不当な「みかじめ料」の要求に屈しないために。お店の対策は?

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「みかじめ料」に対する取り組みは都道府県の条例によってもその熱の入れ方が異なっているとのこと。お店側としても毅然とした態度で臨むことが望ましいのはもちろんですが報復を恐れるという心理もまた、確かなものとしてあるようです。

みかじめ料を求められたときの正しい対応方法、きちんと報復を回避する方法、考え方を
解説いただければと思います。


「みかじめ料」とは?どんな法律に触れるのか?

「みかじめ料」は、暴力団や暴力団員が縄張り内の飲食店などから「用心棒代」や「ショバ代」、「あいさつ料」などといった名称で徴収する金銭の総称です。

「みかじめ料」を支払わされたり、要求された場合は恐喝罪やその未遂罪になり得ます。

つまり、脅迫して怖がらせて金銭を支払わせた場合は恐喝罪(刑法249条。10年以下の懲役)が成立し得ます。脅迫されても支払わなかった場合には、恐喝未遂罪になり得ます。「みかじめ料」の要求の際に脅迫といえる事実があれば恐喝罪・未遂罪となり得ます。

また、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(略して「暴力団対策法」、もっと略すと「暴対法」です。)では、「暴力的要求行為」の一つとして「みかじめ料」の要求は禁止されています(暴対法2条7号、9条4号・5号)。

公安委員会は、「暴力的要求行為」をしている暴力団員に対して、中止命令を出すことができます(暴対法11条)。その命令に違反した場合は、処罰の対象になります(暴対法46条1号。3年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金または両方)。

刑法や暴対法の規制については、恐喝罪の成立のための脅迫行為の証拠集めが警察では容易ではないとか、暴対法違反に問うにはまずは中止命令を出さないとならないので「みかじめ料」の要求が直ちに犯罪にならないという不都合が指摘されています。

しかし、中止命令を経るという2段構えの暴対法の制度は、警察権力による市民社会への過剰な介入を防ぐという観点から適切だと思います。


都道府県も条例によりみかじめ料を規制しているところがある

都道府県には、各地で名称や内容は異なるものの、暴力団排除条例(暴排条例)があります。刑法や暴対法といった法律レベルではなく、この条例によって「みかじめ料」の要求が規制できる場合があります。

たとえば、「北海道暴力団の排除の推進に関する条例」があります。

今年7月1日に改正・施行されたこの条例では、札幌市の「すすきの」や旭川市の「さんろく街」が「暴力団排除特別強化地域」に指定され、暴力団員等が「みかじめ料」等を受け取ることを禁止するほか、特定接客業者(風営法に規定されているニュークラブやキャバクラ、いわゆる性風俗、バーなど)が「みかじめ料」を暴力団員に支払うこと等も禁止されています。

この規制に違反すると支払いを受けた暴力団員も支払った側も処罰される可能性があります(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)。同様の条例は、愛知県などにもあります。他方で、たとえば東京都暴力団排除条例には同様の規制は今のところありません。

北海道などにあるような条例によって「みかじめ料」等の授受について警察が犯罪として立件することが可能になった地域は、暴力団排除をしやすくなったのかもしれません。

しかし、積極的に暴力団を利用する事業者もいるかもしれないとはいえ、恐怖心や事業を守りたい思いから「用心棒代」や「ショバ代」等を支払った事業者についてまで条例違反の犯罪が成立するのは、行き過ぎだと思います。暴力団員からの不当な金銭要求から本来は守られるべき事業者まで犯罪者とされ得るのは、暴力団排除の警察の活動そのものが目的化してしまっています。


もしみかじめ料を要求されたら警察・弁護士などに相談を

みかじめ料を要求され、支払ってしまうと、上記のように法的な責任を問われる場合があります。

また、「みかじめ料」を支払って暴力団との付き合いが始まると、次には毎月の「みかじめ料」をつり上げられたり、何かの名目を付けて金銭を要求されることになる危険があります。毎月一定額の「みかじめ料」で済む話ではなくなってしまいます。

また、暴力団員の出入りがあるという店という評判が立てば、一般の客足も遠のくでしょうし、従業員も逃げ出していくかもしれません。そうなると、事業の継続自体が困難になってしまうでしょう。

「みかじめ料」を要求されるようなことがあれば、自分だけで対処しようとしないことが大事です。不当な要求をする「プロ」を相手に「素人」が立ち向かおうとするのは著しく危険です。

もし、「みかじめ料」を要求された場合は、すぐに弁護士や警察、各都道府県の「暴力追放運動推進センター」(地域ごとに名称が違います。)に相談しましょう。

弁護士と顧問契約をしているのであれば、「みかじめ料」を要求された場合には「顧問弁護士と相談して決めます」と言って、安易に要求に応じないようにすべきです。

暴力団に「みかじめ料」を払うくらいなら、弁護士の顧問料は安いものだと思います。弁護士には警察への被害申告のほか、要求してきた相手方への対応について相談・依頼することもできます。

全国各地の弁護士会には「民事介入暴力対策特別委員会」(民暴委員会)があります。相談できる弁護士が見つからない場合は、近くの弁護士会に暴力団への対応を相談できる弁護士の紹介等を問い合わせてみてはいかがでしょうか。

また、「暴力追放運動推進センター」などが開催する「不当要求防止責任者講習」を受けて、「不当要求防止責任者」を選任しておくのも「みかじめ料」等の要求への備えになります。


【林 朋寛:弁護士】


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