関東第一は現在、KOBA式体幹バランストレーニングを導入【写真:編集部】

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開幕戦登場のインハイ8強・関東第一が導入した「KOBA式体幹バランストレ」とは

 全国高校サッカー選手権は30日、関東第一(東京B)―佐賀東(佐賀)の開幕戦(駒沢公園陸上競技場)で熱戦の火ぶたが切られる。2年連続でオープニングマッチを戦うインターハイ8強の関東第一は、今大会の躍進を期して、新たなトレーニング法を導入している。

 それは、インテルの日本代表DF長友佑都、競泳のリオデジャネイロ五輪代表・池江璃花子(ルネサンス亀戸)ら日本のトップアスリートが取り組み、才能を開花させてきた木場克己プロトレーナー独自のメソッドだった。

「木場克己トレーナーの仕事ぶりは以前から聞いていました。関東第一と同じ江戸川、葛飾で昔から治療院も構えて地域に根ざした活動をしている。ジュニア世代の子供たちも木場さんのトレーニングを続けているのを見ていた。選手のけが人に対するアプローチを悩んでいた部分で私の求めていたものとフィットし、そこから練習に取り入れることになりました」

 関東第一・小野貴祐監督は木場氏の開発したKOBA式体幹バランストレーニングを導入した経緯を語った。

 特製のゴムチューブ、ファンクショナルマットを用いて、柔軟性、安定性、バランス、連動性を高める独特のメソッド。トップアスリートはもちろん、健康な体作りを目指す老若男女まで幅広い層で実践されている。かつてJ1のFC東京のヘッドトレーナーを務めていた木場氏は、広島ユース、G大阪ユースなど、育成年代でも手腕を見せていた。

 関東第一は今年の4月から導入。ウォーミングアップでは、自分の体重を支えるインナーマッスル部分の強化、チューブを使ったバランス強化、そして、ファンクショナルマットを用いた不安定な状態でバランスを高める、多岐に渡るメニューを組み合わせて実践した。

筋肉系のトラブルが激減…実感した効果「選手権の期間中も欠かしません」

「マットを使ったトレーニングも毎日やっています。20分、30分、2時間という枠で選手は体作りに取り組んでいます。選手権の期間中も欠かしません。チューブを使ったウォーミングアップもチームのルーティンです」

 指揮官は効果を実感。特に、故障予防という観点で大きな成果を手に入れた。

「まずはけが人に対するアプローチです。体のバランスの悪さなどの根本的な原因が影響したケガも存在します。例えば、足首をひねったという現象を見ても、その選手の体のバランスが悪くなっていた。それは体の使い方の問題でもあります。病院に行って治療する対処療法より、選手目線で個人の足りないもの、根本的な問題を直したい、というものがありました」

 コンタクトスポーツのサッカーにはアクシデントは付きもの。故障をゼロにすることは不可能だが、故障のリスクを減らすアプローチを小野監督は選んだ。なぜ、選手は故障することになったのか。体のバランス、柔軟性の悪さ、使い方の問題という根本的な改善をKOBA式体幹バランストレーニングに求めることで、効果が表れたという。

「なぜ、この怪我が起きたのか、選手に対して明確にできたことは大きかった。そして、今年怪我が理由で長期間、抜ける選手はいなかった。筋肉系のトラブルが激減しました。股関節周りの使い方の悪さから来る腰痛もあります。体幹を強くすることは誰にとっても大事なことです。体幹を鍛える中で自分のどの部分が弱いか、選手1人1人の理解度も高まりました」

 インナーマッスルなど筋肉や連動性、バランスに対する感覚を研ぎ澄ますトレーニングメソッドだけに、選手自身も体のズレやブレに気づく。バランスの悪さを改善することで、故障のリスクは大きく減り、パフォーマンスアップにも繋がったという。小野監督は、こう振り返る。

“関一旋風”へ、小野監督が力を込める開幕戦「1つ1つの試合を思い切り戦えればいい」

「今年からスタートしましたが、選手の体のキレという部分でも違いが出ています。長期間続ければ、より成果が望めると思いますが、この期間でもしっかりと効果は出てます。今後は呼吸の仕方、どの瞬間に体の力を入れるかなど、もっと質を上げていきたいですね」

 選手の動きにキレが生まれる。相手とのコンタクト時や試合終盤の疲労時にも体のバランスが崩れにくくなる。そして、慢性的な怪我のリスクを抑える。体幹トレーニング導入で、関東第一は3つの新たな力を手に入れた。

 インターハイではベスト8に躍進し、満を持して選手権の舞台を迎える。

「今年も東京B代表として開幕戦を戦えることになりました。いい環境で試合ができるチャンス。東京都の代表としてすごい緊張感もありますが、素晴らしい舞台に立てるのは色々な人の支えがあったからこそ。東京の代表として選手にはしっかりと戦ってもらいたい。選手権の目標に関しては、ここまでという言い方はしていない。1つ1つの試合を思い切り戦えればいい、と思います」

 関東第一旋風を巻き起こせるか。自然体を貫いた小野監督だが、その言葉には力が込められていた。(THE ANSWER編集部)