できることをききました。ちからー!!>

-『紅白』のステージで、WANIMAとして何を見せたい、届けたいと思っていますか?

<僕達みたいなロックバンドが紅白出場…。
控えめにゆーて めちゃくちゃ 夢があるなーと思います。
いつも通り 変わらず 飾らず スカさずに…。
ともに 開催したいと思います!!>

-2017年は、WANIMAにとってどんな1年だったと感じていますか?

<どんな時も 自分のことのように
喜んでくれて へこんだときは
励してくれる みなさんのおかげで
毎日音楽と 向き合うことが 出来ました!!
「もっと沢山の方々にWANIMAの音楽を届けたい!!」
楽しい1日を 1日でも多く 増やせるように
音楽を通じて これからも ともに 生きてゆきます!!>

なんというか、とてもまっとうな言葉だと思う。冗談を連発してふざけることもなく、あの『紅白』だからと恐縮しすぎる様子もない。そしてまた「いつも通り変わらず飾らずスカさず」というのは、いわゆる「自然体」とは似て非なるもの。平気なフリをせず、シラけた気分で自分を誤魔化すこともやめて、全力でハイになろう、という意味だ。

■WANIMAが『紅白』で歌うことには、いくつもの意味と価値がある
WANIMAを初期からライブハウスで観ている観客は、歌の奥にある巨大な闇を自然に感じ取り、絶望が出発点だからこそ死に物狂いで前へ上へと進んでいく三人の姿を目の当たりにしてきた。絶望=堕ちるのではない。傷を舐め合うような慰み事を一切言わず、豪快に笑っている三人の姿が圧倒的に新しかった。全国のファンは、しんどい日々も全力で笑うKENTAに癒されるどころか、唯一自分を照らしてくれる太陽のような感覚を覚えていたはずだ。このまま諦めて終わりたくない。辛いことだらけの毎日をアゲてアゲてアゲまくり、日本一の高笑いに変えてしまえ! その志は最初から一貫していた。テレビに出たからセルアウト、みたいな声が今までまったく上がらなかったのも納得である。

ゆえに、WANIMAの『紅白』出場はまったくもって正しい。インディーズ時代から彼らを追いかけていた人も、auのCM“やってみよう”で彼らを知った人も、WANIMAの『紅白』出演に同じワクワクを感じているはずである。マスかコアか、テレビかライブハウスかの線引きはない。どちらも遠慮なく引っ掻き回す。それが彼らのやり方なのだから。