日本の中学年代の育成には、多くの課題があるという。(写真はイメージ)写真:松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

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 第2回はバルセロナの指導法や日本の育成の課題について話が及んだ。

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岩政 最終目的を決めて過程を自由にするバルサのやり方は、上手くやれば日本人でもできるような気がしますね。
 
浜田 そうそう。日本人もやればできるんですよ。ただ、最終目的=到達点を示すことが苦手なんです。岩政さんが所属していた鹿島アントラーズが上手くいっているのは、到達点がハッキリしているからだと思いますね。
 
岩政 仮定がどんな形でもいいのであれば、選手が変わってもそれぞれの特長が生かされますね。腑に落ちましたよ。
 
浜田 日本はコーチが変わると指導法も変わってしまう。バルサは指針があるから、根本の部分はブレません。なおかつ、どんな指導者が来ても、結局バルサのやり方をしないと到達点には辿り着けないんです。
 
岩政 コーチ陣もそういう流れを把握したうえで、選手たちに自由にやらせていると。
 
浜田 そうです。そこでグアルディオラくらいのような革命的な指導者が出てくると、さらに進化させていくんです。そうやってバルサの最終到達地がまた少しアップデートされていく。かつてはクライフがそういう存在でしたし、これからシャビがそうなっていくと思います。
 
岩政 どんな監督さんも躍動感のあるサッカーをしたいと言いますが、なかなか実現できていないのが現状です。バルサのようなメソッドがあれば、やりやすいかもしれません。
 
浜田 日本にも「守破離」という言葉がありますよね。最初に型を作って、そこから発展させて、最後に型を破る。指導者としては、クライフやグアルディオラが、これを体現しました。選手としてはメッシがそうで、バルサの基本を完璧に分かっているけど、そこに自分のやり方を加えて、最後はメッシスタイルに到達しています。
 
岩政 ベースがあるうえで応用にも取り組むと。浜田さんがサポートされていた久保建英選手は、そのあたりも違いましたか?
 
浜田 違いました。選手のタイプって4段階くらいあると思うんです。「言われたけどやらない選手」「言われてやろうとするけどできない選手」「最初はできないけど時間とともにできる選手」そして「ほとんど時間がかからずにできる選手」。

 久保くんは、「ほとんど時間がかからずにできる選手」でした。アドバイスを受けて数回トライしたらだいたいできてしまう。指導していたスペイン人が舌を巻くほどでした。本人の学ぶ姿勢が旺盛で、なおかつ自分はうまい選手だなんて思っていない。だから、素直に受け入れてトライできる。そういう選手はほとんどいません。
岩政 技術的な巧さに加えて、粘り強いメンタリティも持っているんですね。
 
浜田 それに、分からないことは、必ずその場で聞きます。そのまま置いておきません。だから、伸びるのが早い。
 
岩政 久保くんはバルセロナから帰ってきて日本でプレーしていますが、変化は感じますか?
 
浜田 私個人としては、帰ってきて良かったと思っています。スペインの育成だけでなく、日本の育成事情や日本的な人間関係の構築の仕方も知っている。その経験は将来的に生きてくるはずです。引退後の話をするのは早すぎるし、最終的に彼が日本サッカー界で働くのか分かりません。ただ、日本サッカー界を大きく変えることのできるタイプだとは思っています。
 
岩政 これから時代が移り変わっていって、どんどん次の世代にバトンが渡っていきます。そのなかで浜田さんは、なにをされます?
 
浜田 日本の育成は、中学校の3年間がすっぽり抜けているんです。小学校は大会も多いし、スクールも多い。高校になると選手権があるから力が入る。でも、全中は注目度が高いとは言えないし、クラブチームも少ない。そこをどう変えていくかですね。特に地方は厳しくて、チームがなくてやめてしまう選手もいます。