(編集・制作 gooヘルスケア)文/亀井満月

唇の周りに水ぶくれのような腫れ、複数の口内炎などが発症する口唇ヘルペス。数日で治ることもあれば、場合によっては高熱、全身に湿疹が出るなど症状が広範囲に及ぶケースもあるようです。今回は「口唇ヘルペス」で入院をした方の体験談です。

■最初は唇の湿疹と口内炎その後全身に症状が出た「口唇ヘルペス」

唇の湿疹と口内炎などの症状に気がついていたものの、さほど気に留めずに生活をしていました。ところが3日くらいすると全身にかゆみが出てしまし、寝不足になるほどのかゆみが出ました。ヒザのやや上、内股側から湿疹が出始め、この後 1週間かけて顔、手以外の全身に湿疹が広がっていきました。

4日目の朝、強い倦怠感と微熱を感じたので会社を休みました。全身のかゆみは治まり始めていたこともあり、連日連夜のかゆみによる睡眠不足かと判断して寝ていました。ところが5日目に熱が上昇、38度台になり解熱剤を服用。夜にはいったん熱が引いたものの、入浴の際に初めにできた湿疹の周りに紅斑が広がっていることに気がつきました。何だかおかしい……。

さらに翌日には、目に違和感が。常時目の中にゴミがあるような状態で涙が止まらない。食欲も減退し、食事の際には口内炎を確認しました(口唇ヘルペス)。

■発症から2週目に激症化、検査入院へ

休養をとっても一向に改善しない症状。
昼に熱を計ってみると 38度台。再び解熱剤を飲んで横になったら多少は下がったものの、夜には再び39度後半に。解熱剤もまったく効かず、今度は激しい頭痛に悩まされました。

#7119 に電話して、日曜夜でも受診が可能な病院を教えてもらったものの一軒目は急患で対応できないとのこと。体がしんどく、この日の受診はあきらめて横になりました。「寝たら死ぬんじゃないか」そんな気持ちがよぎり、結局、一睡もできずにいました。
深夜には、頭痛に耐えかねて紅茶を飲みました。しばらくするとカフェインの作用か若干楽になりました。まったく食事がのどを通らなくなり、口内炎はさらに酷くなっている感じがしました。

翌日になるとまぶたの状態が良くなり、目がだいぶ楽になりました。湿疹は紫斑になっていることに気がつき、体温はまだ 39度台。月曜なので病院の選択肢が広がり、内科、皮膚科を併設しているクリニックを受診しました。
すぐに詳しく調べた方がよいとの診断を受け、大学病院を紹介されました。皮膚科は 1時間待ち。待機中も発熱で体が辛く、10分ほどで根を上げて横になれないかと申し出ると看護師らの態度が一変。急患扱いになりました。
診察では医師(内科医?)に病状と皮膚の状態を見せ、続いて皮膚科の医師がつき、全身の写真撮影の後に、尿検査、血液検査(採血四本)、レントゲン、心電図等検査をしました。
その後も何名かの医師に質問を受け、感染症の疑いがあるためか最近の海外渡航歴は必ず聞かれました。熱は38度程度に下がったものの、手のひらに水泡のできはじめの様なものを指摘されました。精密検査のため、腕の皮膚を二ヶ所、麻酔を打って切り取り病理検査へ。腕には縫合の跡が残りました。(麻酔は採血よりも痛く、1個所あたり麻酔 4回、計8回)。
ここで医師から検査入院を勧められ、いったん自宅に戻って荷物を整理し、再び病院へ。

■人生初の点滴と入院…「口唇ヘルペス」でまさかの検査入院

8人部屋に空きが無く、また感染症の疑いがあるため人口密度の低い4人部屋(1日 8,000円の差額室料)に。また、フロア外への退出も禁じられました。(入院患者であっても、他階のコンビニなどは行けるらしいがこれが禁止されました。)

病名が判明するまでは「何らかの感染症かもしれないので、なるべく人口密度の低い部屋にしたい」と言われたものの、お見舞いは大丈夫だったので「大事を取って」程度の扱いだったのかもしれません。

感染症等、詳細な血液検査のため、両腕から採血するもそれぞれ 10ml しかとれず、
(採血用の器具ではなく、シリンジの先に針がついただけのものでポイントを探るため両腕をぐりぐりされ、めちゃくちゃ痛い。ここが入院中の一番ひどい体験でした。)
下着を脱いで股座(鼠径部)から採血。(太い血管があるらしく、60、100mlぐらい?多めに採血)
その後、高熱からの脱水を防ぐために人生初の点滴。食欲がない上に、悪化した口内炎のせいで食べ辛く、やっとの思いで白米を1/3ほど口にしました。

その後2日間ほど39度の発熱と不眠、相変わらず頭痛が続き、昼間は缶珈琲のカフェインで紛らわしました。食事も半分ほど食べられるように。口内炎も少しづつ改善していき、白米を食べるのが一番楽でした。

アンテベート(ステロイド外用薬)が処方され朝・夜 2回全身に塗ります。浸透性が悪く、下着(特に上)を換えないと不快感がすごい。同時に洗濯の頻度も増えました。
3日目の朝には解熱剤が投与され、12時間ほど楽になるも夜には再び高熱で眠れません。昼にはドラマ「白い巨塔」で見たような回診を受けました。本当にあるんだこういうの……。
たくさんの医師が自分を囲み、写真もたくさん撮られました。(入院中、平日は1、2 人からほぼ毎日回診を受け、経過写真も何度か撮られていましたがこの日の回診は10名以上だった)。

■ピークを超えて、症状も緩和へ

発症してから一週間が経過。入院4日目。
熱も微熱程度に下り、医師からは単純ヘルペス(口唇ヘルペス)の初発症、それに伴う全身の多形紅斑との診断を告げられました。
この夜より投薬が開始になりました。
* バラシクロビル 500mg(ヘルペス退治)
* プレドニン 25mg(内服ステロイド、紫斑の治癒)
* ファモチジン(胃薬、ステロイドの副作用を押さえるため)

禁酒を言い渡されます。熱が下がると共に食欲も復活。しかし夜間には全身のかゆみが再発。内服するステロイドが免疫を下げてしまうため、人口密度の高い部屋には移れず、フロア外への退出禁止も継続。まさに一進一退です。

夜間の全身のかゆみを訴えたところ、痒み止め兼、睡眠導入剤(アタラックス)を処方されてかなり楽になりました。激症化から初めてまともに寝られました。
37度台の微熱が続き、以前よりは辛さを感じず、食欲も完全復活。病院食を全て食べられるまでになりました。

■ついに退院、しかしケアは続く

発症してから3週目。体温は時々36度後半にまで下がることもありましたが、常時 37度台の微熱は相変わらず。体調に問題はないものの、あまりにも微熱が引かないので少し不安になりました。2日後、バラシクロビルの投薬が終了。また、プレドニンの量が 20mg に減量され、この量で2〜3日様子をみて、不調がでなければ退院可能と伝えられました。長いトンネルの出口が見えてきました。
2日ほどで微熱が引いて36度台の平熱に戻りましたが、祝日を挟んだために退院の判断はお預け。翌朝に採血を行って退院許可が下りました。最後の昼食を食べたら退院です。

入院期間 11泊12日間、会計は以下の通りです。

会計
123,000 治療費、入院費、薬剤費等
11,000 食事負担金(33食)
96,000 差額室料(8,000×12)
8,000 消費税
===========
238,000

感染症の疑いがあったため差額の室料がかかりました。こればかりは仕方ないのではという気持ちも少々……。

発症から3週間目にして、ようやくいつもの日常を取り戻しました。投薬は続いていますが、この日以降プレドニンを 15mg に減量、定期通院に。1度目の通院では、プレドニンを 10mg に減量、朝のみの服薬。アタラックスの服薬は終了。ステロイド軟膏の強さが一段階下がりました。現在は炎症の引きが悪い足を中心に塗っています。

■アドバイス

医師からは基本的に処方された薬の飲むこと以外はありませんでした。今後については「口唇ヘルペスの再発があったときは最寄りの皮膚科かここ(入院していた大学病院)へ。今回のような激しい症状の場合は直接こちらを受療せよ」と言われ、普段の生活については「引き続き風邪やインフルエンザに注意して過ごすように(免疫が弱ると再発しやすくなるから?)」と言われたぐらいです。
また、「軟膏は対症療法にすぎず、あまり効果はない」という話をされました。自然治癒力に委ねるしかありません。夜間のかゆみはなくなりましたが、アタラックスを服用していたため、どの段階で引いたのかは不明です。
現在のところ再発の兆候はありませんが、免疫力を下げないように、うがいと手洗い、マスクの着用を徹底しています。室内も湿度を40%に保ち、アルコールスプレーや置き型の感染予防ジェルなどを設置して気を使っています。
口唇ヘルペスは免疫の低下によるのが原因のようですが、ウェブ検索をしてみると「ヘルペス脳炎」などの重い疾患もあり、恐怖心が芽生えます。
アドバイスとしてはかぜの症状がないにも関わらず発熱がある場合は、速やかな受診をおすすめします。

■まとめ

重たい症状が出現しない限りは、疲れがたまっただけ、寝不足だったかもと自己診断をしてしまいがちですが、結果的に約2週間の入院に至った今回のケース。
動けるが体は辛いという、救急車を呼ぶまでもない状態の時に「#7119」を利用していたように、あまりにも改善しない場合や、いつもと様子が違うなどの症状が見られた場合には「#7119」で相談してみるのも手です。また、体が辛い時には口内炎などの細かな症状を伝え忘れてしまうもの。気になった症状をうまく伝えられるよう、メモに残しておくとスムーズな診断に繋がるのかもしれません。