フォーブス(Forbes)にとってこの2カ月は目まぐるしい変化の連続だった。

ニューヨーク・ポスト(New York Post)紙が伝えるところによると、100年の歴史を持つこのビジネス誌は、発行回数を14回から10回に減らし、スタッフを20人削減する。長年チーフプロダクトオフィサーを務めたルイス・D・ボルキン氏は去り、最高経営責任者(CEO)のマイク・ペルリス氏はその職を辞す。編集者のランドール・レーン氏とプレジデント兼最高執行責任者(COO)のマイク・ファデーレ氏がそれぞれ昇格して同ポジションに就くという。

チーフリスクオフィサー(CRO)のマーク・ホワード氏は、人員数は現在の430人に近いレベルを維持するものの、リソースを紙からデジタル製品やネイティブ広告、ライブイベントへ移行し事業の多様化を図ると述べた(この問題に詳しいふたつの情報筋によると、解雇のほとんどは販売や写真編集など印刷に携わる作業に集中している)。フォーブスの広報担当者は、具体的な数字は共有しなかったが、フォーブスのネイティブ広告やイベントビジネスはそれぞれ、毎年約30%成長していると話した。フォーブスは2017年に17の有料イベントを主催。2016年のイベント開催は11回だった。2018年にはイベントが少なくともあと5個追加されるだろう。

昔ながらのメディアとデジタルメディア、2017年に両方を襲った悲惨な出来事を考えると、フォーブスの苦悩は特別なことではない。タイム社(Time Inc.)はメレディス・コープ(Meredith Corp)に3誌を売却し、ヤフー(Yahoo)やAOL、ハフポスト(HuffPost)を傘下に収めるベライゾンの子会社オース(Oath)はレイオフを行い、デジタルの寵児であるVice MediaとBuzzFeedは売上目標を達成できなかった。メディア企業は、さまざまな場所から収入を確保し、コンテンツの差別化を図ってユーザーと直接つながれるようにする必要があると気づきはじめている。

フォーブスが抱える問題



あるアドバイヤーは、パブリッシャーとのビジネス上での関係が損なわれることを避けるために匿名を希望しつつ、こう話した。「フォーブスの問題が、業界で起こりつつある変化の象徴だとは思わない。彼らのビジネスモデルは脅かされていて、ほかの多くのパブリッシャーと同様に軸足を変え、調整し、生き残ろうとしている」。

だが、フォーブスが抱える問題のいくつかは明確だった。5年前にフォーブスのデジタルメディア事業に役立ったグロースハッキング戦術は時代遅れになってきた。コムスコア(comScore)によると、フォーブスは寄稿者ネットワークを使ってスケール拡大のための安価な経路を作り出し、同社サイトの11月のユニークビジター数は5900万人だった。

バイヤーがより質の高いコンテンツを要求するようになると、ハフポストやハースト(Hearst)、ブリーチャー・リポート(Bleacher Report)など複数のパブリッシャーは、寄稿者ネットワークを縮小していった。一方、1800人以上いるライターによる寄稿者ネットワークを縮小する予定はフォーブスにはない、とホワード氏は言う。

「収益化優先」の申し子



フォーブスの現在の広告収入のおよそ8割はデジタルから来ている。4年前はそれが紙媒体とデジタルで半々だった。だがフォーブスは、記事ページにアクセスすると同時に、押しつけがましく画面を乗っ取ってくる、自動再生型のインタースティシャル(すきま)広告を自社サイトにまき散らすことでデジタル収入を増やしてきた。そのせいでフォーブスは、ユーザー体験より収益化を優先するパブリッシャーの申し子のようになってしまった。

そしてブラウザが広告に対して宣戦布告をし、パブリッシャーが侵襲的広告で利益を上げることを困難にしたとき、フォーブスは不利な状況に置かれた。2017年9月にはAppleのSafariブラウザが、ユーザーがWebサイトを訪れてから24時間以内はサードパーティーがユーザーを追跡できない仕組みなった。2018年にはGoogleもアドブロックを備えたChromeブラウザをリリースする。Googleは、新機能を持つChromeで自社サイトの広告がブロックされるかどうかをパブリッシャーが確認するためのツールを6月に公開したが、フォーブスは「失格/警告」のサイトのリストに入っていた。

一枚の大看板企業であるフォーブスには、盾となってトラブルから守ってくれる姉妹版パブリケーションがないという事実が事態を悪化させている。

進化するフォーブス



もちろんフォーブスも進化している。サイトのロード時間を短縮したモバイルサイトではすきま広告によるホームページ乗っ取りをなくした(デスクトップ版にはまだホームページ広告があるが、カウントダウンのタイマーは排除された)。記事ごとのページ分けをする頻度を減らし、新しく発行された記事の多くをずっとスクロールできるオプションを用意した。Googleの「広告体験」ツールでも、フォーブスの広告はもう「失格」リストから外れている。

「我々は、ユーザーエクスペリエンス(UX)がどう機能することをブラウザが望んでいるかに、慎重に気を配っている」と、ホワード氏は語る。

フォーブスというブランドについての認識を尋ねると、3人のアドバイヤーは特に関心を示さなかったが、強気な姿勢を見せたバイヤーたちもいる。メディア購入エージェンシーのリチャーズ・グループ(The Richards Group)でブランドプランナーを務めるレスリー・タッカー氏は、フォーブスはまだ優れたビジネス系パブリッシャーだと考えている。タッカー氏は、フォーブスのネイティブ広告のターゲット化の改良を指摘した。フォーブスは2月に、ネイティブ広告製品「ブランドボイス(BrandVoice)」を対象にジオロケーション・ターゲティングを導入したが、これは歴史と伝統を持つパブリッシャーが時代について行こうとする姿勢の現れだという。

「フォーブスというブランドにはまだ威信がある。だが、ユーザーエクスペリエンスに関して彼らがした決断、特にホームページの前に広告を置くという行為は、ブランドに本当に大きな汚点を残してしまった」とアドエージェンシー、トラクション(Traction)のCEOであるアダム・クレインバーグ氏は話し、ブランドマーケターたちがユーザーエクスペリエンスについてより厳しく評価するようになっているという調査結果を引用してこう述べた。「いまから変えても遅すぎることはないが、彼らはそれに全力で取り組まなければならない」。

Ross Benes(原文 / 訳:ガリレオ)