「スピードスケート・平昌五輪日本代表選考会」(27日、エムウエーブ)

 男子500メートルが行われ、10年バンクーバー五輪銀メダリストの長島圭一郎(35)=リカバリー=は35秒50で14位に終わり、4大会連続の五輪出場を逃し、現役引退を表明した。

 完全燃焼だった。タイムは全盛期のタイムには大きく届かない35秒50。それでもゴール後、長島はすがすがしい表情で観客の声援に手をあげて応えた。「スケートに出会って、色んなものをもらって、スケートを好きなまま辞めることができた。これしかなかったんでね」と、競技生活を終えることを宣言した。

 独特の美学を貫いた。6位に終わったソチ五輪後の15年4月に一度、現役引退。ただ、1年後の16年7月に現役復帰を表明した。長年所属していた企業を退社し、フリー同然の立場で出直し、常に重圧を背負いながらだったこれまでとは違い、競技を楽しみながら戦ってきた。「小さい頃から、スケートを嫌いになって辞める人を見てきた。自分がそうなるのは嫌だった」。五輪選考会となるこの大会を最後のレースに定めたのも「若いときにたくさんの人たちをボコボコにして、引退に追い込んできた。最後はボコボコにされてやりたかった。これでいい」と、長島なりのケジメだった。

 長く男子スピードスケートをけん引してきた加藤は、この日、500メートルで3位となり、4大会連続の五輪が有力に。バンクーバーではともにメダルを勝ち取った盟友の話題になると、話は止まらなかった。「最後まで気持ちの入ったレースだったと思う。今、スピードスケートはすごくいい環境が整ったって言われるけど、それを言えば、僕たち2人が引っ張ってきた10年は暗黒ということ。2人でそういう環境の中で工夫して、世界で戦ってきた。これは2人にしか分からないことだと思う。(本番でも)いつも通り頑張ってほしい」と話し、若手たちには「もっとわがままになっていい。特に500メートルに関しては。スタッフと喧嘩するぐらいわがままでいい。馬鹿にされようが自分を信じてトレーニングしてほしい。常識的な練習では(世界に)追いつけても追い越せない」と、辛口でエールを送った。

 今後については未定。一時引退していた1年間の間に、海外から指導者のオファーはあったという。「日本からはなかったので、たぶんないでしょう。海外からはちょくちょく。色んなことを含めて考えたい」と話した。

 かつては豪快な言動とともに、人を寄せ付けないオーラも放っていた男は「色々こんな感じで迷惑掛けたかも知れない。実は内面はいい人でしたってことにしといてください」と笑って、勝負のリンクを去っていった。