平塚・ガールズグランプリ ビーチバレー出身の地元・尾崎睦はボールをスパイクして気合を入れる

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 「ガールズグランプリ2017」(優勝賞金1000万円=副賞含む)が28日、平塚競輪場の第11Rで争われる。トップ選手7人が一発勝負で女王の座を目指す。ビーチバレーから転向した尾崎睦(32=神奈川)は地元・湘南バンクで一世一代の大勝負に挑む。ビーチで世界を目指す夢は破れたが、新たに挑んだガールズケイリンで頂点に立つ。

 ギラギラと照りつける真夏の太陽。スポーティーな水着に身を包み、ネット際の駆け引きで観客を魅了した。尾崎はビーチバレーの元プロ選手。2年連続(12、13年)でジャパンビーチバレーツアーの年間女王に輝いたトッププレーヤーだった。「セールスポイントは諦めないこと。派手さはないが泥くさいプレーが得意でした」

 ついた異名は“ビーチの申し子”。だが「目標だった五輪出場も難しかった。このまま続けても…」。かつてコンビを組んだ金田洋世(ガールズケイリン3期生=引退)の転向が転機だった。オフシーズンに固定自転車を踏んでみた。「このタイムなら競輪学校に合格できるかも」。アスリート魂が揺さぶられた。「競輪は一発勝負で1000万円ももらえる。夢がある。チームスポーツではなく1人でやってみたい」

 競輪転向を決意。身体能力に自信はあったが、バランスを崩して何度も転んだ。だが、めげなかった。不安定な砂場で鍛えた脚力はペダルを踏み込む最高の原動力。誰もが認める大の負けず嫌いは、才能よりも不断の努力がアスリート人生を支えてきた。「タイムが縮んでいくのが楽しかった。日々の成長が数字で分かる。これはビーチバレーにない」。自転車の魅力にのめり込んだ。

 新天地デビューは30歳。苦労人はケイリンの花形である先行選手としてトップクラスにまで上りつめた。デビュー3年目の今年は「グランプリが地元平塚と決まってから何が何でも出場することだけを考えて戦った」と振り返る。「去年は出場することで安心してしまったが、今年は結果を出す。絶対に優勝」。口調が変わり、眼光鋭く言い切った。

 尾崎のレースを観戦したこともある“ビーチの妖精”浅尾美和は「ビーチバレー時代からむっちゃんは努力の人だったので、ガールズケイリンに転向してからもきっと誰よりも練習してつらいトレーニングをしているんだと思います。優勝目指して頑張って!」と熱烈エール。かつてのライバルから送られた激励には豪快スパイクで応えるつもりだ。

 好きな言葉は「夢は叶(かな)う」。ビーチに置いてきた夢は自転車で叶える。転職が天職になった32歳が湘南の風になる。

 ◆尾崎 睦(おざき・むつみ)1985年(昭60)4月10日生まれ。神奈川県平塚市出身の32歳。東京女子体育大卒。在校成績1位。1メートル72、65キロ。血液型A。

 ≪仕上がりに師匠太鼓判≫デビュー前から尾崎をマンツーマン指導してきた師匠の渡辺秀明(46=神奈川・68期)は「初出場だった昨年は11月下旬からプレッシャーで痩せていたけど今年は大丈夫。昨年の失敗があるからね。調子が上がりにくい冬場で上向いている」と仕上がりに太鼓判を押す。「不器用なタイプだけど経験が一番の強み。頑張ってほしい」とエールを送った。

 ≪絶好枠引いた≫ガールズケイリンは内枠ほど有利な傾向。尾崎の車番別成績は今年挙げた55勝のうち1番車が13勝で7番車と並んで最多だ。一度だけ4着に敗れたが、これは外国人選手が相手で参考外。外枠での強さも光るが、連対率95%を誇る1番車での安定感は抜群。絶好枠の1番車で追い風が吹いている。