23ゴールを挙げた小林が得点王に。2年ぶりに日本人選手がトップスコアラーになったのは喜ばしいけど、うがった見方をすれば外国人選手の質が下がったとも言える。写真:徳原隆元

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 2017年もあと数日で終わりを迎えるね。Jリーグや日本代表など、今年のサッカーシーンを振り返ってみると、ネガティブな話題のほうが多かった気がするよ。

 Jリーグではフロンターレが悲願の初優勝を成し遂げ、ルヴァンカップはセレッソが初戴冠、J2からはV・ファーレンがクラブ史上初のJ1昇格と、“初物”の多い一年だった。それ自体は悪いことではないけど、圧倒的な力を誇示するクラブがなかったね。
 
 レッズの10年ぶり2度目のアジア制覇は明るいニュースだったとはいえ、クラブワールドカップでは大会初戦の準々決勝で敗退。去年はアントラーズが準優勝を飾っているだけに、最後の最後でトーンダウンした感じだ。そのアントラーズも「全冠制覇」を目標に掲げていたにもかかわらず、無冠に終わった。

 これぞ、という若いタレントも現われなかった。23ゴールを挙げた小林が得点王に輝き、2年ぶりに日本人選手がトップスコアラーになったのは喜ばしいけど、うがった見方をすれば、外国人選手の質が下がったとも言える。得点王レースに絡んだ助っ人FWもいなかったしね。
 
 いずれにせよ、25年目の記念すべき年は、過去と比べてもそこまで騒ぎ立てるほどのシーズンではなかったというのが率直な感想だ。

 ハリルジャパンについては、8月のオーストラリア戦に勝利してワールドカップの出場権を手に入れた。でも、チームの戦いぶりは山あり谷ありで、決して安定していたとは言えないよね。
 
 ロシア行きを決めたことは、評価の対象にならない。今回は最終予選で少なからず苦戦しただけに、ワールドカップに行けて当たり前とは言わない。もっとも、本大会に出場できる各大陸の枠として、2006年のドイツ大会以降、アジアに「4・5枠」が設けられてから日本は必ず予選を突破している。それを考えるとノーマルな結果でもある。

 それよりも、アジアからの出場5か国のうち、ポット3のイランを除いた4か国が、最も実力が低いとされるポット4に振り分けられている現実に目を向けるべきだ。日本も今やワールドカップ出場より、世界の舞台でいかに勝ち抜くかに主眼を置いているはずなのに、ポット4ではね……。改めて言うまでもなく、ロシアでは厳しい戦いを覚悟しなければならないよ。

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 ハリルジャパンの主力を担う海外組も元気がない。主要リーグでコンスタントに試合に出て、活躍できているのは吉田ぐらいだ。肺炎を患い戦列を離れていた大迫は別にして、長友や原口もパッとしない。
 
 メキシコにいる本田は、最近はメディアに露出する機会が増えてきた印象だけど、目覚ましい成績を残しているわけではない。クラブワールドカップの3位決定戦では出番がなかった。それなのに画面には本田の姿がたくさん映っていた。
 
 サッカーをあまり知らない人からすれば「やっぱり本田は凄いんだ」となるかもしれないけど、錯覚してはいけないよ。欧州のクラブから具体的なオファーが届いているとの噂も聞こえてこない。まだまだ頑張らないといけないんだ。

 ただ、代表にはそろそろ復帰してもいいんじゃないかな。今の本田のレベルでも、日の丸を背負う資格はあるように思う。それほどハリルジャパンの現状は寂しいものだからね。
 
 本田を含め、香川や岡崎が代表から外れる時期もあり、世代交代が進んだかに見えたのに、期待されるような人材の突き上げはほぼなかったと言っていい。それは先日のE-1選手権を見ても分かるよね。
 
 優勝を争った韓国との大一番で、積年のライバルに1-4の歴史的大敗を喫したのは周知のとおりだ。韓国戦とは異なり、初戦の北朝鮮戦、続く中国戦と連勝したけど、相手を圧倒したわけではない。
 
“2勝1敗”で勝ち越したといっても、そんな数字にごまかされてはダメだ。一つひとつの試合の内容をちゃんと分析すれば、反省すべき点は多い。ある意味、韓国には負けるべくして負けたということではないだろうか。

 代表のメインキャストはどこか頼りなく、五輪代表など下の世代からは活きの良い選手が台頭してこない。日本サッカーの実力が確実に落ち込んできているのは、みんな認識すべきだと思うよ。昔に比べたら、高卒でいきなり代表に選ばれるような選手もほとんど見なくなった。将来的に考えれば、危機感を覚えてもまったく不思議ではない状況だよ。
 危機感と言えば、代表チームを率いる指揮官にも不安は尽きないね。本当に驚いたのは、惨敗した韓国戦後のインタビューだ。ハリルはこう言ったんだ。「韓国が日本より強いことは、試合前から分かっていた」と。

 もしも僕が監督の進退を決められる立場にあったとしたら、この時点でハリルは解任だ。弱い日本を勝たせるために、高い給料をもらっているはずで、頂点に立つ自信が端からないような発言は、正直、聞きたくなかった。
 
 東アジアで優勝する自信がなければ、来年のワールドカップで好成績を望むなんてできるわけがない。ロシアの地で戦う国は韓国より強いし、「本大会では勝てません」と早々にギブアップ宣言したようなもの。早くも言い訳を用意しているのかな。

 選手のメンツも丸つぶれだよ。公の場で「彼らでは力不足」といった趣旨のことを口にする上司に、ついていきたいと思う部下なんていないよ。でも、日本の社会ではまず上司には逆らわないからね。陰では文句や愚痴ばかり言っているのだろうけど、目の前にしたら何も言えない。それでは何も変わらないよ。

 韓国は最終予選の終盤に監督交代に踏み切った。リスクのある賭けに勝ったわけで、ウリ・シュティーリケの後釜には、U-20代表監督のシン・テヨンが就任した。翻って日本はどうなのか。リオ五輪を戦った手倉森がコーチにいるよね。レッズやアントラーズ、フロンターレでも、コーチから昇格した監督がチームを指揮している。ハリルを更迭したとして、後任は誰に任せればいいのかと迷う必要はないはずだ。

 何のためのコーチなのか。有事の際に日本代表を任せる気がないなら、手倉森をそこに据えている意味がない。協会としても準備はしているわけだ。でも大ナタを振るうタイミングを逸した感はあるけどね。技術委員長の西野も、ここまで来て“決断”するのが怖いのかもしれない。

 来年はワールドカップイヤーだし、期待したいのはやまやまだけど、憂慮すべき部分のほうが大きい。嫌なムードのまま、年を越さなければならないのが残念だ。こうした停滞感を吹き飛ばすような戦いを2018年は期待しているよ。もちろん、Jリーグもこれまで以上に盛り上がってくれることを願っている。