広瀬アリスが選ぶ“幸せの形” 叶わぬ思いを抱く『わろてんか』の恋模様を振り返る

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 『わろてんか』(NHK総合)の年内の放送が12月28日で終了した。第13週「エッサッサ乙女組」では、藤吉(松坂桃李)が島根へと民俗芸能「安来節」の踊り子をスカウトに出かける。都(大後寿々花)をはじめとした娘たち4人を、風太(濱田岳)が監督役として指導するといった物語だ。

参考:『わろてんか』トキが風太にビンタしたワケ 波乱の第12週を振り返る

 第14週「みんなの夢」が始まるのは年明けの1月4日。年末年始を挟むということもあってか、28日の放送では、沈静化していたそれぞれの恋愛模様が一気に動き出した。キース(大野拓朗)はトキ(徳永えり)に「大事な話があるんやけど」と呼び出し、てん(葵わかな)は北村家へと訪れた伊能(高橋一生)に勢い良く身体を預けて急接近。女優として活動し始めたリリコは、前髪を揃えたボブヘアーで藤吉の前に現れ、彼の首元に両手を回しこみ唇を近づけるーー。“朝ドラ受け”『あさイチ』(NHK総合)の有働アナも「藤吉さんとリリコのハグと、てんちゃんと伊能さん……」「来年まで待てないわ、これ」とかなり興奮した様子だ。『わろてんか』の恋愛模様はこれまでも描かれてきたが、そこには常にリリコの存在があった。てんの恋敵役でもあるリリコの、これまでを振り返りたい。

 物語序盤では、旅芸人一座の一人として藤吉やキースと共に旅をしていたリリコ。藤吉とリリコはお互い気心の知れた仲であったが、藤吉は運命的出会いを果たしたてんに気持ちが向いていた。恋心を抱く藤吉に妹扱いされるリリコ。やがて、藤吉はてんと祝言を挙げるのだが、それまでリリコは藤吉にアプローチを続けていた。

 てんの前では意地悪な態度を見せる憎まれ役のリリコも、藤吉の前ではうぶな女性の顔を見せる。この二面性も、女義太夫として、後に女優として活躍する彼女の強みの一つだ。東京から大阪へと戻って来たリリコは、てんと藤吉の間に生まれた隼也を溺愛していた。子守りをしてくれるリリコは、子育てに手が回らない風鳥亭のてんと藤吉にとっては助かる存在であったが、それに甘える夫としての藤吉の行動が、てんと藤吉の夫婦喧嘩へと発展していく。

 リリコは聡明な人物であり、藤吉の真っ直ぐで周りが見えなくなる性格を計算しての行動も多々見受けられる。けれど、それはすべて藤吉への好意があってのもの。対して、リリコは伊能の女優への誘いに気乗りをしない。伊能は「芸術肌だが飽きっぽい」と彼女を評する。伊能の話にリリコは聞く耳を持たないが、藤吉の後押しにはすぐさま顔色を変えるのも何とも彼女らしい。

 第12週では、リリコがてんに「活動写真は嫌」と伊能との喧嘩の理由を明かすシーンがあった。「張り合いがないねん。やっぱり高座にあがって、お客さんが泣いたり、わろたりしてくれはんのん直に見る方がええわ」と話し、てんに「お茶子として雇って」と冗談交じりにお願いしていた。第14週の予告では、リリコに「戻って来てええんやで」と誘う藤吉、踊り子たちを指導するリリコの姿が確認できる。

 てんを支えていくことを決心した風太とリリコは、叶わぬ思いを抱いているという点で似ている部分がある。過去には、リリコが風太に対して、自分たちが同じ境遇であることを伝える一幕もあった。風鳥亭の番頭として務める風太同様、思いが叶わぬと知りながらも、好きな人の側にいられることが、リリコにとって幸せの形なのかもしれない。

(渡辺彰浩)