新しい地図、配信楽曲「72」の音楽的特徴は? 小西康陽の手腕が光るサウンドや歌詞に注目

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 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人が、2018年元旦に27分間の特別番組『27Hunホンノちょっとテレビ』(AbemaTV)の生放送に出演する。これは、2017年11月2日夜9時から11月5日夜9時まで生放送された『稲垣・草なぎ・香取3人でインターネットはじめます「72時間ホンネテレビ」』に続く27分間の特別番組。『72時間ホンネテレビ』以来初めて3人が揃い、都内某所から生放送されるという。

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 『72時間ホンネテレビ』は挙げればキリがないほどのトピックを生み出した番組だったが、とくに思い出されるのは番組テーマソング「72」だ。最初から最後までジングルのように用いられた同曲は、番組のフィナーレを飾った72曲メドレーライブにてフル歌唱され、大きな話題を呼んだ。そして今回、元旦の放送に先駆け、12月24日午前0時より『72』のデジタル配信がiTunes/レコチョク/Amazon Music/Google Play Musicの4つの音楽配信サイトにて突如スタートした。さらに「72」は稲垣・草なぎ・香取が立ち上げたプロジェクト“新しい地図”名義でのリリースだ。

 番組での歌唱時、楽曲タイトルとともにクレジットされていたのが、作詞・作曲:小西康陽の文字。小西といえば、ピチカート・ファイヴのメンバーであり、音楽プロデューサーとしても活躍する名手である。小西が手がけた新しい地図「72」の聞きどころについて、音楽評論家の宗像明将氏に話を聞いた。まず、宗像氏は同曲を聞いた率直な印象について次のように語る。

「『72』は今年の小西康陽作品の中でもベストのひとつと言える仕上がりで驚きました。彼のプロデュースで今年話題になったのは、八代亜紀の『夜のつづき』という本格的なジャズアルバムです。そういったアルバムの一方で、打ち込みのリズムに振り切った『72』のような楽曲を書き下ろしたということが、まずとても新鮮でした」

 小西は作詞・作曲・編曲を手がけたSMAPの「クイズの女王」(『SAMPLE BANG !』2005年)、インストナンバー「Theme of 015」(『SMAP 015 / Drink ! Smap !』2002年)、香取のソロプロジェクト「慎吾ママのおはロック」(2000年)といった仕事でも知られる。それらのホーンやベル、スクラッチなどの音色を多用した賑やかなサウンドに比べ、「72」は歌声を際立たせるエバーグリーンな楽曲だ。

「サウンドとしては、イントロからアコースティックギターが象徴的に鳴らされ、開放的なムードが演出されています。それに呼応するかのようなメンバーの歌唱もいきいき響いている。Bメロのリズムに絶妙なクセがあるのも面白く、コード進行も洒落ています。また、一聴して新しい地図の3人が歌っていることがわかるようなサウンドメイクが施されているのも特徴ではないでしょうか。さらに、NONA REEVESの西寺郷太さんがコーラスに参加、仮歌まで担当したというところからも、小西さんはじめ、楽曲制作に携わった人々の本気度が伝わってくる出色の出来だと言えるでしょう」

 また、小西はピチカート・ファイヴ含め、楽曲の歌詞も数多く手がけてきた。「72」では希望を感じさせる前向きなメッセージが描かれている。

「SNSを用いた活動や彼らの現在の立ち位置をキーワードとして織り込みつつ、<ぼくが72時間も眠らずにいたら/ぼくが72時間も喋り続けたら きみも心配するかな>と『72時間テレビ』の話題が最終的に<ぼくが72歳ならきみはいくつだっけ/ぼくが72本のバラ、きみに贈るから お互い長生きしようね>と新しい地図とファンの関係性に発展されるなど、ウィットに富んだ歌詞もポイントです。メンバー3人とファンとの未来への歩みがきれいに言葉として落とし込まれていて、小西さんの作詞家としての手腕を感じることができました」

 新しい地図の公式HP「ARCHIVE」には、小西や西寺のほかにも、レコーディングメンバーのクレジットがしっかりと記されている。新しい地図に関わる一連のクリエイティブは、すべてクリエイターの名前を残すことが発足時から続けられており、彼らのものづくりに対する姿勢がうかがえる。

「新しい地図の立ち上げ当初、彼らと一緒にものづくりをしたいというクリエイターが数多く集まっていたことに感動しましたね。1年前の彼らの姿からは想像できない、“開放”と“解放”のムードに溢れた活動は、ファンの人々に多くの希望を与えているのではないでしょうか。音楽も『72』の1曲で終わらせてしまうのはもったいない。『72』には窪田晴男さんや福富幸宏さんまで参加していますから。様々なクリエイターと組みながら、今回のような上質な楽曲をぜひこれからも生み出してほしいです」

 配信というスピード感や、YouTubeでのレコーディング風景の公開など、届け方にも“新しい地図らしさ”が取り入れられた『72』のリリース。多くの革命をもたらした2017年を締めくくるクリエイティブが音楽であったことは、新しい地図の存在を象徴すべき一つの出来事でもある。(久蔵千恵)