Appleが「iOSのバージョンアップごとに古いiPhoneの性能を意図的に落としている」ことが明らかになり、一部のiPhoneユーザーがAppleに損害賠償を求める集団訴訟を提起したのですが、なんと原告側はAppleに9990億ドル(約113兆円)の支払いを求めていることが判明しています。

Class action lawsuit over iPhone battery slowdown seeks a ridiculous $999 billion payout

http://www.idownloadblog.com/2017/12/26/iphone-battery-class-action-lawsuit-999-use-billion/



ことの発端は海外の掲示板・Reddit上で「古いiPhoneのバッテリーを交換すると端末の動作が軽くなった」という報告が挙がったことでした。その後、ベンチマークソフトのGeekbenchが自社のベンチマークサービスで収集された「iPhone 6sとiPhone 7のiOSバージョン別ベンチマークスコアの統計データ」を発表し、iOSをバージョンアップするごとにiPhoneの性能が低下していることがデータとして明らかになっています。

統計データの公表を受け、Appleは正式にiPhoneのピーク性能を意図的に落としていることを認めました。意図的にピーク性能を落としている理由を、「バッテリーの劣化したiPhoneが予期せぬシャットダウンを起こすのを回避したりバッテリー寿命を延ばしたりするため」と説明しています。

Appleが古いiPhoneの性能を落としていることがベンチマーク統計から明らかに、その狙いは何なのか? - GIGAZINE



しかし、一部のユーザーは「Appleはバッテリーの劣化したiPhoneを保護するためとしているが、新しいiPhoneに買い換えさせるのが狙いだ」と主張し、集団訴訟を提起しています。その集団訴訟で、原告側は9990億ドル(約113兆円)の支払いを求めています。

原告側の訴状はScribd上で公開されています。

Violetta Mailyan vs. Apple, Class Action of Purposely Slowing IPhones | I Phone | Class Action



Apple関連のニュースメディアであるiDownloadBlogは、「『古いiPhoneを故意に使えないものにしているわけではない』ということをユーザーに納得させることはとても難しい」と記しており、Appleには「iPhoneのピーク性能を意図的に落としている」という事実があり、「それだけで責任がある」としています。

初めからこの事実を明かしていれば今回のような集団訴訟の危機に直面することもなかったはずですが、Appleはこれまでの数年間顧客に向けてこの事実を明確には伝えていません。iDownloadBlogは「バッテリーの消耗によりデバイスの性能が低下する可能性があることを顧客に知らせるために、iOSのプロンプトを掲示することは難しいことでしょうか?」と、なぜAppleがこれまでこの事実を隠してきたのかに疑問を呈しています。

なお、Appleの公式サイトによると、iPhoneのバッテリーはフル充電サイクルを500回繰り返しても本来の容量の最大80%を維持できるように設計されているとのことです。