目利きの書店員さんが「ライフスタイル」に特化した注目の専門書をセレクト。2018年の生活を向上させるために読んでみたい7冊をご紹介します。

めざせ脱力上手。

こだわり、とらわれ、他人の目、同調圧力から自由になろうとする人々が増えてきた。もっと気楽に、楽ちんに。そんな人々のニーズを満たした本は。「今日からやればすぐに結果が出る、時間もお金も気力も使わずできるだけ賢く効率的、システマティックに、という類の本がやはり好評のようです。『もうレシピ本はいらない』や『最高の睡眠』の勝因もそこにあるのかも。図版が多く、わかりやすいことも大事。『ずぼらヨガ』などは、うまく人々の心を捉えたと思います」(『丸善日本橋店』和書一般書売り場担当・葛目麻子さん)

メンタルヘルス本では『うつヌケ』が話題をさらった。「メンタルヘルスの本は‘17年から表舞台に出てきた印象があります。以前は動かなかった発達障害関連の本もよく売れました。特に漫画でわかりやすく解説した『うつヌケ』は、メンタルヘルス系では新鮮な、軽やかな装丁も功を奏して、頭一つ抜けて好評でしたね」(『紀伊國屋書店新宿本店』1階コーナー担当・加藤翔さん)

『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』田中圭一/KADOKAWA

10年近くうつを患っていた著者をはじめ、ミュージシャン、小説家、研究者など、総勢17人それぞれのうつ発症のきっかけから症状、回復までの道をコミックエッセイ化。現在うつの人、うつの一歩手前の人、ただ気分がふさぎがちな時にも助けになる本。1000円

『スタンフォード式 最高の睡眠』西野精治/サンマーク出版

質のいい睡眠は、脳と体のパフォーマンスを高めるのに欠かせない。どんなに忙しくても時間がなくても、「最初の90分」をしっかり深く眠ることができれば、最高の睡眠がとれると謳う。最新科学で初めてわかったことを、わかりやすく解説。1500円

『人生を救う最強の食卓 もうレシピ本はいらない』稲垣えみ子/マガジンハウス

献立を考える無間地獄から脱出し「聡明な女は料理がうまい」の呪縛から自由に。たくさんの調味料や調理道具、レシピ本も「出汁をとる」ことさえ不要な「一汁一菜」生活のすすめ。1食200円、10分で完成する最高の食卓が生活に革命をもたらす!? 1400円

『自律神経 どこでもリセット! ずぼらヨガ』崎田ミナ 著 福永伴子 監修/飛鳥新社

とにかく運動が面倒、ジム通いの時間がない、続かない、上手にポーズがとれずストレス。そんな運動嫌い、ずぼらさんに寄り添ったヨガストレッチの本。イラストでの解説は、モデル写真が並ぶタイプの教則本よりぐっとイメージがつかみやすいと好評。1111円

急がない焦らない。

現状を変えるのは小さな一歩からという気づきが広がった。書店に行く理由が「自分が変わるきっかけになる本」を探すためという人も多いはずだ。そんな人の心をつかんだのは?

「『論理的思考力を鍛える33の思考実験』ですね。イラストが多用され、楽しみながら日々思考力を鍛えられる本でした」(加藤さん)。「自己啓発の類で売れたのは『小さな習慣』。可愛いクマが描かれた装丁とは裏腹に中身は骨太なしっかりした内容。そのギャップがよかった」(葛目さん)。

北欧発の「ヒュッゲ」も、これから話題になりそうなキーワード。「うちでは2〜3年前からヒュッゲ関連書は置いていましたが、ここへきて再び動きだして。‘16年からのマインドフルネスの流れが影響しているのかな」(『代官山 蔦屋書店』ビジネス人文売り場ビジネスコンシェルジュ・湯澤洋介さん)

『ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方』マイク・ヴァイキング 著 アーヴィン香苗 訳/三笠書房

「世界で最も幸せな国」上位常連国デンマーク発祥の「ヒュッゲ」という概念。安らぎのある空気や経験を表すそのライフスタイルが今、世界で話題に。衣食住から、旅、人間関係まで、一年中「ヒュッゲ」を作り出す方法を美しい写真とともに紹介。1600円

『小さな習慣』スティーヴン・ガイズ 著 田口未和 訳/ダイヤモンド社

私たちの毎日の行動は「何も考えずにやっている」ことがほとんどで、脳は「習慣化された行動」が大好きとか。自分を変えるために、強い意志力やモチベーションがなくても小さな行動を繰り返すことで自然と習慣化し、ストレスなく自分を変えられると説く。1400円

『論理的思考力を鍛える 33の思考実験』北村良子/彩図社

有名な「トロッコ問題」から、「アキレスの亀」など、全33本の思考実験で、凝り固まった脳、少々鈍っている脳をトレーニングする本。電車の中や、布団の中、空いた時間にトライすれば、いつのまにか、道筋立てて語れる説明上手になっているかも。1300円

湯澤洋介さん 『代官山 蔦屋書店』ビジネス人文売り場ビジネスコンシェルジュ。今は『人生の勝算』の著者、前田裕二氏の活動から目が離せないとか。

加藤 翔さん 『紀伊國屋書店新宿本店』1階コーナー担当。ミステリー好き。‘17年「鮎川哲也賞」を受賞した新人、今村昌弘氏に注目している。

葛目麻子さん 『丸善日本橋店』和書一般書売り場担当。漫画『大家さんと僕』でデビューしたカラテカの矢部太郎さんの今後の動きが気になるとのこと。

※『anan』2018年1月3・10日号より。写真・内山めぐみ 取材、文・片岡まりこ

(by anan編集部)