コスモポリタンの特集テーマについて、オネエ目線でしのごの言っちゃうこの連載。いよいよ今回が最終回ですって…。娘って言ってもいいくらいの年齢層のコスモガールズたちに毎月語りかけてきたのも、これが最後なのね。あーん。なんだかあっという間にお付き合いが終わるような気分だけど、平均的なオカマの恋よりは全然長続きしたほうだから安心して!

さて、今月のテーマは「欲」。いい言葉よね、欲…。時に人を狂わせるくらいの魔力を持ちつつ、だからこそ人を生かしてもくれるもの。アタシはじめけっこう多くのゲイが「性欲」にさんざん振り回されてきたと思うし、ガールズはダイエットしなきゃしなきゃと思うほどに、止まらない「食欲」に悩まされてきたりしたんじゃない?

そして、欲望をあらわすいくつかの英語のうち、日本で一番有名なのは「DESIRE(デザイア)」じゃないかしら。そう、ババアにとってはあまりにも偉大すぎる、中森明菜の名曲のタイトルよ。1986年発売で、この年のレコード大賞をはじめ各賞を総ナメにした大ヒット曲。アップテンポなサウンドに、強めの歌詞、しかもボブに着物風ドレスにハイヒールという、ざっくりブルボンヌ・スタイルとかぶる女装感あふれるビジュアル! その上ドスコイぎみな大振りダンスを披露して、もうどこをとってもオカマの好物だらけ。元からゲイ人気の高かった明菜の楽曲の中でもとくに2丁目で愛されて、30年以上経った今でもカラオケの定番なのね。

コスモガールズにとってはそれこそ生まれる前の曲かもしれないけど、「はーどっこい!」って合いの手は聞いたことない? ネエさんたちが、誰とも知らずに歌いだした、これぞ2丁目の文化といってもいいネタだから、古典を学ぶ気持ちでコスモガールズにも受け継いでほしいわ。

「はーどっこい!」以外にも重要なのが、 

まっさかさまに堕ちてdesire 「堕ちたら早いよ、水商売!」

炎のように燃えてdesire 「燃えてなくなれ、あんな店!」

…って部分ね。

阿木燿子大先生の歌詞は、恋をはじめとする人間の欲望の激しさと怖さ、覚悟のようなものを歌ってるんだけど、オネエさんたちはその歌詞に絡めた言葉で一気に脱力させちゃうのよ。ゲイバーの店内で歌われてるわけだから、水商売やってる当人たちが自虐で「堕ちたわ〜(ダミ声)」と笑い飛ばし、かつライバル店はしっかり燃やしておくアバズレっぷり(放火は重罪ですよ!)。「燃えて…」のほうは、「燃えたらしつこい30代!」ってバージョンもあって、これも嘲笑と自虐が混在した良い合いの手だわね。

明菜という、陽の聖子に対しての「陰」を背負った存在が、激しいパフォーマンスで、あくまでシリアスに燃えさかる欲望の炎を歌い上げる。その横でオカマが、いちいち水をピチャピチャかけて火力を弱めちゃうこの構図。まさに世の中における2丁目オカマキャラの意義を体現してると思うの。

「綺麗になりたい!」、「愛されたい!」、「食べまくりたい!」、「あの服が欲しい!」、「抱きしめられたい!」…ガールズに限らず、人間の欲望は果てしないもの。その想いに振り回されてるだけのうちは、しんどいだろうし、簡単には手に入らない現実を前に、いやんなっちゃうかもね。

でもねぇ、アラフィフに突入した今、「性欲」や「恋したい欲」が確実に減ってしまったアタシは、「楽になった」と同時に、まさしく「消えゆく炎」のような寂しさも感じてるのよ。自分の中の暴れ馬みたいな欲望を、必死に乗りこなして突き進み、いろんな景色を見ることができるのって、その瞬間には分かりにくい、まさに生きる喜びを味わうことなのよね。

自分の中からわき起こる欲望は、嫉妬まじりのドロドロした感情だったり、平常心がかき乱されたり、「良くない」「要らない」感情だと思っちゃってる子もいるかもしれないけど、全然そんなことないから。どんどん欲しがって、まだまだ足りないって思っていいのよ。欲望は生きるためのエンジン。ガールズたちをまだ見ぬ場所に連れて行ってくれる大事なものよ。

そしてエンジンとペアなのはブレーキね。せっかく得た欲望という動力を、卑小なやり方や、無謀すぎるだけの行動で台無しにして事故っちゃダメよ。熱くなりすぎたら、オカマの合いの手を思い出して、シャレっ気たっぷりにクールダウン。「強欲〜ぅ!」なんてオネエっぽく突っ込んで笑い飛ばしましょ。茶化せる余裕とガス抜きのセンスが、適度な火力を保ってくれるはずよ。欲しがって、羽ばたいて! HAVE A NICE FLIGHT!

…あ、実は来年からは違うテーマでコスモガールズたちに会えそう〜。また近々よ!(ババアはしつこいんだよ!)