「陸王」感動の最終回で瞬間最高視聴率をたたき出したのは…/撮影=龍田浩之

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多くの視聴者を感動の渦に巻き込んで放送を終えたドラマ「陸王」(TBS系)。24日に放送された最終回では、自己最高の視聴率20・5%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)を記録。こはぜ屋の挑戦が勝利を収め、ほとんどすべての登場人物が“いい人”で終わるラストは、毎週放送を楽しみにしていたドラマファンへのクリスマスプレゼントとなった。

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「陸王」は、池井戸潤氏による原作の魅力もさることながら、俳優が役を演じることの尊さを存分に見せつけてくれた作品だった。15年ぶりの連ドラ主演となった役所広司演じる主人公・宮沢紘一が見せた少年のような目の輝き、寺尾聰演じる飯山晴之の挫折を経たからこその重みを持った「信じて諦めなければ、あるのかもなあ、奇跡ってやつも…」というセリフに、多くの視聴者が胸を熱くした。

脇を固めるキャスト陣も、それぞれに新たな魅力を発揮。竹内涼真は数か月前からのトレーニングで肉体改造し、硬派で実直なランナー・茂木裕人を見事なリアリティーを持って演じきった。左遷されても「こはぜ屋」のために尽くす坂本太郎役・風間俊介や、「こはぜ屋」の奇跡を目の当たりにして徐々に考えを変えていく“ツンデレ”ぶりが絶妙だった大橋浩役・馬場徹は、これまで銀行員が悪役に回りがちだった池井戸作品にあって新たな銀行員像を体現。「こはぜ屋」の縫製課リーダー・正岡あけみ役の阿川佐和子、「フェリックス」社長でクールな合理主義者・御園丈治役の松岡修造は、ともに連ドラ初レギュラーながら存在感ある演技でドラマに深みを与えた。

中でも、全10話を通して一人の人間の成長を生き生きと演じたのが、宮沢の息子・大地を演じた山崎賢人だろう。ドラマ序盤では、なかなか就職が決まらず苛立つばかりだった大地が、宮沢や飯山の情熱を目の当たりにし、次第にランニングシューズづくりにのめり込んでいく過程を丁寧に演じた。

ドラマ撮影期間中にザレビジョンが行ったインタビューでも「親父(役所)や飯山さん(寺尾)の言葉が僕自身にもグッと入ってくると、“あ、大地として僕はいるんだな”と思います。そういう機会を重ねてきたことで、現場にいるときの僕と大地の境界線がなくなってきているのかもしれません」と語った山崎。山崎自身にとっても、役所と寺尾という名優二人とがっぷり四つに組んでの演技は大きな経験となったことだろう。最終話で大地は、大企業の最終面接で「仕事の厳しさと、そこに逃げずに挑戦する楽しさを学びました。それが、仕事の本当の面白さだと気づかされました」と堂々と受け答えするまでに。その清々しい表情は、大地として積み重ねた時間の重さを物語っていた。

「陸王」最終回で瞬間最高視聴率を獲得したのも、そんな山崎演じる大地と宮沢が向かい合ったシーンだった。茂木が陸王を履いてレースで優勝し、陸王は爆発的ヒット。活気づくこはぜ屋の事務所で、大地が宮沢に「メトロ電業に受かったよ」と報告する場面だ。

「陸王を開発して、ランニング業界に殴り込みをかけるっていう仕事以上に面白いことなんかないんじゃないか」と内定の辞退を考える大地に、宮沢は「メトロ電業で思う存分働いて、うちでは得られない経験と知識を蓄積してきてくれ。世界を見てこい、大地」と背中を押す。「そして、その大きさを俺たちに教えてくれ。その時まで待ってるから」という父の言葉に胸がいっぱいになった大地の頬を涙が伝う――夜10時10分ごろに放送されたこのシーンが最高視聴率23・1%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)をたたき出した。

「日曜の夜に、『月曜日も頑張ろう』と思ってもらえるドラマを」。放送スタート前からスタッフ・キャストがそろって口にしてきたビジョンを見事に体現した「陸王」。諦めないことの尊さ、人が成長することの素晴らしさを教えてくれた「陸王」とそのスタッフ・キャスト陣に拍手を送りたい。

*山崎賢人の「崎」は正しくは「立さき」(ザテレビジョン)