今季の東洋大は、11月の全日本大学駅伝で、相澤晃(2年)が1区でユニバーシアードハーフマラソン優勝の片西景(駒大・3年)らと競り合って区間賞を獲得し、2区の渡邉奏太(2年)が駒大のエース・工藤有生(なおき/4年)を13秒引き離して独走態勢を作った。


今大会もエースがひしめく2区を予定している山本修二

 さらにその後は、日本インカレ1万mで日本人トップの3位になった西山和弥(1年)、山本修二(3年)、中村駆(2年)とつないで5区まで1位をキープしてファンや関係者を驚かせた。6区と7区では遅れたが、最終8区の19.7kmは1年生の吉川洋次が鈴木塁人(たかと/青学大・2年)と同タイムの区間4位で走り切った。

 この全日本での光る走りには、神奈川大の大後栄治監督も箱根に向けて、「これで4年生が複数入ってくれば、東海大と並ぶ優勝候補の筆頭格になる」と警戒するほどだった。

 ところが12月10日にエントリーメンバー発表されると、4年生は前回10区10位の小早川健のみ。前回9区区間賞の野村峻哉と8区4位の竹下和輝、6区13位の堀龍彦は16名枠に入れないという誤算で、箱根経験者は3名のみという状況になった。

「野村は前回の箱根の時も脚が痛い状態だったので、冬期もうまく走れなくてほとんど試合には出ていませんでした。選考の対象にする練習では1kmもつけない状態で、これが全日本なら残り3週間でという希望もありましたが、箱根は20kmでごまかしが利かないので外しました。

 堀も9月30日の世田谷記録会に出たあとは、出雲や全日本を考えましたが、アキレス腱の故障が長引いて今は野村より練習できない状態。部内では選考の基準となるレースや練習を設けていて、それを突破してきたのが今のメンバーという形です」

 こう話す酒井俊幸監督は、「次の選手も作っていきたいという思いもあるので、同じ力だったら下級生」という方針でエントリーをしたという。

「エントリーしたメンバーは昨年より練習ができているし、トレーニング量も昨年よりだいぶできている選手たちです。下級生で経験不足という面もあって、どこまで力を発揮してくれるかというのはありますが、力的には復路は前回並みでいけると思います」と自信を持つ。

 そういう状況ならば、全日本のように5区までトップを守る走りが箱根でもできれば、東海大などの出来次第で優勝争いに絡むことができる。

「前回は4年の口町亮と桜岡駿が3区と4区で、ふたりとも故障上がりだったけど区間3位と4位でしっかり走ってくれたので、その流れで復路も走れました。それと比べると、経験から考えても3区と4区は落ちてしまうので、それをどうするかというところですね。前回の2区は繋ぎの2区だったけど、今年はそれなりに勝負をできる2区にしなければいけないし、往路の平地の4区間はしっかり力のある選手を揃えなくてはいけない」

 前回2区を走った山本は1時間09分05秒で区間11位だった。だが今年は関東インカレ1万m7位、ハーフマラソン2位でトラックの自己記録も更新していて、全日本では4区で区間2位と安定した走りを見せた。本人も「今年の2区では勢いをつける走りをしたい」と話す。

 しかし、他校もエースを揃えてくるであろう2区には、神奈川大の鈴木健吾や山梨学院大のドミニク・ニャイロ、順天堂大の塩尻和也がいて、競り合う状態になれば1時間6分台に突入しそうな激戦区だ。こうした有力選手に比べれば、山本はまだ1時間8分前後の力だろうと酒井監督は見る。

 1区候補には全日本で区間賞を獲得して前半独走の流れを作った相澤がいる。相澤は5000m、1万m、ハーフマラソンでチーム最速だが、1区は特にレース展開が不透明なだけに悩みどころだ。

「相澤を1区に使うなら、区間賞か2〜3番で来ないといけない。なおかつ団子状態のようななかでの区間賞ではなく、集団を崩してこなければいけない。全日本のようにハイペースの展開に持っていかないと使う意味がなくなってしまいます。

 ただ、箱根の場合は全日本とは流れが違うし、トータルで押さえていかなければいけないので、他の選手との兼ね合いを見ていかなければいけない面もあります。その点では例年よりまだ迷っている状態ですね」

 全日本の2区で区間2位の渡邉や、3区区間3位の西山、8区4位の吉川という下級生の主要区間起用が順当だろう。

 勝負強さもある西山と相澤を3区と4区に使えば、2区までで少し遅れたとしても、流れを取り戻すことができる。最初から乗り遅れないような安全策を取るならば、1区に西山か相澤、または彼らのどちらかと渡邉で3区と4区の勝負に備えるという形になるだろう。普通に考えれば、相澤が1区で西山が3区というところか。

「今年の1年生は西山を中心にして意欲も高く、今までの1年生より練習ができていると思います。他大学が20〜25kmで抑えるようなところも、今年の1年生は30kmでしっかりできている。彼らに足りないのは経験だから、なおさら経験をさせなくてはいけないと思いますね。

西山は日本インカレで、ユニバー帰りの調整不足だったとはいえ塩尻くんに先着しているし、全日本のアンカーを走った吉川のタイムは服部勇馬の1年生の時よりもいいので。そんな1年生に押し上げられて2年生も練習ができるようになっている感じです」

 今回は16名のエントリーメンバーに1年生と2年生が6名ずつ入る若いチームになった。その点では彼らが上級生になった時に勝負できるという状況だ。だからこそ主要区間で使って経験を積ませたいという思いもある。

「5区は1年の吉川も候補のひとりではありますが、上級生にずっと上りのトレーニングをしてきた選手もいるので、その選手を使う可能性も高いですね。また6区も今回は5区よりも他大学の有力選手が残っているので、平気で1分くらいはやられてしまいそうなので59分台では走れる選手を使いたいところです」

 5区に上級生を使えれば、長い距離でキッチリ結果を出している吉川を、4年の小早川とともに復路の核として使うことも可能になり、チームとしての厚みも出てくる。

「前回は、2位といっても先頭の青学大の背中はまったく見えない状態で、後ろには他大学の監督車が見える接戦。ちょっとミスをすれば落ちてしまう状態でした。今年は選手層の厚い青学大や東海大と、勢いとエース力のある神奈川大が上手だと思いますが、優勝争いは5〜6校の混戦になると思います。

 それに加えてシード権争いも同じような混戦になり、そこから外れたら予選会組になるような状況。うちも往路で耐えていって、その流れで復路に入ればチャンスも出てくると思うので、最後まで諦めずに上を狙うレースをしたいと思います」

 往路でうまくハマれば全日本のように突っ走る可能性も持っている東洋大のカギは、1区、3区、4区で1〜2年生がどんな走りを見せられるかだ。そこでうまく走れて往路を快走するようであれば、翌年は充実する東海大の対抗馬として大きく浮上することになるだろう。

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