「ハリー抜きの『キングスマン』は考えられなかった」 マシュー・ヴォーン監督インタビュー

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 世界中でヒットを記録したスパイ映画『キングスマン』の続編『キングスマン:ゴールデン・サークル』が2018年1月5日に公開される。前作から引き続き登場する、タロン・エガートン、コリン・ファース、マーク・ストロングらに加え、チャニング・テイタム、ハル・ベリー、ジェフ・ブリッジス、ジュリアン・ムーア、エルトン・ジョンらが新たにキャストに加わった本作では、壊滅したロンドンのスパイ組織“キングスマン”のエグジーとマーリンが、アメリカの同盟スパイ機関“ステイツマン”とともに、新たな敵ゴールデン・サークルに立ち向かう模様が描かれる。

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 今回リアルサウンド映画部では、前作に続いてメガホンを取ったマシュー・ヴォーン監督に電話取材を行い、コリン・ファース演じるハリーの復活や、『キック・アス』と『キングスマン』との違い、さらにはすでに製作が報じられている第3弾についても語ってもらった。

ーー前作で死んだと思われた「ハリーの復活」は本作の大きな見どころのひとつですね。ハリーをどのように再びスクリーンに登場させるかは監督自身も相当悩んだのでは?

マシュー・ヴォーン(以下、ヴォーン):「キングスマンをやるには、ハリー抜きではできない」というのが僕の考えだったんだ。だから、彼を復活させることはオプションとしてずっと考えていたよ。前作で彼が死んだのはケンタッキー(州)だった。そして、アメリカのスパイ機関ステイツマンがいるのもケンタッキー。だから、ストーリーとしては辻褄が合うんだ。それに、1作目ではハリーが本当に死んでいるかどうかがわかるクローズアップを使わなかった。そういうオプションとして残していたわけなんだ。

ーーハル・ベリーやチャニング・テイタムなど新キャストも豪華です。なかでも本人役で登場するエルトン・ジョンの大活躍が非常に印象的でした。彼はどのような経緯で出演することになったのでしょうか。

ヴォーン:みんなが「信じられない!」と思ってくれることをやりたかったし、『キングスマン』は常に人々を驚かせることを狙っている作品だから、「これはまさにそうだ!」と思ったんだよね。僕はエルトン・ジョンのビッグファンで、ポピー(ジュリアン・ムーア)がポップスターを誰か拉致するとなったらエルトンを思いつくに違いない、彼女も多分エルトン・ジョンのファンなんじゃないか、ということが想像できたんだ。そしてエルトン・ジョンが出演してくれるんだったら、アクションをやらせたいと思った。誰もそういうことを想像もしないし、観たこともないから絶対新鮮だとね。

ーーあなたは本作を「これまでで作るのが最も大変だった映画」と感じているそうですね。どのような点が最も大変だったのでしょうか?

ヴォーン:この映画の中では、とにかく独創的で、新鮮で、面白くて、感動的という要素を全部入れたかったんだ。それ自体が難しいことだし、すべてのキャラクターを発展させる為にも必要なことだったから、そのあたりが大変だったね。

ーー『キック・アス』も続編(『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』)が作られましたが、監督は務めませんでしたね。今回、続編の監督を引き受けた理由は?

ヴォーン:『キック・アス』のときは特に続編をやりたいという気持ちがなかった。でも、今回はどうしても『キングスマン』を他の人に任せたくないと思ったんだ。第1作で俳優たちとすごく仲が良くなったということで、やはり彼らと一緒にまた作品を作りたいという気持ちが強かったのが大きかったね。

ーー前作では、環境問題に関心を寄せるヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)が悪役でしたが、今作では、ドラッグの合法化を目指すポピー(ジュリアン・ムーア)が悪役として登場します。現代社会で議論されている問題が悪役に反映されているのも大きなポイントですね。

ヴォーン:「単に地球を破壊したい」「ただ悪いからそうしたい」なんて理由で悪役を作るのはすごくつまらないし、それだけでは悪役として物足りないよね。悪役にもしっかりと理由付けをする必要があるし、僕はそこに人々が考えさせられる問題を作りたいんだ。ヴァレンタインにしたってポピーにしたって、その解決策はとても良いものではないと思うけれど、人々がディスカッションしたり、議論したり、考えらるものを与えたかったんだ。

ーーすでに第3弾の構想もあるそうですね。今回の『2』の製作段階から『3』のアイデアも考えていたんですか?

ヴォーン:『2』と『3』は一緒に考えていたから、『2』を撮影する前から『3』の構想とプロットはすでにあったんだ。でもまずは、今回の『キングスマン:ゴールデン・サークル』のチケットを買って観てくれ! 『3』の話はそのあとだね(笑)。(取材・文=宮川翔)