全国にわずか4名のみ在籍している渋滞予報士

写真拡大

天気を予想する天気予報士と同様、渋滞を予想する「渋滞予報士」という職業が存在する。関東、北海道、東北、新潟に各1名ずつ、わずか4名のみ在籍している渋滞予報士とはどのような職業なのだろうか。

【写真を見る】2017年〜2018年、年末年始の渋滞ピーク予想はこちら

また、年末年始にかけて毎年話題となる高速道路の渋滞は、なぜ起こるのだろうか。その意外なメカニズムについて、NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)渋滞予報士の外山敬祐さんに話を聞いた。

■ そもそも「渋滞予報士」ってどんな仕事?

「渋滞予報士は、渋滞を少しでも減らすために、高速道路の渋滞が「いつ・どこで・どのくらい」発生するかを予測し、混雑している日にちやルートを避ける「分散利用」を呼びかけています。渋滞を減らすためには高速道路をご利用いただくお客さまにもご協力いただくことが不可欠です。

そのため、渋滞予測や取り組んでいる渋滞対策について分かりやすく解説・PRすることも渋滞予報士の大切な役割です。その他にも、渋滞発生原因の分析や渋滞対策の企画立案など、具体的に渋滞を減らすための仕事も行っています。」と外山さん。

渋滞予測や渋滞対策のPRの一環として、2007年に誕生した渋滞予報士。外山さんは五代目の渋滞予報士として、渋滞を減らすことを使命に積極的にメディアに出て、渋滞予測についてアピールしている。

■ 年末年始の渋滞ピーク予想を教えてください

「年末の下り方面(都心→地方部)の渋滞は、例年分散傾向となるため、意外にもGWやお盆ほどの大きな渋滞にはならないことが多いです。今年も同様の傾向ですが、12月30日は注意が必要です。関越道の高坂SA付近を先頭に午前8時をピークに最大20キロメートルの渋滞を予測しています。

一方の上り方面(地方部→都心)は、年末年始をふるさとや行楽地で過ごした方々のUターンラッシュが1月2日にピークを迎え、お昼過ぎから各高速道路で激しい渋滞となるでしょう。

特に関越道の高坂SA付近や東北道の加須IC付近では夕方17時をピークにそれぞれ最大35キロメートルの渋滞となりそうです。この1月2日は初売りや初詣などに出かける車で移動が活発となるため、下り方面でも午前中に多くの渋滞が発生するため注意が必要です。

これは今回に限った話ではなく、例年1月2日は上下線両方向で渋滞が多く発生することから「渋滞の特異日」と呼んでいます。1月2日にお出かけの際には渋滞予測を参考に混雑している時間やルートを避けてください。

■ 渋滞を回避する秘策はありますか?

「渋滞を避ける方法は2つあります。1つめは混雑している時間帯を避けること。お出かけの前に天気予報を確認する方は多いと思いますが、同じように渋滞予測もチェックしてみてください。あまり知られていませんが、渋滞予測は年末年始やお盆といった交通混雑期だけでなく365日行っています。

どうしても渋滞時間に移動しなければならないときは、ピークとなる時間を避けるようにしましょう。例えば出発を1時間ずらすだけでも渋滞がかなり短くなっていることもあります。

2つめは混雑しているルートを避けることです。近年は、一番外側の環状道路である圏央道の整備が進み、首都圏の高速道路は網目状にネットワークができています。距離としては多少遠回りになっても、渋滞をかわすことで結果的に早く目的地に到達できるケースがあるので、事前に複数の行き方を下調べしておくことが大切です。

ただし、事故や天候などの影響により渋滞予測と実際の交通状況は異なることもあります。お出かけの際には、常に最新の交通情報を入手し、空いているルートを選ぶことが重要なポイントです。

最新の交通情報は、SAなどで休憩する際に交通情報を表示しているモニタをチェックしましょう。運転中であれば高速道路に設置されている情報板からも入手できます。また、NEXCO東日本公式twitterでも高速道路の情報を提供していますので、助手席の方から情報を仕入れていただくのも有効です」。

外山さんが渋滞情報を確認するためにおすすめしているのが、NEXCO東日本で提供している「ドラぷらアプリ」(無料)。

iPhoneでもAndroidでも利用可能で、地図上から出発ICと目的ICが選択でき、複数の経路が選択可能。電車の乗り換え案内を使う感覚で便利かつ簡単に操作できるのが嬉しいポイントだ。

■ 渋滞にハマってしまったときの心得・対策はありますか?

「渋滞に巻き込まれた際、気を付けていただきたいことは2つあります。1つめは、車間距離を確保すること。車間距離は安全性を高めるだけでなく、実は渋滞を緩和する効果もあります。

渋滞は混雑している状態でのブレーキが後ろの車へ波のようにしかも掛け算式に伝わっていくことで発生・悪化します。確保した車間距離がクッションのような役割を果たし、渋滞を吸収してくれます。車間確保は事故も渋滞も防げてまさに一石二鳥です。

2つめは今いる車線を一途にキープすること。事故などで車線が制限されているようなケースを除いて、渋滞中は車線の違いによる進み方の差はほとんどありません。むやみな車線変更は後続車にブレーキを踏ませてしまい、渋滞を悪化させたり事故の危険性を高めます。

すでにお気づきかもしれませんが、これら2つの心掛けは、いずれも自分より後ろを走る車のためのものです。直接的には自分のためにはならないため、実践するにはあまり気が進まないかもしれません。

しかし、こうした心掛けをする人が1人ずつ多くなっていけば、渋滞が少しずつ緩和していき、次にあなたが渋滞に巻き込まれたときに小さい渋滞で済むかもしれません。

逆にみんながみんな自分勝手な運転をしていると渋滞はどんどん悪化してしまいます。渋滞を少しでも減らすために。まずはこの記事を読んでいただいたあなたの実践をお願いします」。

その他、渋滞緩和のため、道路やその周辺に渋滞ポイント標識「サグ」(下り坂から上り坂にさしかかる凹部)、速度回復表示板、東京湾アクアラインでの「AI渋滞予知」実証実験なども行われている。

■ 年末年始、運転をされる方が多くなります。最後に「渋滞予報士」からのアドバイスをいただけますか

「渋滞はドライバーのちょっとした心掛けで大きく減らせるチャンスがあります。渋滞は事故や工事が原因で起こっていると思っている方が多いと思いますが、実は渋滞の74%は交通集中渋滞(いわゆる自然渋滞)です。交通集中渋滞の約6割(全体の42%)はサグ・上り坂での無意識な速度低下によって引き起こされます(いずれも平成28年・NEXCO東日本管内)。

つまり、こうした場所で速度を落としてしまわないように気を付けて運転していただくだけで渋滞を大きく減らすことができるのです。渋滞を減らすことを心掛けた運転、「渋滞予防運転」を実践するドライバーがひとりでも多くなっていけば高速道路の渋滞を大きく減らせるチャンスが増えるのです。」

近年では、大型連休以外にも、インスタ映えするスポットの人気などで、急な渋滞が発生することもあるそうだ。常に広い視野を持ち、渋滞がなぜ起きるのかというイメージを頭に描いている外山さん。

高速道路の渋滞緩和の裏には、渋滞予報士の細やかなデータ収集と渋滞予測があった。高速道路を利用するすべて方が渋滞予報の確認を意識し、安全かつ快適な運転を心がけてほしい。(東京ウォーカー(全国版)・やどかり)