地下鉄南北線中島公園駅から徒歩5分。コンビニや居酒屋などもすぐそばにあり、利便性抜群だ

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通りに面した大きなガラス窓には「LUNCH」「CAFE & BAR」の文字。

1階は、おしゃべりと笑顔がたえない居心地のいいカフェバー。ランチも楽しめる

おしゃれなカフェにしか見えないけれど、「Ten to Ten 中島公園」は、れっきとした札幌市内のゲストハウス。大きなキャリーケースを持った国内外の旅行者はもちろん、食事やおしゃべりを楽しみに来た地元客も次々と訪れる。ドアが開く度に、スタッフが「こんにちは〜」と迎えてくれる親しみやすさが心地いい。

大きなカウンターやソファなど25席ほどがゆったりと並ぶ1階のカフェバーは、ゲストハウス併設には珍しく昼夜通しで営業するスタイル。昼間はパソコンに向かって黙々と仕事をしている人もいれば、子連れでお茶するママ友たちの姿もあり、チェックインが始まる16時以降は宿泊客もやってきて、にぎやかなバータイムが始まる。いつ誰でも、思い思いにくつろげる“みんなのラウンジ”だ。

取材で店内を撮影していたら、奥の席に座っていた外国人のお客さんがカウンター席にスッと移動し、カメラに向かってビール片手にこやかな笑顔を見せてくれた。スタッフだけでなくお客さんまで、なんてフレンドリー!

この素敵な空間づくりに、立ち上げの時から関わってきた高橋大樹さんに話を伺う。「Ten to Ten」を運営する(株)フルコミッションの取締役営業本部長で、スタッフの取りまとめ役だ。

「大きな声じゃ言えませんが……僕はこの仕事を始めるまで海外に行ったことがなくて、ドミトリーにも苦手意識があったんです」。シェアハウス事業からスタートした会社でゲストハウスもやることが決まり、初めての海外視察へ。そこでさまざまな国の人が交流する様子やおしゃれなリビング、整った設備などを目の当たりにし、イメージが激変した。

「世界中の人に愛される空間を作りたい!」

オープンは2016年7月。それ以前から、他社と協業のプロジェクトで3つのゲストハウスの立ち上げに関わってきたが、自分たち単独の事業としてはここが初めて。足りないノウハウは社外の経験者の力を借りながら、3階建ての空きオフィスビルを自分たちでリノベーションした。

コンセプトは、人、コト、モノをつなぐこと。ローカルでしか出会えない人や体験を、宿と台所を使ってつなげていきたいという想いから、店名に「さまざまな点と点をつなぐ場」という意味を込めた。

カフェバーに力を入れているのも、その取り組みの一つ。スペシャルティコーヒーを提供する北海道の人気カフェ「徳光珈琲」のオリジナルブレンドや北海道のクラフトビール、北海道産小麦100%の手作りピザ、季節の食材を使った軽食やスイーツなど、メニューには北海道生まれのおいしいものがいろいろ。旅人へのおもてなしであり、北海道食材のおいしさを伝える掛け橋にもなっている。

加えてスタッフたちの接客が、友達と過ごしているような絶妙な距離感。カフェやバーを併設したゲストハウスは他にもあるけれど、ここまでカフェが宿の「顔」になっているのは、彼女たちの存在あってこそ、なんだろう。

また、旅人の思い出に残るようなローカルな体験企画も多数開催。浴衣を着て中島公園のお祭りを散策したり、おすすめの居酒屋に繰り出す企画もあれば、店でたこ焼きやおでんを楽しむパーティーを開くことも。音楽ライブやトークイベントといった、ローカルで活動するアーティストと出会えるイベントも積極的に行っている。こうしたイベントやアクティビティが旅人同士、旅人と地元の距離を縮め、札幌の素顔を知るきっかけになっている。

「ただベッドを貸すのではなく、さまざまな地元の情報を発信していく方が面白いですよね。せっかく札幌に来てくれたんだから、ディープな場所に案内したり、ローカルな体験をしてほしい。他のゲストハウスもやってることだけど、その当たり前のことを徹底的にやるのが僕らのポリシーです」

カフェバーはランチやお茶に誰でも利用でき、夜はノーチャージで気軽に飲める。急な予定変更で時間が空いた…なんて時でも、全席コンセントとWi-Fiを完備しているので、店内でゆっくりまったり過ごすゲストも多いそう。

入口すぐのフロントでチェックインしたら、宿泊は階段を上がった2階のドミトリー、3階のダブルルームとファミリールーム、女性専用ドミトリーへ。ベッドも、シャワールームや洗面所などの水回りも清潔感にあふれ、設備や環境も申し分ない。

カフェの壁には、たくさんのゲストとの写真やお礼のメッセージ。最近では北海道一周の途中で二度も泊まりに来たフランス人3人組もいれば、3回もリピートしてくれたインドネシアのお客さんもいたそう。

「ここで仲良くなった日本人の男の子と海外の女の子が、チェックアウト後に東京で落ち合って一緒に観光した、なんてこともあったんですよ」と、マネージャーの平岡さなえさんが教えてくれた。

旅が好き、世界中の人と話をするのが好きという素敵なスタッフが出迎えてくれるゲストハウス。気心知れた友達の家に行く気分で訪ねてみよう。

Ten to Ten 中島公園 ■住所:札幌市中央区南8西5-288-5 ■電話:011・211・1777 ■時間:in16:00〜22:00/out10:00、1Fカフェバー/ランチ11:30〜15:30(LO15:00)、バー16:00〜23:00(LOフード22:00、ドリンク22:30) ※カフェバー、ランチは木曜・金曜休み ■料金:1人1泊2500円〜(北海道ウォーカー・加藤和代)