その正体はまさかのラグジュアリーサルーン!

 2004年の規制撤廃まで26車種の280馬力カーが登場したが、そのパワーをしっかり路面に伝えるため、その駆動方式はほとんどが4WDもしくはFRだったが、三菱自動車の「プラウディア」だけはFFであった。

 制御技術などが進化し、現在ではシビックタイプRやオーリスなど280馬力を超えるFF車は数多く登場しているが、今から10年以上前の280馬力自主馬力規制時代、FF車としてただ1台、その数値に到達したのが三菱自動車の「プラウディア」とストレッチリムジン仕様の「ディグニティ」だ。この車名を聞いて「ああ、あのクルマね」とその姿を思い浮かべた読者はよほどの自動車通か三菱系の役員ではないだろうか。この2台は長年にわたって生産されたデボネアに変わる三菱自動車のプレステージサルーンとして、2000年2月に発売。開発は当時提携していたヒュンダイとの共同であった。

 エンジンは直噴GDIの3.5リッターのV6ツインカムと直噴4.5LのV8ツインカムの2本立てで、後者が280馬力/42.0kg-mを発揮した。トヨタ自動車のセルシオや日産自動車のシーマのライバルであり、全長5050mm(ディグニティが5350mm)×全幅1870mmのボディサイズはライバル車と比べても半まわり大きく、風格と優雅さをアピールしていた。

 駆動方式がFFのため室内空間 の広さもウリの1つだった。また、エアバッグは運転席、助手席に加えて、前後サイドにも装着し、レーン逸脱警報システムやレーダークルーズコントロールなどドライバーサポートシステムを搭載するなど、充実のハイテク安全装備も魅力だった。

 4.5リッターの大排気量エンジンは2トン近いボディを軽々と高速域まで引っ張り上げ、0→100km/hも7秒台とスポーツセダン並みの速さを見せつけた。また、秋篠宮家の公用車に採用されたことも話題となった。ヒュンダイにもエクウスとしてOEM供給が検討され、よしこれからといった矢先に三菱自動車の経営状態が急激に悪化したため、翌年の2001年に生産中止に。わずか2年でその幕を閉じた悲劇の280馬力サルーンだ。ちなみにその車名は2011年に日産自動車からフーガのOEM供給を受ける形で、復活している。