インフルエンサーマーケティングは、少なくとも10億ドル(約1100億円)の規模をもつ市場だ。2017年には大きな成長を遂げ、データの細分化と契約内容の明確化が進んだ。しかし、いまも詐欺行為などの問題に悩まされ、米連邦取引委員会(以下、FTC)が求めるスポンサーシップの開示も進んでいない。この記事では、インフルエンサーマーケティングについて2017年に学んだ5つの事実を紹介しよう。

1.インフルエンサーマーケティングに関するデータの質が向上



多くのマーケターにとって、インフルエンサーマーケティングのROI(投資利益率)を正確に弾き出すことは難しい。だが、この1年で、ブランドとエージェンシーはインフルエンサーのオーディエンスデータに対する分析能力を大きく向上させたと、オムニコム(Omnicom)グループの子会社OMDの米国取締役、ケリー・ペルス氏はいう。

「インフルエンサーネットワークの測定能力はますます高まっている」とペルス氏。「以前は、配信数(またはインプレッション数)とエンゲージメント指標を提供するだけだった。だが、いまでは、(一部のインフルエンサープラットフォームが)ニールセン(Nielsen)と提携して調査をはじめたり、モート(Moat)のようなビューアビリティ(可視性)測定企業と提携したりしている」と、同氏は語っている。

彼女によればエージェンシーは、語りかけのトーン、コンテンツスタイル、フォロワー属性など、インフルエンサーに関するさまざまなデータを入手できるようになっている。このようなデータを活用して、ブランドが適切なオーディエンスにリーチできるようにしているのだ。

2.インフルエンサーとの契約が明確化



タレントエージェンシーとインフルエンサープラットフォームが、インフルエンサー契約の内容を変更し、ブランドやエージェンシーにクリエイティブブリーフ(広告の指針を示した書類)の提供を義務付けるようになった。また、投稿のタイミング、コンテンツの権利、最低保証パフォーマンス、連邦取引委員会(FTC)の規制への準拠といったグレーゾーンを明確にした。メディアエージェンシーやソーシャルメディアエージェンシーも、法務部門と緊密に連携し、契約内容を見直したり状況に合わせて変更したりできるようにしている。

3.インフルエンサーマーケティングがソーシャルメディアを超えて拡大



インフルエンサーのコンテンツをソーシャルメディア以外の場所で利用しようと考えるエージェンシーが増えている。これには、プログラマティックバイイング、ポッドキャスト広告、eコマース広告、さらにはテレビCMまでが含まれる。もちろん、そのような形で利用するには、追加料金が必要だ。

ペルス氏は、インフルエンサーがメディア資産になりつつあると考えている。そのため、インフルエンサーと契約する際は、彼らのコンテンツを複数の異なるプラットフォームで長期的に利用できる条項を盛り込んでいるという。「従来は、キャンペーンのあいだだけコンテンツを利用できるようにしていたため、その期間は6週間程度が普通だった。だが、いまは(コンテンツ利用期間を)6カ月ほどにすることが多い」と、彼女は語った。

4.マイクロインフルエンサーという考え方の問題



インフルエンサーマーケティングの世界では、マイクロインフルエンサーがトレンドだ。一部の広告主は、フォロワーが数千人規模のソーシャルスターのほうが、数百万人のフォロワーを抱えるインフルエンサーより高いエンゲージメントを獲得してくれると考えている。だが、マイクロインフルエンサーのことを、インフルエンサーマーケティングのプラットフォームがはじめたペテンだという人たちもいる。プラットフォームにとっては、マイクロインフルエンサーを起用するほうが簡単だからだ。

ペルス氏は、マイクロインフルエンサーという分類が適切ではないと考えている。重要なのは、インフルエンサーのコンテンツがどのようにエンゲージメントを集めているかということだからだ。「我々が関心をもっているのは、コンテンツとエンゲージメントの質だ」と彼女はいう。「また、オーガニックなエンゲージメントのパフォーマンスが、ブランドエンゲージメントに比べてどれほど優れているのかを調べている。フォロワーがインフルエンサーのコンテンツを気に入っていたとしても、ブランドのコンテンツに関心をもっていないなら、我々はそのインフルエンサーと仕事をしない」。

エージェンシーのクロスメディア(Crossmedia)でソーシャルメディア部門グループ責任者を務めるマイケル・ドブソン氏は、インフルエンサーマーケティングのことを、パフォーマンスの取り組みというよりブランディングの取り組みだと考えている。一般的には、前者と考えられているにもかかわらずだ。「ブランドにとって、インフルエンサーはコンテンツを生み出してくれる人たちだ。直接的なレスポンスを多少は得られるかもしれないが、ブランディングの取り組みと位置づけるほうが適切だ」と、ドブソン氏はいう。「インフルエンサーは、直接的なレスポンスを求めるという点では限界があるが、ソーシャルに代わってエンゲージメントを獲得するという点では優れている」。

5.広告詐欺とFTCの規制への準拠が大きな問題



ほかのタイプの広告と同じように、インフルエンサーマーケティングも詐欺に悩まされている。インフルエンサーのなかに、ソーシャルメディアで知名度があるように見せかけている人たちがいるのだ。こうしたインフルエンサー志望者は、ボットを使って人気があるように装ったり、フォロワーをお金で集めたりしている。また、インスタグラムのポッドを利用している場合もあるという。ポッドとは10〜15名程度のユーザーから成るグループのことで、互いの投稿にコメントしたり、リンクを張ったり、シェアしたりしている。

詐欺以外にも、FTCによる取り締まりの強化という問題がある。対象は、マーケターと宣伝契約を結んでいることを目立つように明確に開示していないインフルエンサーのスポンサードコンテンツだ。この動きに対し、信憑性と法律の両方を満たすのは簡単なことではないと不満を漏らす広告主もいる。だが、FTCがインフルエンサー向けにもっと具体的なガイドラインを作成すべきだという声も上がっている。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)