Photo: 中川真知子
左:安宅洋一さん、右:Ng Hui Rongさん

マレーシアのクアラルンプールで2日間に渡って開催された大規模アニメ・イベント「コミックフェスタ 2017」。今回、その会場にてOLM ASIAとポリゴン・ピクチュアズのブースでインタビューさせていただきました。

前回はOLM ASIAの北嶋秀彦さんのインタビューをお届けしましたが、今回はポリゴン・ピクチュアズとマレーシアの大手アニメーションスタジオ Silver Ant Sdn Bhnが合併で設立したSilver Ant PPI Sdn Bhdのブースにて、日本語が流暢なスタッフのNg Hui Rongさんと、ポリゴン・ピクチュアズの取締役副社長/Silver Ant PPIの社長である安宅洋一さんにお話を伺いました。

──今回のイベントでSilver Ant PPI Sdn Bhd(以下、SAPPI)がマレーシアのアニメファンにアピールしたいことは何ですか?

Ng Hui Rongさん(以下、Rongさん):私たちが制作している作品は勿論ですが、マレーシア国内でのスタジオの認知度も上げたいです。マレーシアで日本のアニメを作っている会社は現時点でおそらくSAPPIしかありません。この国には日本のアニメファンが多くいます。『シドニアの騎士』はマレーシアでもそこそこ人気があるらしいのですが、私たちが制作に参加していたということは知られていないんです。

また、私たちは3Dのアニメを作っていますが、マレーシアの人たちは2Dのアニメのほうが好きです。なので3Dには3Dの魅力があることも伝えたいですね。マレーシアでも実写版『亜人』が公開する予定なので、そのきっかけでアニメのほうの『亜人』も知ってもらおうと思っています。

グロ耐性ありのマレーシア

──『亜人』はかなりグロいと言われていますが、マレーシアでも受け入れられると思いますか?

Rongさん:(グロ描写は)マレーシアでも受け入れられると思います。ブースに来てくれるファンも『亜人』のことは知ってくれているみたいです。

──東南アジアの映画はきわどい人体破壊描写がありますよね。そういった映像に慣れているので、国民全体にグロ耐性があるのでしょうか?

Rongさん:そうですね、それはあるとは思います。ただ、こっちのファンはグロさ云々に関してはあまり深く考えず、ひとつの作品として楽しみにしてくれていると思いますよ。

──日本ではアニメ映画版『ゴジラ』が公開されていますが、マレーシアでは公開されるのでしょうか?

Rongさん:『ゴジラ』も推しているのですが、まだマレーシアで公開する予定がたっていません。しかしブースに来てくださるお客さんからは「『ゴジラ』を楽しみにしている」とおっしゃっていただいています。


作品に関するお話の後は、安宅社長に会社全体のことを聞きました。

──SAPPIはどんな会社でしょうか。

安宅洋一さん(以下、安宅さん):SAPPIはマレーシアで唯一日本系のデジタルアニメをやっているスタジオで、マレーシアで日本のクオリティを出すことを目標として作りました。実際、日本人のスタッフの頑張りもあって、できていると思っています。

また欧米と日本の両方のスタイルができるスタジオも目指しています。今やっているのはアメリカの仕事ですし、少し前は日本の仕事をやっていました。テイストが違うので慣れるまでに時間はかかるのですが、両方ともできるようになりつつあるのかな。まだまだ発展途上ではあるのですが。

理想のパートナーと出会いジョイントベンチャーに

──なぜマレーシアを選んだのでしょうか?

安宅さん:僕らは単純に良いパートナーを見つけられたからですね。実は中国をはじめとする他の国も視野にいれて探していたんです。そんな中、たまたまマレーシアのSilver Antという会社と考えが近かったので、一緒にやらせていただくことになりました。なのでマレーシアという国の地理であったり民族性にこだわったわけではないんです。同じ志の人たちを見つけられるかに重点を置きました。

──ジョイントベンチャーとしてのメリットはなんでしたか?

安宅さん:やっぱり現地に詳しいスタッフがいるので、現地情報の管理などを任せられるという部分でしょう。市場を知っているので、リクルーティングなんかは彼らのほうがうまいと思います。それとスタートアップの速さですね。ゼロからの立ち上げではなく、SAPPIを立ち上げた時点で30人のスタッフを譲ってもらいました。ラーニングカーブがなく、垂直立ち上げできたことが良かったですね。ジョイントベンチャーしたことで、そういったものにかかる時間を買いました。

──OLM ASIAやバンダイ・ナムコといった日本の企業がマレーシアにスタジオを設立しましたね。

安宅さん:これからはバンダイ・ナムコさんやOLM ASIAさんと人材の取り合いになるかと思いますが、そこらへんはフリーエコノミーなのでどうしようもありませんね。一緒に盛り上がっていけたら良いなと思っています。お仕事貰えたらいいな、なんて。それと背景とか協力を仰げたら…。



──そう言えばポリゴンの背景は3Dではなく2Dなんですよね。

安宅さん:そうです、日本のアニメは制作費削減のために背景をマットペイントにすることが多いんです。でも人材不足なんですよ。日本でも足りていないので取り合いです。

──ということは背景を海外に外注することもあるんですね。その点で何か苦労はありますか?

安宅さん:海外にも外注します。苦労はですね、例えば『亜人』は時代設定が現代で日本の街中が出てくるんですが、一部中国に外注したら日本には生えていないような木が描かれていたことがありました。また電信柱の概念がわからなくて、全く違う物体になっていたり…。

韓国は2Dが発達しているので以前は発注もしていたのですが、もう値段が高くなってしまって。今は中国も高くなって来ているので、業界を見渡しても他に移っているようです。

──ではマレーシアに背景の部署をつくって日本の風景を描けるアーティストを育成するのはどうでしょう?

安宅さん:うちは2Dのノウハウないんです。人も揃えられないし、育てられません。一時期検討したこともあったんですが、時間もかかりますし…。ただ需要は本当に高いので体制が整えられたら理想的だと思いますね。

ポリゴン・ピクチュアズはデジタルアニメーション制作会社ですが、かつては3DCG制作会社として有名でした。なので背景は3DCGで作っているのかと思っていましたが手描きだったんですね。思わず「ポリゴンさんってCG屋でしたよね」とツッコンだら、安宅さんは「そうなんですよねー、もう『シドニアの騎士』なんてCGといえないですね」と笑ってらっしゃいました。

また実写版『亜人』は、マレーシアでは短期間の限定公開になる可能性もあるとのこと。マレーシアでは作品の種類にかかわらず映画のローテーションがとても早いので、公開されたらすぐに見に行ってこようと思っています。

最後に、会場に来ていた気合十分のコスプレイヤーのみなさんの写真をお楽しみください。

Photo: 中川真知子
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【おまけ】

Photo: 中川真知子

とってもノリのいいデッドプールがいたので、お願いして首チョンパしてもらいました。大満足!



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Source: Silver Ant PPI Sdn Bhd

(中川真知子)