【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】日本人離れした身体能力は大きな魅力。そのスケール感をどう有効活用するか? 川又堅碁

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▽2018年ロシアワールドカップまでの半年。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表に残されたテストマッチは、3月の欧州遠征2連戦と5月30日の壮行試合(横浜)、そして事前キャンプ地での2試合の合計5試合程度しかない。

▽指揮官も「年明けからは選手の本格的な絞り込みに入る。これから30〜35人くらいのラージリストを作りたい。3月のテストマッチ後から絞り、最終的に(W杯本大会登録メンバーの)23人のリストが生まれていく流れだ」と語っている。つまり、3月の欧州2連戦メンバーに入らなければ、ロシア行きはほぼなくなるということなのだ。

▽その枠に何とか滑り込もうと、凄まじい意欲を燃やしているのが、12月の東アジアカップ(E-1選手権)で3試合連続ジョーカー起用された川又堅碁。184僉75圓箸いΨ辰泙譴紳龍蹐鮓悗訛膩織好肇薀ぅーだ。彼の最大の武器は日本人離れした屈強なフィジカル。父・勇人さんは専修大学時代、陸上の三段跳びの選手で全国6位に入った実績を持つ。そのDNAを受け継いだうえ、幼少期から水泳、野球、陸上、剣道、空手と数多くのスポーツに取り組み、楽々とこなしていたという。そんな選手だから、かつて福西崇史(現解説者)を指導した愛媛・小松高校時代の恩師・真鍋秀樹監督も「中学生の川又を始めて見た時、福西をはるかに超えた並外れたスケール感があった」と言うほどだ。その能力をコロンビア、セネガル、ポーランドという強敵と対峙するロシアの大舞台で使わないのはもったいない。

▽川又が滑り込みを目論む1トップの枠は、大迫勇也(ケルン)が当確で、それ以外の1〜2枠を代表通算50ゴールの岡崎慎司(レスター)、ドイツ組の武藤嘉紀(マインツ)、今季得点王の小林悠(川崎)、同22ゴールの杉本健勇(C大阪)らが競っている状態だ。パチューカ移籍後は中央でプレーすることの多い本田圭佑もこの枠の候補者の1人と考えてもいいだろう。川又はこれだけ実績のある面々に勝たなければならない。本人は「ロシアに生き残るために? そんなことを発言したら俊さん(中村俊輔=磐田)に怒られる。『もっと練習しろ』って」と冗談交じりに苦笑していたが、かつて代表10番を背負った先輩からの後押しを受けているのは事実だ。

▽実際、今季磐田に移籍してからの彼の成長ぶりは目覚ましいものがあった。アルベルト・ザッケローニ監督に初めて日本代表合宿に呼ばれた2014年はアルビレックス新潟、2015年E-1選手権(中国・武漢)の時は名古屋グランパスに所属していたが、その頃の川又はボールがうまく収まらず、前線の起点になり切れないことが多かった。「足元の技術がやや不足している」という評価も根強く、ハリルホジッチ監督もそのあたりを問題視したから、長い間代表招集を見送ってきたのだろう。

▽しかしながら、今季磐田で名パサーの徹底指導を受けたことで、今回のE-1選手権では相手のプレッシャーを受けながらもしっかりとタメを作り、味方の決定機を演出できるようになっていた。それは特筆すべき点だ。加えて、ゴールこそ奪えなかったものの、豪快なヘディングを何本もお見舞いしていて、その迫力は小林や金崎夢生(鹿島)を上回るものがあった。

「出てくると雰囲気がガラリと変わる? それは自分でも分かってる。そのうえで必要なのはゴール、チームをいい方向に向かせるようなプレー。それができればそれでいい。ただ、今回の東アジアでは3試合ともに決めきれなかった。これがワールドカップだったとしたら、自分がチャンスを決めるか決めないかで、チームが上に上がれるかどうかが決まる。そういう意味でもいい課題ができたかな」と本人も前向きにコメントしていた。

▽ロシアを戦ううえで、やはりジョーカーとして流れを変えられる人材はやはり重要だ。名前を挙げたFW陣の中でその役割に最適なのは、この川又ではないだろうか。彼はそこに照準を当てて「短時間で目に見える仕事のできる選手」ということを強烈にアピールするべきだ。それを来季開幕からの1か月間で確実に遂行し、ハリルホジッチ監督の信頼を勝ち取れば、ひょっとすればひょっとするかもしれない。

▽2014年ブラジルワールドカップを逃した時、「次こそは」と自分自身に誓いを立てたという川又。それを現実にしなければ、数々の苦しみを乗り越え、自分自身に磨きをかけてきた意味がない。持てる力の全てをまだ発揮していない怪物が大化けする姿を2018年にはぜひとも見てみたい。【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。