世界各国の政府当局は、「テクノロジープラットフォームを規制せよ」という声の高まりに直面している。

12月上旬、英国の独立監視機関はテレサ・メイ首相に対し、ふたつの新法を施行して、GoogleやFacebookなどのプラットフォームにパブリッシャーと同様の規制をかけるよう勧告した。これに加え、欧州では継続中の反トラスト訴訟や、ロシアのプロパガンダ拡散に加担したとの非難もあり、プラットフォームに対する政府の介入は未曾有の規模となりつつある。

欧州で各国政府がプラットフォームの事業をどう規制しようとしているか、要点をまとめた。

重要な日付と数値



2018年1月1日:ドイツの規制法が全面施行。ソーシャルプラットフォームは犯罪関連コンテンツを投稿から24時間以内に削除しなければならない。
5000万ユーロ(約66億円):上記の規制法に違反した場合、ソーシャルメディアプラットフォームに課される罰金の上限。
24億ユーロ(約3200億円):2017年6月、自社の価格比較サービスを違法に宣伝したGoogleに対してEUが課した罰金。
Googleの欧州における市場優位の乱用、とくに検索広告とAndroidサービスに関して、告発に基づいた2件の捜査が現在継続中。

フェイクニュースが「トロイの木馬」に



パブリッシャーのあいだではもう何年も、GoogleとFacebookがデジタル広告市場の複占を強めることへの懸念が渦巻いている。売上の面では、特に規制反対派が優勢の米国において、パブリッシャーは無力だった。だが、ここ1年半のフェイクニュースの台頭で、プラットフォームが嘘やミスリード、悪意に満ちた情報の拡散を手助けしていると指摘されたことで、議員やメディア業界は団結のきっかけを手にした。

壊れかけの市場経済


プラットフォームへの規制が厳しくなることで、パブリッシャーが利益を得る可能性は低い。また、焦点の絞れていない包括規制は、危ういほど表現の自由の制限に近く、誰もそんなことは望んでいない。しかし、パブリッシャーはFacebook、Googleとのゼロサムゲームに巻き込まれている。彼らが助けを求めているのは周知の事実だ。

「英国政府は、ニュースコンテンツ制作者が苦境に立たされていることを認識している。彼らは、市場経済の欠陥のせいで、もうすぐコンテンツ制作がストップすることを予期している」と、メディアフォース・グループ(Mediaforce Group)のコマーシャルディレクター、スコット・ギル氏は指摘する。同氏はまた、パブリッシャーは政府と組んで、どんなメカニズムを導入すれば勢力の偏りが是正され、パブリッシャーが売上を多少なりとも取り戻せるかを検討している最中だと話し、「政府もそれに積極的に耳を貸している」という。

パブリッシャーは以前から、Facebookのインスタント記事(Instant Articles)が読者データをほとんど提供しないことに不満を漏らしていた。パブリッシャーはインスタント記事をマネタイズできるが、ターゲティング能力はほとんど与えられず、一方でFacebookはプラットフォーム内ではより効果的にターゲット層の選別をおこなっている。これは政府が考慮しなければならない頭痛のタネのひとつだ。

プラットフォームの見解



プラットフォームはパブリッシャーになろうとしていたわけではない。だが、バランスの再調整は必要だ。Facebookは税の支払いに合意し、Googleはデジタルニュースイニシアティブへの投資を強化して、ニュースパブリッシャーのプロジェクトを金銭的に支援している。

規制の方法



英国政府 デジタル・文化・メディア&スポーツ部門のデジタル国務大臣であるマシュー・ハンコック氏は、パブリッシャーが複占のなかで経済的競争力を維持できるように政府はどう支援すべきかを優先課題としている。これにはさまざまな方法がある。ひとつは、GoogleとFacebookに課税し、税収をパブリッシャーへの補助金に充てるというものだ。ギャンブル業界への税が競馬への補助金に充てられているのに近いが、これは不幸な結果をもたらしかねない。何が価値あるコンテンツなのか、ユーザーが作成したコンテンツの権利取得や配信を行う、デジタルパブリッシャーは認められるのか、といった問題が出てくるからだ。

もうひとつの方法は、デジタル広告のエコシステムにおける認証制度をGoogleが導入することだ。これが実現すれば、Googleがビッドリクエストを送ったとき、買い手は認証を見てそれがプレミアムインベントリー(在庫)であることを確認し、その分を上乗せした価格を支払うかどうか判断できる。ここでも同様に、あるコンテンツやパブリッシャーが高付加価値かどうかを誰が決めるのかという問題はあるが、出発点としては悪くない。「これにより、コンテンツへの投資と広告への投資を紐づけできる」と、ギル氏はいう。「調査報道記事の広告収入と、ナショナルレール(National Rail: 英国の旧国鉄)の時刻表ページの広告収入が、同じRPM(インプレッション収益)であるべきだろうか? (コンテンツの質による)広告収入の差別化は不十分で、調査報道のインセンティブになっていない」。

だが、なにせ官僚は鈍重な生き物だ。これがいつ現実のものになるかは、誰にもわからない。

Lucinda Southern (原文 / 訳:ガリレオ)