専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第136回

 2019年4月、天皇陛下が退位し、平成が終わりを告げます。

「平成生まれのキャバ嬢に会った」と言ってドキドキしていたのは、ついこの間の話。今やほぼ全員が平成生まれのキャバ嬢ですからね、いやはや月日の流れは速いものです。

 そんな2019年ですが、ゴルフ界にも画期的な出来事が起こります。それは、R&A(全英ゴルフ協会)が進めている、新しいルールが実施されるのです。

 すでにこの話を耳にした方もおられるでしょう。非常に視野を広くしたアマチュア寄りの方針転換で、これで多少はゴルフ人口が増えるかな、と思っています。

 具体的にはどんなことが実施されるのか。あくまで素案ですが、大まかな概要をお伝えします。

・最大スコアの採用
 これを聞いたとき、耳を疑いました。どれぐらいかわかりませんが、例えばパー4なら最大8ぐらいまで数えて、あとは終わりにするそうです。

 どのレベルの試合まで採用するのか謎ですが、我々アマチュアのプライベートラウンドでは、文句ナシに採用しますよね。こういうルールができるなら、ほんと最初からやってよね。

・ボール探しは最大5分から3分程度へ
 遊びのラウンドでボール探し5分は長いですよ。あまりうまくない人ほどボールをなくしやすいし、しかもセルフプレーですからね。そういう人こそ、キャディー付きのラウンドをすれば、いいんですけど……。

 OB杭や黄色杭あたりを探してボールがなかったから、すぐに適正な処置をしてプレーを再開すればいいじゃないですか。OBエリアに入ったボールまでくまなく探そうとするから、プレーが遅くなるんですよ。



アマチュアのお友だちラウンドであれば、ここまでしなくてもいいですけどね...

・クラブをソールできる箇所が増える
 まだ調整段階ですが、赤杭内でもソールして打ってよし。さらに、バンカーや水際でも「ソール可」という話らしいですが、それらは噂の域を出ません。とにかく、楽にプレーできます。

・ピンを立てたままパターできる
 軽井沢の晴山ゴルフ場では、昔からピンを立てたままパターしてもいいことになっていました。リゾートゆえのローカルルールってやつですね。

 これが、世界共通に。面倒臭がり屋には朗報です。だいたい長い距離のパターなんか入るわけがないんだから、目印としてもピンを立てておくべきでしょう。

・ボールのドロップは数センチ上からでOK
 ハザード周りでボールをドロップして処理しますよね。けど、普通にドロップするとボールは転がって、芝と芝の間に入って止ります。そりゃ、当たり前じゃん。だって、ボールは丸くて重いのですから、芝の隙間に入って当然です。結果、打ちづらくなって叩いてしまいます。

 これが、限りなくプレースに近い、数センチ上からのドロップが可能になります。表面の難しい場所から打つことが減りそうですね。

 とまあ、このように我々の感覚に近いゴルフの方向に向かっているようで、非常に喜ばしいことだと思っています。

 じゃあ、なんでこうしたルール改正を行なおうとしているのか?

 それは、世界的にゴルフ人口が減少しているからです。しかも、その背景には、スキーやサッカー、野球やテニスなど、他のスポーツに比べてルールが厳しすぎるという意見があります。

 もちろん、他のスポーツもルール自体は厳しいですよ。でも、例えばアマチュアのスキーは、ただ上から滑ってくるだけでしょ。そもそも競技やスコアなんて存在しないし、ほとんどレジャー化しているじゃないですか。

 ゴルフもレジャー化しているのに、その実情についていけていないのです。

 R&Aの危機感は相当なものです。結果、このようなルール簡易化に乗り出したのです。将来的な方向としては、プロのルールとアマチュアのルールを分ける、レギュレーションの分化も検討する予定だとか。

 よく考えれば、全英オープンのルールと、アマチュアのお友だちラウンドのルールが一緒って、あり得ませんよね。F1レースと、日頃のドライブが同じレギュレーションで走るようなものです。そうなったら、公道を使ったF1モナコグランプリのようなものが、全世界のいたるところで勝手に始まってしまいますよ。

 プロとアマチュアのレギュレーションを分けることができれば、高校野球で金属バットを使っていいように、アマチュアのコンペ程度では、高反発クラブが使用化になるんですけど。

 R&Aの英断はお見事ですが、日本独自のルールってないんですかね? 

 一応、JGA(日本ゴルフ協会)ルールというのがあるんですが、それは本家となるR&Aルールのほとんどコピーで、簡単に言うと受け売りですね。

 ゴルフ発祥の地として、R&Aがあるのはわかります。でも実際は、USGA(全米ゴルフ協会)と連携して、ゴルフ界のルールやさまざまな規定を決めているわけで、世界のゴルフは英米が牛耳っている、というのが正直なところです。

 本当は、JGAもがんばって独自のルールを作って、アマチュアゴルファーの参加を促すように仕向けていってもいいと思うのですが。

 英米のゴルフ協会は、名だたる政治家が名前を連ね、非常に政治的な発言の場となっています。だから、日本もゴルフ好きな安倍晋三首相が名誉会長となって、ゴルフ好きな政治家が理事をして、日本オリジナルルールを選定すればいいんですよね。

 ゴルフのルールは綺麗事を言っていますが、裏を返せば、それは政治的な戦争および経済戦争なわけです。

 スポーツの政治的な思惑と言えば、例えば柔道があります。ルール改正によって、なぜかつかみにくい柔道着が採用され、日本人選手が不利になるように変わったりします。

 裏取りはできませんが、組織のトップに立った者たちが、自国の利益になるようなルールを強く推し進めているのです。

 ゴルフで言えば、欧米選手が勝てるセッティングやルールになっていますよね。世界の女子ゴルフ界のことを言えば、アジアの選手たちがこのまま台頭し続ければ、組織のトップを牛耳る英米が「面白くない」と思って、何らかのアクションが起こることも予想されます。

 一方、経済戦争で言えば、どういうギアを使う(採用する)かによって、どこかの企業に莫大な利益をもたらします。

 ゴルフマーケットは、アマチュアなんですよ。トッププロがなんぼ使っても、アマチュアが何百万本も買ってくれないと、商売にはならないわけです。そこで、日本主導で高反発クラブをバカスカ発売するってことは、”本家”にとっては非常に面白くないわけです。

 日本のゴルフ界の発展は、日本のゴルフ界の幹部連中が、今後のことをどう考え、どう動くかがカギです。今、それを試されているような気がしてなりません。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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