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元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな決まり手は「預金引き落とし」です。

下半期、力士の方の土俵外での振る舞いがニュースになりました。連日、ワイドショーなどで報道され、貴乃花親方の言動や行動に対しては賛否が分かれ、渦中の横綱・日馬富士は引退を発表、白鵬は1月の給与を100%、2月は50%カット。鶴竜も1月の給与をカットされることになりました。

相撲界だけでなく、相撲に関心がなかった人たちの耳目も集めたこの騒動。さて、相撲界の給与や税金の取り扱いはどのようになっているのでしょうか。あまり明らかになることのない力士の確定申告。力士の受け取ったお金の税法上の取り扱いをまとめました。

○力士の給料は「日本相撲協会寄附行為施行細則」に基づき支給

国税庁は「力士等に対する課税について」と題して、お相撲さんや、年寄、行司の所得について取り扱いを示しています(年寄は、いわゆる「親方」のこと。行司は、みんなが知っている相撲の進行と判定を行う人)。

日本相撲協会には「日本相撲協会寄附行為施行細則」というルールがあって、それに基づいて年寄、力士、行司にお金を支給しています。給与以外にもたくさんの賞金や手当に準ずる支払いがあって複雑ですが、日本相撲協会から支給されるものは、ほとんどが「給与所得」になります。

○給与所得になるもの

給与所得は、会社員、パート・アルバイトの人と同じ所得です。

十枚目以上の力士には、本場所ごとに力士褒賞金が支給されます。また、力士養成員には、本場所相撲の成績により、幕下以下奨励金が支給されます。

行司の方の給与もちゃんと決まっています。装束補助費は一場所ごとに行司に支給されます。

日本相撲協会のえらい人と親方の給与。給与だけで言うと、親方は十枚目より少ないようです。養成奨励金は十枚目以上の力士を養成した親方に支給されます。

○一時所得になるもの

横綱・大関及び立行司に昇進したひとには、名誉賞が授与されます。

力士が後援会からもらう金品、力士が法人からもらう祝儀(祝宴会のときにもらう少額なものは非課税)も一時所得です。

○退職所得になるもの

日本相撲協会から年寄、力士、行司に支給される退職金っぽいもの(「養老金」を筆頭にいくつかあります)。

○事業所得になるもの

力士がスポンサーから受ける賞金、力士、年寄が給金割により分配を受ける地方巡業の益金、力士の引退興行は事業所得です。

これらの事業所得になるものや他の所得がなければ、年収2,000万円未満のおすもうさんは、確定申告が不要です。給与や手当から推測すると、幕内の力士以上の方は、給与所得だけでも確定申告をしています。

○雑所得になるもの

協会が力士の後援会に対して支払う切符販売の手数料(力士の所得)は雑所得です。

○贈与になるもの

力士が個人からもらう祝儀(祝宴会のときにもらう少額なものは非課税)は贈与です。どこまでが少額なのかは個別の状況によりますが、基本的には、贈与税の確定申告はしないものと考えられます。

お相撲さんがもらうお金は以上のような所得区分になります。所得によって、経費や控除の金額が異なりますので、それぞれを正確に把握する必要があり、一部の非課税となるものを認識していると、お相撲さんと友好な関係が築けるかもしれません。

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○さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら