明成・八村阿蓮【写真:平野貴也】

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米ゴンザガ大の兄・塁以来のVに涙「兄はこんな舞台で3連覇したのかと。尊敬します」

 米国でNBAを目指している兄に一歩近づいた。ウインターカップ2017第70回全国高校バスケットボール選手権大会は29日に最終日を迎え、男子の決勝は明成(インターハイ準優勝=宮城)が79-72で福岡大大濠(インターハイ優勝=福岡)を破り、2年ぶり5度目の優勝を飾った。

 インターハイ決勝の再戦で雪辱を果たした明成の勝利の立役者は、センターの八村阿蓮だ。32得点、14リバウンドの活躍を見せ、試合後のコート上インタビューでは「塁には、やっと一歩近づいたぞと言いたいです」と、米国NCAAゴンザガ大でプレーする兄の八村塁へのメッセージを語った。兄の塁は、2年前に同校で3連覇を達成。塁の卒業後は日本一から遠ざかっていたが、弟もエースとしてチームを頂点に導いた。

 相手がファウルゲームを展開した終盤、8点差で試合時間が残り12秒となった。勝利が決定的になり、八村は、涙をこらえながらプレー。試合後には「(兄が3年生だった)1年生のときにベンチで優勝を経験したけど、2年生のときは初戦敗退で本当に悔しい思いをした。苦しかったことや、きつかった走りの練習とかを思い出して(気持ちが)こみ上げてきて泣いてしまいました。兄は、こんなプレッシャーのある舞台で3連覇をしたのかと思った。尊敬します」と話し、笑顔を見せた。

 大きな勝因の一つが、センターである八村のアウトサイドプレーだった。マッチアップしたのは、身長2メートル、体重97キロの巨漢センターである井上宗一郎。世田谷区立梅丘中時代のチームメートで、身長196センチの八村より体格が良い。八村は、ゴール下ではなくアウトサイドでパスを受け、井上を外に引き出した。

 高さと強さに勝る井上だが、スペースのあるアウトサイドでスピードを使われる1対1になると八村に分がある。駆け引きを絶対的優位に持ち込んだのは、八村が試合前からやると決めていたプレーだった。試合の最初のスコアとなった3ポイントシュートだ。

狙っていたアウトサイド…相手守備陣も脱帽「本当に嫌だった」

 八村は「最初のスリーは、打つと決めていました。入って良かったです。最初は絶対にスリー。一回、外のスリーを決めてしまえば、相手は井上も周りも必ず寄ってくるので、そこからドライブを考えていたので、あの3ポイントはデカかったと思います」と明かした。

 八村がアウトサイドでボールを持っても、外角シュートがないのであれば、井上は間合いを空けて守ることができる。しかし、3ポイントを決められるとなると、寄せなければならない。福岡大大濠は、井上のカバーを意識したが、その分だけマークが甘くなった別のエリアから明成の外角シューター田中裕也に3ポイントを決められた。当然、田中のマークに行けば、井上のカバーが甘くなる。後半に明成の主力にファウルが重なったことで最終的に接戦になったが、明成が攻守で主導権を握り、前半で49-33と大きくリードしたことは、一つの大きな勝因だった。

 八村をマークした井上は「自分が守れなかった。インサイドで勝負してこないことは分かっていたけど、最初のスリーを簡単に決められたところから甘かったと思う」と悔やんだ。福岡大大濠は、片峯聡太コーチから守備でリズムを作るようにと指示されていたが、主将である永野聖汰は「相手の3ポイントがたくさん入って痛かった。八村もスリーを打つようになっていた。抑えに行けば八村のインサイドがあって、やりにくかった。本当に嫌だった。相手のペースでやられた。守備がうまくいかず、攻撃もうまくいかず、空回りした」とプランを崩されたことを明かした。

「インターハイが終わってから、中と外でバランス良く攻めるプレーをやろうと思って練習をしてきました。(井上)宗一郎は自分より身長が高いので、外からプレーして、ファウルを誘ったり、ドライブをして(カバーに来る相手を引き付けて)外にパスを散らしたり、ガードのような役割も意識してプレーしました」と話した八村が放った最初のスリーの威力は絶大だった。(平野貴也 / Takaya Hirano)