12月20日に行われた民進党両議員懇談会での蓮舫氏。民進党離党を決断するかどうかが注目されている(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

民進党の蓮舫元代表は12月25日、立憲民主党の枝野幸男代表の事務所を訪れ、約45分間会談した。大塚耕平代表が率いる民進党執行部に不満を抱いていると言われる蓮舫氏は、14日の両院議員懇談会後に「近く枝野代表と会い、立憲民主党がどういう政党なのか話を聞きたい」と厳しい表情で述べていた。その言葉を立憲民主党入党宣言かと受け取られたため、「蓮舫氏は7〜8人の仲間を連れて離党するらしい」と囁(ささや)かれた。

しかし、今年夏に民進党代表を投げ出した蓮舫氏には、その動きに追従する者は具体的にはいない模様。「離党する意思もないのに、26日に予定されている両院議員総会を前にして自分を印象づけるためのパフォーマンスにすぎない」との批判もある。

2019年の参院選を見据える議員たち

だが、蓮舫氏とは別の離党の動きは党内に存在する。風間直樹参議院議員は12月21日に民進党に離党届を出し、立憲民主党に入党届を出した。風間氏はもともと自民党出身だが、立憲民主党が強い新潟選挙区で2019年の参議院選を闘わなければならないという背景がある。

これは、すでに民進党との統一会派を離脱して立憲民主党に入った川田龍平参議院議員と事情は同じだ。比例区選出の川田氏は、2019年の参議院選では東京選挙区からの出馬を希望している。しかし民進党のままでは勝利の見込みは薄く、都内で8人の衆議院議員を擁する立憲民主党から出馬する方が有利であることは間違いないのだ。

また自治労出身の江崎孝参議院議員は2019年に改選を迎えるわけではないが、早々に離党届を提出。風間氏や有田芳生参議院議員とともに25日の民進党常任幹事会で離党を認められた。

さらに杉尾秀哉参議院議員や真山勇一参議院議員も、民進党を離党して立憲民主党に参加したい意向を示している。

杉尾氏については12月3日、地元である長野市で国政報告会を開いた時に枝野氏がゲストとしてスピーチし、「通常国会では立憲民主党として力を発揮してほしい」と合流を呼びかけ、杉尾氏も「タイミングを含めて熟慮したい」と前向きに応じている。

しかしながら、杉尾氏はすぐに民進党離党とはいかない事情がある。

2019年の参議院選挙で長野県選挙区から羽田雄一郎参議院議員が5回の当選を狙うため、まずはそれを優先しなければならないからだ。また羽田氏が現在民進党参議院幹事長という役職を務めている関係から、ただちに民進党を離党することは事実上不可能だ。

神奈川県で独自の連携の動き

真山氏については「党を替えるなら、立憲民主党だ」とかねてから述べていた。2016年の参院選で2選を果たしたばかりで、すぐに離党というわけではないが、それにストップをかけているのが、真山氏がかつて在籍した結いの党グループのリーダーである江田憲司氏だ。「民進党を離れるにしても、江田氏は独自の動きをしたいようだ」と、関係者は解説する。

実際に江田氏は、希望の党の本村賢太郎衆議院議員のパーティーに出席した12月8日のフェイスブックに、「中央でなかなか野党連携が進まない現状では、まずは神奈川からその先駆的なモデルを示そうよと。『平成の自由民権運動を神奈川から』」と記載。さらに「神奈川立憲のトップは阿部知子さん、希望が本村さん、無所属・民進が私。仲良し3人組みで何らかの『枠組み』『運動体』『緩やかな連携』を年明けに作ろうよと」と提唱している。これは民進党が呼びかけようとしている統一会派よりも密接な連携といえるだろう。


民進党は「進むべき道」を見出せるだろうか(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

もっとも本村氏の政治の恩師である藤井裕久元蔵相は、9月1日のテレビ番組で民進党を離党する動きについて「政治家として一番のカス」と言い捨てたが、解散後には「最大の敵は安倍晋三首相」と、とりあえず3党をまとめて応援することを表明。本村氏自身も後藤祐一氏や笠浩史氏が離党した後の民進党神奈川県連会長に就任し、組織の引き締めに尽力した。阿部氏も江田氏との関係が良く、将来的にはローカル新党の結成も否定できない。

【12月29日 9時追記】記事初出時、<本村氏については希望の党への入党は“恩師”である藤井裕久元財務相から強く反対されたが、希望の党のチャーターメンバーの後藤祐一氏から「希望の党から出ないと、対立候補をたてる」と迫られたためにやむをえなかったという経緯もある。>と表記しましたが、事実ではなかったため、上記のように修正します。

統一会派結成を呼びかけるものの…

その他にも“離党予備軍”として名前が上がっている議員はいる。芝博一参議院議員だ。理由は「蓮舫氏との距離が近いこと」で、党内では唯一の蓮舫氏の“お友達”と位置づけられている関係だ。

ある民進党関係者が15日午後に芝氏の事務所を訪れた時、奇妙な経験をしている。「事務所のドアを開けて声をかけようとしたら、奥の議員室から祝詞をあげるような大きな声が響いてきた。びっくりして声をかけずにそのまま帰った」

神主である芝氏が祝詞をあげても不思議ではない。芝氏が神職を務める三重県の椿大神社(つばきおおかみやしろ)の主祭神は、天孫降臨の際にニニギの道案内をしたとされる猿田彦大神で、「進むべき道を示す導きの神」として知られている。

ということは、迷走する民進党の前途が開けるようにと、お祓いが行われていたのだろうか。現在の民進党はその凋落ぶりが激しく、政党支持率もわずか1%と「神も仏もない」状態に等しい。

しかし、「進むべき道」を明確に示したところで、そこに大義があり、従う議員がいない限り、先が開けるはずもない。26日午後に参議院議員会館内で開かれる両院議員総会・全国幹事会・自治体議員団等役員合同会議では、希望の党と立憲民主党への統一会派結成の呼びかけが了承されるだろうが、枝野氏がその呼びかけに応じる可能性は低く、展望はなお開けない。