執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

お酒や脂っこい食事が好き、いつも満腹まで食べる人は要注意! お腹に激痛が起こる急性膵炎についてご紹介します。

のたうちまわるほどの腹痛が数時間続く

自分の体のどこに膵臓があるのか知っていますか?
胃の後ろ側のみぞおちあたりにあり、左右15cmくらいの大きさです。消化と血糖値をコントロールしている大切な内分泌機能を持つ臓器で、この膵臓が炎症を起こす病気が、急性膵炎。みぞおちあたりに激痛があらわれ、重症化すると死に至ります。

急性膵炎の原因は4割がアルコール

急性膵炎の患者数は年々増加。厚生労働省の全国調査によると、2007年1年間の急性膵炎の患者数は57,560人。調査を始めた1987年には14,500人だったのが右肩上がりに増え続けています。男性は50歳代、女性は70歳代に多く、男女比は2:1で男性がかかりやすい病気です。

急性膵炎の原因は、アルコール、胆石、突発性とありますが、中でも多いのがアルコール性。男性の急性膵炎患者の42.7%がアルコールによるものです。症状は、腹痛が90%近い患者にあらわれます。人によっては、じっとしていられないほど激しい腹痛が何時間も起こるほか、痛む部分もみぞおちから背中まで広範囲に及ぶことも。そのほか、吐き気や嘔吐も併発する場合があり、吐いても激しい腹痛が続くのがこの病気の恐ろしいところです。ほかにも、発熱や悪寒、食欲不振、腹部膨満感などの症状もあらわれることがあります。痛みの出方も、食事や飲酒の数時間後に突然表れる場合や、徐々にでてくることもありさまざまです。

膵臓の働きが異常になり、自分で自分を溶かしてしまう

膵臓は、血糖値を下げるホルモンのインスリンや血糖値を上げるホルモンのグルカゴンを生産し、血糖コントロールをしています。人が食べ物を食べた時、炭水化物を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼといった、それぞれの食べ物に必要な消化酵素を分泌。この働きがなんらかの原因でうまくいかなくなった時、膵臓は自分で自分を消化しはじめてしまいます。これにより、膵臓にむくみや出血、壊死などの急性炎症が起こるのです。この炎症により、そのほかの臓器にも影響が起こり、多臓器不全になることも。

お酒に強い弱いは関係なく、少量でも発症

アルコールが急性膵炎の原因の第1位にあげられる理由は、飲酒を続けていると膵臓が刺激され続けているせいで膵炎が起こるため。また、アルコールが体内で分解される時に発生する物質が膵臓の細胞を傷つけるためです。アルコールが原因の急性膵炎を発症した人の1日のアルコール摂取量は、純アルコールで100g近くという報告も。

ただし残念ながら、どれだけ飲んだら急性膵炎になるという指標はありません。お酒に強い人、弱い人に関係なく、体質により少量でも急性膵炎になる場合があります。また、普段から暴飲暴食、刺激の強い食べ物や飲み物を好む、揚げ物や脂身の多い肉が好きな人は膵臓に負担をかけているので、注意が必要です。

急性膵炎は時間とともに重症化するので異変を感じたらすぐに病院へ。ほとんどが軽症から中症レベル。だいたい2〜3日間入院をして、絶食、絶飲、輸液することで膵臓を休ませます。お酒は百薬の長とも言われますが、飲み過ぎは体に毒。仕事で飲む機会が多い人は、意識的に飲まない日をつくるなどして、膵臓を休ませる習慣を取り入れましょう。